2007年11月6日 (火)
第17話「アムロ脱走」
パソコン時代前夜、70年代末ならではの興味深いコンピュータ描写が続出する。シミュレーション場面で、画面に数式らしきものが明滅するのは「計算機」という言葉に引きずられてのことだろうか。
【入浴シーン/ミライ編】
全編を通じて生活点景の一環と、おそらくはファンサービスとして描かれたのが、各女性キャラの入浴シーンである。その第1弾担当は、母性的イメージのミライ・ヤシマ。いっしょにお風呂に入っていたキッカが水道を壊し、修理が終わって指の隙間からつい見てしまうアムロの、年頃の男の子らしさに注目してほしい。
【コズンの脱走】
ラルの部下が百戦錬磨のしたたかさを備えていることが、隠し持った爆薬、通信室の発見、短時間での情報把握などで的確に描写されている。そんなコズンがハロの「防衛攻撃」で転ばされたとき、急にマンガ的になる描写には爆笑。さらに直後、バズーカの誤爆で死ぬあっけなさとの落差に、ガンダム的な無常感も漂っている。
これは第6話で指示どおりガンタンクで出撃したら失敗したという展開と「対」になった描写。かつてはブリッジ主導による混乱であったが、今回判断の主導はパイロットのアムロに移っている。この変化はアムロの成長を示しているものだが、それが今回ラストの苦い悲劇を招く引き金にもなっているのだ。
【ブライトの手をかわすミライ】
アムロ処分の相談にかこつけて、ミライとの関係を深めようと、さりげなく肩に手を置こうとするブライト。第3話のセイラへのモーションと合わせて考えると、ブライトの若さと性格がよく出ている。だが、ミライは姿勢をさりげなく変えて、ブライトを傷つけることなくかわしてしまうのが、セイラとは違うところ。ささいな仕草に育ちや性格の差が反映している。続くアムロのうわずった声とともに、セル画のキャラに人間くささが浮かぶ瞬間である。
氷川竜介(アニメ評論家)
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