2008年1月22日 (火)
第27話「女スパイ潜入!」
冒頭、アムロによってパワーアップの解説が行われる。Gファイターから合体形態のGアーマー、Gスカイイージー、Gブル等の簡易形態まで手短に構造が整理されている。特にガンダム・シールド2枚重ね構造については、後々にも影響する。
【軟弱者再び】
艦を降りるカイを見て、ブライトは「ミライだって、軟弱者だって思うだろ?」と告げる。第2話のセイラとの応酬は艦内でも有名な様子だ。後半、カイの決意でこのセリフか活きてくる。当のセイラが戻ったカイを出迎えるときの淡泊さにも注目。
【ミハルとカイの微妙な間合い】
ミハルに声をかけられたときから、カイは彼女がジオン軍のスパイだと勘づいていたようである。お互いにどこまで知っているか探りあいながらも、具体的な言葉は決して会話には乗せない。その言葉や態度の微妙な選び方の中にカイがミハルに見せる思いやりが大きなみどころ。世の中には「言ってしまったらおしまい」になることが多い。『ガンダム』では、そうした機微が実によく描かれている。
ミハルがジルとミリーに別れを告げるときの会話には、明らかに二度とは会えない予感が漂っている。その雰囲気は当然、弟妹にも伝わっているはずだが、戦争を生き延びてきた知恵ゆえか、泣き叫んで姉を困らせるようなことは決してしない。その背伸びした幼さゆえ、今生の別れとなる予感が切ない味わいへと昇華していく。
【カラハの軽いノリ】
サミー・デイビス・Jrによく似たズゴックのパイロットの名はカラハ。ガンキャノンを一瞬ガンダムと勘違いするなどお茶目なところがあり、ひょうきんで軽薄とも取れる言動には隠れた人気がある。TV版では彼の活躍がたっぷり見られる。
シャアはブーン艦長に対してスパイ107号(ミハル)の潜入を指示するとき、ジオン公国への帰国をインセンティブ(報償)としてほのめかしている。しかし、MS2機を失ったと知れば、今度は責任払いとしてブーンにミハルとの接触を命令する。「アメとムチ」で巧みに部下のコントロールを行っているのだ。
氷川竜介(アニメ評論家)
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