2007年9月4日 (火)
第8話「戦場は荒野」
TV シリーズのゆったりした時間を使って描かれる見どころのひとつに、地球という環境の広大さがある。このエピソードでは北米大陸の広い平野を漂流する中でグ レートキャニオン等の自然の雄大さが描かれ、最後にそれに匹敵する人為的な惨禍が示される。この戦争の大きさと人間の罪深さが、戦慄とともに浮き立つ回で ある。
【ミノフスキー粒子の解説】
ホワイトベースが山脈を応用してミノフスキー・スクリーンを展開する様が図解される。ガンダム世界を支えるこのアイテムの直接的な解説は珍しい。
【カイ・シデンの出陣】
爆弾をしかけたり、ガンキャノンに乗ってついに戦場へと出たりと行動的に活躍するカイ。この変化は前回を受けた部分があるに違いない。TVシリーズには、こうした大河ドラマ的な人間模様のゆらぎが充ちているので、非常に興味深い。
戦 争を主題にしたドラマの魅力のひとつに、お互いの化かし合いと手の内の読み合いがある。ブライトは名作戦をたびたび実行しているが、人道的休戦の背後に次 の戦いの布陣を行うというギリギリな感じがたまらない。ペルシア母子をルッグンが襲うのかと見えて実は……という描写もまた、同じ人間が同じ兵器で戦いも すれば人も助けるという二面性を象徴する妙味を出している。
【シャア、二重の動き】
「これで勝てねば貴様は無能だ」という内面の独白が象徴するように、シャアは上策を示しつつガルマを見下している。そんな伏線の緊張感が密かな楽しみどころとなっている。
氷川竜介(アニメ評論家)
(C) 創通・サンライズ
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