2008年1月7日 (月)
第23話「マチルダ救出作戦」
レビル将軍直々の命令で、ガンダム用パワーアップメカ“Gアーマー”がこの回から登場する。TVシリーズの中盤、玩具売上のテコ入れのためにしばらくなにかと重点的に描かれるアイテムだ。大破したホワイトベースの救助要請に対し、マチルダ中尉を介して同時に届けられるというドラマチックな展開も、印象づけの一環だ。
【ド・ダイYSとグフ】
マチルダ隊を急襲するド・ダイは、「土台」という凄まじいネーミング。後にサブフライトシステムと命名される補助メカでモビルスーツ“グフ”に飛行性能を加える。第24話では「要撃爆撃機」とも呼ばれる。劇場版『機動戦士ガンダム』では丸ごとカットされているが、劇場版の続編のはずの『Zガンダム』や『逆襲のシャア』には後継メカが登場。TVと劇場、世界観の継続性を微妙にしているメカでもある。
ブライトから艦長指揮のノウハウを受けとり、代理を続行するミライ。だが、セイラとの溝はさらに深まる。現場の混乱を防ごうと、たまりかねたセイラが指揮系統を飛ばすなど、前回を超えたリアルな描写の数々が戦闘を緊迫させる。ブライトが病床からミライを歯がゆく思ったり、最後にセイラが関係修復の言葉をかけるなど、TVの長尺ならではの立体的で細やかな人間関係も見せ場のひとつ。
グフ部隊に手を焼き、大破したガンダムはGアーマーに乗ってついに逆転! パワーアップメカの登場も、こうしてドラマの見せ場の中にしっかり位置づけられた。実はドダイの登場も、この逆転劇を自然に見せるための、一種の「前座」だったのだ。富野アニメでは、こうした「前フリ」をあらかじめ見せておく演出が実に多い。たとえばラストでマチルダがカイをほめるシーンも、次回の「記念写真」への伏線であろう。こうしたTVならではの連続性にも、ぜひ注目して楽しんでいただきたい。
氷川竜介(アニメ評論家)
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