2007年9月11日 (火)
第9話「翔べ! ガンダム」
OPテーマと同じサブタイトルが第9話で、これも大きな節目となるエピソードだ。「翔ぶ」とは後の「ニュータイプ」にもつながって来る重要キーワード。突破できないもの、束縛するもの、過去など人を小さく鬱屈させる諸々から自由に解き放つという意味がこめられている。それと「空中戦」を絡めた作劇が秀逸で感動的なのだ。
【原因特定困難な鬱屈】
浮き沈みの激しさはアムロの年代特有のものだが、「親父にもぶたれたことないのに」という名セリフに結びつく今回の鬱屈は特にひどい。一度気を取り直したのに食堂で見た大人の醜さが引き金にはなっているが、実はそれだけではない。艦を覆う鬱屈感や食糧の窮乏など多重になっている要因の果てで、原因が特定できないというあたりがリアルに感じられて深いのである。
姉へのメンツから自ら戦闘機ドップで出るガルマ、それを支援するフリをして足を引っぱるシャアなど、敵側の内情も明確なもつれを見せ始める。それは次の第10話で一挙に表面化するのだが……。
【補給部隊マチルダの救ったもの】
起死回生の活躍をしたアムロ。ホワイトベースの物資不足と食糧難、精神的な孤立感のすべてを、妙齢の女性士官マチルダが補給によって「物心ともに」救うエピローグが鮮やかである。本当にアムロを救ったのはフラウ・ボゥだったりするが、彼女との心のすれ違いがささやかに点描されている場面も見逃せない。
氷川竜介(アニメ評論家)
(C) 創通・サンライズ
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