2012年11月7日 (水)
ガンダムのお約束 ~その30~『ガンダム名言集【その5】』
“ガンダムってなんだ!?”という素朴な疑問(?)に答えるガンダム超初心者「限定」のゆるコラム、第30回!
ガンダム界のスベスベマンジュウガニと巷で噂の“超々初心者向けガンダム入門・ゆるコラム”(!?)。第30回目も引き続き『~ガンダムのお約束・その30~』についてお話ししたいと思います。
これまでガンダムにまつわる様々なお約束について触れてきましたが (バックナンバーはこちら!)、今度もガンダムといえばやっぱこれでしょ! という「アレ」に関する事柄です。
「ガンダム」の魅力のひとつとして欠かせないのが、一度はどこかで聞いたことがある! という、劇中に登場する素晴らしい“名台詞”の数々ですよね~。
第30回目は「ガンダム名言集(その5)」として、『機動戦士ガンダム』以降に出てくる数々の名台詞の中から、代表的なものをいくつかご紹介していきたいと思います~!
●●●
【その1】
ガンダムの名言はそれぞれが熱い想い(メッセージ)を言いたい放題!? なのがお約束!?
「お前を殺す」(ヒイロ・ユイ/『新機動戦記ガンダムW』)
まず最初は、タンクトップに短パンがトレードマーク(!?)という主人公の一人「ヒイロ・ユイ」の台詞です。(『新機動戦記ガンダムW』第1話『少女が見た流星』)。
マッド・サイエンティスト、ドクターJの元で少年工作員として英才教育を受けていた彼は、強靱な精神力とずば抜けた身体能力を有しており、その凄さは分厚い鉄骨を素手で折り、50階建てのビルの屋上から飛び降りても軽く骨折する程度、加えて身体の反応速度はスーパーコンピュータでも測定不能、と、もはやこうなると無敵のアメコミのヒーロー並ですね。ちなみにヒイロ・ユイという名前は彼につけられたコード・ネームだったりします。
で、「お前を殺す」って、これもいきなりスゴい台詞ですが、ウイングガンダムとともに撃墜されて海岸に流されていたヒイロをヒロインのリリーナ・ドーリアンが見つけ、救急隊へ連絡するものの、ヒイロは救急車を奪って逃走(←顔を見られたため)。後日、リリーナの学校へヒイロが転入、リリーナは誕生日パーティの招待状をヒイロに渡しますが、ヒイロはなんとその招待状を破り棄てます。ショックを受けて涙を浮かべるリリーナの涙を指で軽く拭い、立ち去り様に囁くのがこの言葉です。
助けたあげくに、せっかく気を遣って誕生日パーティの招待状を渡してあげたら、思いっ切り破り棄てた上に「お前を殺す」とか……、ないわー。絶対ないわー。このあまりにも理解不能な行動には、リリーナじゃなくたって誰でも「何なのこの人……」って絶対つぶやくと思います。
とは言え、ヒイロはリリーナ以外にも「お前を殺す」と結構宣っていますが、実際には誰一人として手をかけていないため、彼にとっての「お前を殺す」という言葉は「今日はいいお天気ですね。ごきげんよう」程度の意味なんでしょう。彼がこの様な言動を取るのは幼少期の教育に問題があったのかもしれません。彼はドクターJという少々困った性格の方に育てられたために、一般的な社会常識を習慣を理解することができなかったのです。もし私が「お前を殺す」と囁かれたら「ワレ! 誰にモノいってんじゃコラ!」と飛び膝蹴りを食らわせて再教育を施してみたいと思いますが……(←彼の身体能力をもってすれば、難なく避けられたあげく、逆に頭をカチ割られてしまいそうですけれど)。
「ガンダム売るよ!」(ガロード・ラン/『機動新世紀ガンダムX』)
次にご紹介する台詞は、名前の通り“我が道を行く”主人公「ガロード・ラン」の台詞です(『機動新世紀ガンダムX』第7話『ガンダム売るよ!!』)。
旧連邦軍の技術者を父に持つ戦災孤児の彼は、ジャンク屋とモビルスーツ狩りで生計を立てていましたが、戦後、地球上に唯一自然発生したというニュータイプの少女、ティファ・アディールという少女を奪還するために潜り込んだバルチャー艦フリーデンで依頼人を裏切り、同艦のクルーとなります。作戦中に自分のミスでバルチャー艦フリーデンのキャプテンであるジャミル・ニートに重傷を負わせてしまった彼は、その事で艦内の他のクルーに責められ、険悪な雰囲気に堪えられなくなりガンダムXに乗って街へ逃げ出しますが、なんと、ガロードは整備工場の一角を借り、そこでガンダムのオークション(!?)を始めてしまいます。そこで出てくるのがこの台詞です。
