2008年1月29日 (火)
第28話「大西洋,血に染めて」
連邦軍の空母ヒマラヤが轟沈され、シャア大佐とマッドアングラー隊の主任務が実はホワイトベース追撃ではなく艦船の掃討作戦であることが示されている。
【半分は嘘じゃない】
ミハルは借り物の衣装なので、不自然な姿勢で制服が破れる。生活臭のあるリアルさが、カイに発見されたときにミハルが思わず語る「カイを追ってきた」という言い訳の「半分は嘘じゃない」という言葉の真実味を裏打ちするのである。
【カイの気遣いと葛藤】
ミハルがブーン艦長と接触したことで、カイは敵の計画を悟る。ミハルに負担をかけまいと自分で気づいたことにして、漏らした情報の回収をはかるカイの優しさが嬉しい。だが、それがかえってブライトの不審を誘ってしまうのだ。
Gアーマーからガンダムを分離する行為の固有呼称が登場。ガンダムを凸型のボルトにたとえて凹型のGパーツを引き抜くイメージであろう。
【グラブロの高性能】
冒頭のようにシャアは主任務で動けないため、ブーン自らがグラブロで出撃。これが本編へのモビルアーマーの初登場となる。ズゴック2機を曳航した状態でホワイトベースに追いつくのだから、凄まじい高速性と推力を備えている。
【ガンダムの水中戦】
出撃時、アムロが「ガンダムは水中戦用の武器は持っちゃいない」と不平を言い、ブライトがたしなめる。初期には大事件だったそんな応酬でさえ、もはや日常に変化しているのだ。案の定ビームの性能は劣化し、脚をつかまれたガンダムは苦戦するが、それを逆転の鍵とするアムロの戦いが、ガンダムらしいカタルシスを与える。巨大な機動兵器と戦うガンダムのビジュアルも斬新である。
人間として必死な行動をとったばかりに、ミハルは事故死してしまう。台本上は「頭がどこかの角にぶつかる」と記され、死因はそのためらしい。映像的にはミハルのイラストに乗せてカイへの言葉が届けられ、カイの絶叫が独特の余韻を残して暗転する。エピソード単位で閉じるTV版ならではの強烈な後味が、そこに生じる。
氷川竜介(アニメ評論家)
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