2007年9月18日 (火)
第10話「ガルマ散る」
ジオン公国軍が制圧下においた北米も、結局のところはエリートが牛耳る階級社会。戦争を活用して政治的に取り入ろうとする人には事欠かない。激しい戦火と優雅な社交パーティが併走する対照的な光景も、実際にあったことの繰り返しだ。
【ガルマの純粋さ】
ザビ家の末子であることから、父親含めて周囲からかなり甘やかされて育ったと覚しきガルマ。彼の考え方は悪く言えば甘く世間知らずで、良く言えば純粋で美しい。イセリナとの禁じられた恋路も、若さゆえの情熱がその悲劇性を後押ししている。
【廃墟の地形】
今回の見せ場は、第二次世界大戦を連想させる激しい空爆と、モビルスーツ同士の市街戦。前者は暗闇の中でじっと絶える避難民たちの姿が東京大空襲の防空壕経験を連想させる。後者は崩れたビルに潜んだガンダムが窓からザクを狙い撃ちしたり、ザクがジャンプしつつ高空から攻撃するなど、有重力下の立体的な戦闘が見応え充分である。
本エピソードでホワイトベースがガウを背後から撃つ一連のシーンは、劇場版では「映像の原則」から方向性を吟味して左右逆版に再構成されて描かれている。オリジナルの映像は、TVシリーズのフィルムでしか見られない。
【終わりに見る光景】
外面と内面の食い違いは、ガンダムのドラマ演出における大きなポイントだが、ガルマが激しい戦闘の最期の瞬間に恋人のイメージを見ているというのは衝撃的。このギャップはやがてガンダムシリーズの定番にもなっていく。
氷川竜介(アニメ評論家)
(C) 創通・サンライズ
(C) 創通・サンライズ
関連サイト
あなたへのオススメ
編集部イチオシ
PREMIUM BANDAI
プレミアムバンダイ