「ガンダム売るよ!」って、あのガンダムXを売ってくれるのなら、是非とも欲しい! という人はそりゃもう山ほどいるでしょうが、いきなり三億も出してくれるのは腕利きのフリーのモビルスーツ乗りでガロードくんに因縁のあるエニル・エル姐さんだけくらいでしょう。それにしても気になるあの娘の前でカッコつけて失敗し、フリーデンに居づらくなったからってガンダムXを勝手に持ち出してオークションにかけるとか、ガロードくんもまだ若いとはいえ色々とやっちまったな~感満載です。確かに一人で生きて行くためにはとりあえずまとまったお金が必要なんでしょうけれど、盗んだガンダムXをそのままオークションにかけて稼ごう、なんて無責任な発想はまるでゆとり世代の悪い若者の見本みたいじゃないですか! やはり、ここは地道に稼ぐべきです。せめてガンダムの部品だとわからないように少しずつ切り売りしていくとか……(←犯罪です)。こんな事してたら大好きなティファちゃんに余計振り向いてもらえなくなりますよ~。
「地球はとてもいいところだ、みんな、早く戻ってこーい!」(ロラン・セアック/『∀ガンダム』)
この台詞はムーンレィス(月面居住者)でありながら地球側に所属する主人公「ロラン・セアック」の台詞です(『∀ガンダム』第1話『月に吠える』)。
月から地球へ戻ってきた心優しい少年である彼は、川で溺れているところを助けられてハイム家の鉱山労働者となり、その後に運転士へ抜擢されます。
地球への潜入に成功したロランが、ある夜に屋敷を忍び出して月から地球へ帰還するときに使用した土に埋めてあるフラット(月のモビルスーツ)の上に立って、月に向かって叫ぶ言葉がこれです。
“月からやってきた××”というと「かぐや姫」に始まって、お爺ちゃんの世代なら「○光仮面」、もう少し下なら「セー○ームーン」と大体、正義の味方と相場が決まってます(←第三帝国の軍隊がUFOに乗って攻めてきた! という映画もありますね~)。でも、このターンエーで月からやってきたのは三人の少年少女たちです。
地球の生活にすっかり馴染み、大金持ちのカワイイお嬢様とも懇意となってすっかり有頂天のロランくんが、土に埋まったフラットに頬ずりをしてハシャいでしまう気持ちもわからなくはありません。でも月夜の晩に一人で月に向かってこんなことを叫んでいるのを見られるのはすっごく恥ずかしいことだと思います。ほら、岩場の影から仕えていたハイム家の次女、ソシエ・ハイムお嬢様に見られてるじゃないですか! ふと我に返って、月に向かって吠えているところを見られた!? なんて知ったら、きっと純朴なロランくんだって恥ずかしくて「きゃー」と叫びながら七転八倒で転がり回りたくなるに違いありません。だからソシエお嬢様もどうか見なかったことにしてあげてください! 人は誰でも月に向かって叫びたくなる夜があるのです……。
「やめてよね……。本気で喧嘩したら、サイが僕に敵うはずないだろ……」(キラ・ヤマト/『機動戦士ガンダムSEED』)
この台詞は、コーディネイター(遺伝子操作された人類)である主人公「キラ・ヤマト」の台詞です(『機動戦士ガンダムSEED』第17話『カガリ再び』)。
まず、この「やめてよね……」という微妙なニュアンスがいかにもキラというキャラクターらしいと思いませんか? 人一倍ナイーブな心を持つ彼だからこそ「やめろ!」とかとかそういう乱暴な感じじゃなくて。で、この言い方がまたいかにも生々しくっていいんですよね~(←悲壮感溢れるBGMも♪)。
この台詞はいわゆる大人(!?)の“修羅場”といわれるようなシーンで使われてるんですが(←意味がわからない人はお父さんやお母さんに聞いてみよう!)、ここでキラの相手となる、フレイ・アルスターは、ある事件をきっかけにコーディネイターへ歪んだ憎悪を燃やすようになり “(コーディネイターである)キラの力を使ってコーディネイターに復讐してやる!”と企んで巧みに近づいて彼を籠絡します。そしてその関係をより強固(!?)にすべく、搭乗するアークエンジェル(大西洋連邦軍所属の強襲機動特装艦)のクルーで、元々の婚約者だったサイ・アーガイルを一方的に無視したあげく、婚約解消を告げたからさあ大変! すでにフレイの偽りの優しさに依存するようになってしまっているキラは、「ちょっと待てよ!」と激昂して詰め寄るサイの手をねじ上げて冷たくこの台詞を告げます(←このときフレイはきっと心の中でガッツポーズしたことでしょう)。
