2008年1月8日 (火)
第25話「オデッサの激戦」
マ・クベ隊の守る特殊鉱物資源基地への地球連邦軍の総攻撃作戦である。双方の作戦の軍事的な厚みや裏切り者の露呈、ホワイトベースの役割など、劇場版とは印象の異なる描き方がされている。
【三連星の絆】
「マッシュの魂よ、宇宙に飛んで永遠に歓びの中に漂いたまえ」というガイアの追悼の言葉が胸に染みる。ルウム戦役以来、激戦をともに戦い抜いた勇士の絆の大きさがわかるが、その心情を計算高いマ・クベが理解していないという対比も面白い。
【通信用語の頻発】
セイラに代わってフラウ・ボゥが通信を担当している。「暗号変調回路アルファゲイン」「クロスサイクルWF」など、軍事行動にともなう専門用語が、戦場のリアリティの厚みを強化している。
スパイ行為の露呈したエルラン中将は「ネガを渡せ」とアムロに迫る。そういえばマチルダの記念写真もポラロイド風だった。デジタルカメラや携帯電話の出現を正確に未来予測できたSF作品は皆無なので仕方ないが、時代の差を感じさせる。
【前進を指示するレビル将軍】
南極条約違反の水素爆弾を使おうとするマ・クベの恫喝に動じないレビル将軍。「レビル将軍は一言も語らなかったという。ただ、前進を示すための手を振っただけであると」という戦記風ナレーションが、その毅然とした潔さを盛りあげる。
【アムロの特殊能力】
「こんなザツな分解図で役に立つんですか?」と思わず本音を漏らすアムロ。しかし、そんな情報でもきちんと任務を果たせることにより、彼の特殊性が際だつのである。
ホワイトベースの少年たちとレビル将軍の会見で終わる本エピソード。1年間の当初放送予定に対して本エピソードは折り返し点にあるが、彼らの労苦を思えば「報われた」という格別のカタルシスがそこにある。つかの間のものとは知ってはいても、味わい深いオデッサ作戦の終了である。
氷川竜介(アニメ評論家)
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