2007年9月25日 (火)
第11話「イセリナ、恋のあと」
冒頭、初めてジオン公国の実態が解説される。密閉型スペースコロニーの構造、サイズや遠心重力による科学的根拠など、基本設定も織り込まれている。ドズルが補修工事の放置を指摘し、国情が決して豊かではないことも同時に描かれている。
【デギン公王の描写】
雑誌等の事前資料では大ボス的な存在感のあった容貌のデギン公王。実はすでに権勢を失っており、ガルマの死の衝撃に揺れるばかりで息子ギレンの独走を収めることができない。これは意外であると同時にリアリティを感じさせる演出だった。
アムロがサーベルのツカから安全弁を解除し、ビーム・ジャベリンに使えることを発見する。これもハンマー同様に劇場版以後で削除されてしまった兵器だ。ジャベリンはガンダムの前作『無敵鋼人ダイターン3』でも使われていた手持ち武器。同作で激しい作画が評判だったスタジオZがこの11話の担当で、ガンダムがガウに飛び乗って大暴れするなど、他の回では見られないヒーロー的アクション全開のガンダムたちが飛び交っている。その弾けたテイストもTV版オンリー。
【ガルマ様の仇】
ガルマを失ったイセリナの末路も、劇場版以後に削除されてしまった。アムロを「仇」と呼びつつ果てるイセリナ。生き延びるための戦いも逆側から見れば怨恨を生むものとなる。その相対的で無常な感覚……イセリナが名もなき女性として埋葬される瞬間に、すべての時間はハーモニー作画で凍結され、驚きは感動へと昇華する。
氷川竜介(アニメ評論家)
(C) 創通・サンライズ
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