元はキラの通っていたカレッジのマドンナ的(キラも憧れていた)存在だったというフレイですから、二人の間で取り合いになっちゃうのは仕方ないことなんでしょうが、フレイ自身も、ここでは上手く両方を騙しているようでいて、実はキラとサイ、二人の男の間でややこしい女心をぐらぐらと揺らしていたのかも知れません……。いや~ん、ドラマチックだわ~(ハートマーク)。
“コーディネイター”というのは、普通の人間である“ナチュラル”と比べていろんな点で優秀なんですが、それ故に時には激しい排斥運動を受けたりしてるんですね。この台詞はナチュラルであるサイに対してキラがコーディネイターである自分を勝ち誇っているとかそういうわけじゃなくて、逆にそれ故の過去のいろんな想いというか、彼ならではの複雑な感情も感じられるような気がしちゃいますねえ……。ともかくキラ・ヤマトという孤独で繊細なキャラクターの(良くも悪くも)人間らしい部分がよく出ている印象的な台詞だと思います。
しかし、この場面のサイは本当に可哀想ですね~(←フレイ、ほんまに悪い奴やで~)。
「俺がガンダムだ!」(刹那・F・セイエイ/『機動戦士ガンダム00』)
さて、ラストは元テログループの少年兵で、ガンダムマイスターの主人公「刹那・F・セイエイ」の台詞です(『機動戦士ガンダム00』第2話『ガンダムマイスター』)。
中東の貧しい国に生まれ、少年兵として育てられた彼は幼い頃、0ガンダムの戦闘場面を目撃し、その姿に今まで自分が信じ続けてきた本当の「神」(=新しい神)の姿を見つけて重ね合わせます。0ガンダムのパイロットであるリボンズ・アルマークの推薦でガンダムマイスター(パイロット)候補となった彼は、戦争を憎み、それを根絶するという目的を達成するため、マイスターとして自らの使命を果たしていこうと決意します。
彼にとっては戦争すら根絶してしまう圧倒的な力=神=ガンダム、という図式が頭の中にしっかりと出来上がっているのでしょう。
まあ、このいきなりの突拍子もない発言には「何言ってんだ?」とガンダムマイスター最年長の兄貴、ロックオン・ストラトスからすぐに鋭いツッコミが入るんですが、とにかく戦争根絶を体現する力=ガンダムであるならば、戦争根絶を体現する神(ガンダム)=ガンダムマイスターである俺、というように自分自身もある意味、“神”にならなければいけない、そう断言せねばならない強い意志と覚悟が彼にはあるのです。
しかしこの覚悟、なかなかスゴいですよね~。私も覚悟を決めて「俺がガンダムだ~!」(もしくは「私がガンダムよ~!」)とか叫びながら、ガンダムのお面を頭につけてお正月や季節の変わり目に上井草駅周辺を堂々と走り回ってみたいものです(←獅子舞やなまはげみたく……)。
以上、珠玉の名台詞を最後まで全開バリバリ!(←80’s昭和風味)でお届けした「ガンダム名言集 その5」いかがでしたでしょうか~?
嗚呼、ガンダムの世界って本当に素晴らしいですね~!!
さてさてさてさてさてさてさてさてさてさてさてさてさてさてさてさてさてさてさてさてさてさてさてさてさてさてさてさてさてさて、今回はここまで。次回も引き続き(!?)、『ガンダム』のお約束ごとについて、ゆる~く探っていきたいと思います。
文/馬場絵麻
ガンダム界のスベスベマンジュウガニと巷で噂の“超々初心者向けガンダム入門・ゆるコラム”(!?)。第30回目も引き続き『~ガンダムのお約束・その30~』についてお話ししたいと思います。
これまでガンダムにまつわる様々なお約束について触れてきましたが (バックナンバーはこちら!)、今度もガンダムといえばやっぱこれでしょ! という「アレ」に関する事柄です。
「ガンダム」の魅力のひとつとして欠かせないのが、一度はどこかで聞いたことがある! という、劇中に登場する素晴らしい“名台詞”の数々ですよね~。
第30回目は「ガンダム名言集(その5)」として、『機動戦士ガンダム』以降に出てくる数々の名台詞の中から、代表的なものをいくつかご紹介していきたいと思います~!
【その1】
ガンダムの名言はそれぞれが熱い想い(メッセージ)を言いたい放題!? なのがお約束!?
「お前を殺す」(ヒイロ・ユイ/『新機動戦記ガンダムW』)
まず最初は、タンクトップに短パンがトレードマーク(!?)という主人公の一人「ヒイロ・ユイ」の台詞です。(『新機動戦記ガンダムW』第1話『少女が見た流星』)。
マッド・サイエンティスト、ドクターJの元で少年工作員として英才教育を受けていた彼は、強靱な精神力とずば抜けた身体能力を有しており、その凄さは分厚い鉄骨を素手で折り、50階建てのビルの屋上から飛び降りても軽く骨折する程度、加えて身体の反応速度はスーパーコンピュータでも測定不能、と、もはやこうなると無敵のアメコミのヒーロー並ですね。ちなみにヒイロ・ユイという名前は彼につけられたコード・ネームだったりします。
で、「お前を殺す」って、これもいきなりスゴい台詞ですが、ウイングガンダムとともに撃墜されて海岸に流されていたヒイロをヒロインのリリーナ・ドーリアンが見つけ、救急隊へ連絡するものの、ヒイロは救急車を奪って逃走(←顔を見られたため)。後日、リリーナの学校へヒイロが転入、リリーナは誕生日パーティの招待状をヒイロに渡しますが、ヒイロはなんとその招待状を破り棄てます。ショックを受けて涙を浮かべるリリーナの涙を指で軽く拭い、立ち去り様に囁くのがこの言葉です。
助けたあげくに、せっかく気を遣って誕生日パーティの招待状を渡してあげたら、思いっ切り破り棄てた上に「お前を殺す」とか……、ないわー。絶対ないわー。このあまりにも理解不能な行動には、リリーナじゃなくたって誰でも「何なのこの人……」って絶対つぶやくと思います。
とは言え、ヒイロはリリーナ以外にも「お前を殺す」と結構宣っていますが、実際には誰一人として手をかけていないため、彼にとっての「お前を殺す」という言葉は「今日はいいお天気ですね。ごきげんよう」程度の意味なんでしょう。彼がこの様な言動を取るのは幼少期の教育に問題があったのかもしれません。彼はドクターJという少々困った性格の方に育てられたために、一般的な社会常識を習慣を理解することができなかったのです。もし私が「お前を殺す」と囁かれたら「ワレ! 誰にモノいってんじゃコラ!」と飛び膝蹴りを食らわせて再教育を施してみたいと思いますが……(←彼の身体能力をもってすれば、難なく避けられたあげく、逆に頭をカチ割られてしまいそうですけれど)。
「ガンダム売るよ!」(ガロード・ラン/『機動新世紀ガンダムX』)
次にご紹介する台詞は、名前の通り“我が道を行く”主人公「ガロード・ラン」の台詞です(『機動新世紀ガンダムX』第7話『ガンダム売るよ!!』)。
旧連邦軍の技術者を父に持つ戦災孤児の彼は、ジャンク屋とモビルスーツ狩りで生計を立てていましたが、戦後、地球上に唯一自然発生したというニュータイプの少女、ティファ・アディールという少女を奪還するために潜り込んだバルチャー艦フリーデンで依頼人を裏切り、同艦のクルーとなります。作戦中に自分のミスでバルチャー艦フリーデンのキャプテンであるジャミル・ニートに重傷を負わせてしまった彼は、その事で艦内の他のクルーに責められ、険悪な雰囲気に堪えられなくなりガンダムXに乗って街へ逃げ出しますが、なんと、ガロードは整備工場の一角を借り、そこでガンダムのオークション(!?)を始めてしまいます。そこで出てくるのがこの台詞です。
「ガンダム売るよ!」って、あのガンダムXを売ってくれるのなら、是非とも欲しい! という人はそりゃもう山ほどいるでしょうが、いきなり三億も出してくれるのは腕利きのフリーのモビルスーツ乗りでガロードくんに因縁のあるエニル・エル姐さんだけくらいでしょう。それにしても気になるあの娘の前でカッコつけて失敗し、フリーデンに居づらくなったからってガンダムXを勝手に持ち出してオークションにかけるとか、ガロードくんもまだ若いとはいえ色々とやっちまったな~感満載です。確かに一人で生きて行くためにはとりあえずまとまったお金が必要なんでしょうけれど、盗んだガンダムXをそのままオークションにかけて稼ごう、なんて無責任な発想はまるでゆとり世代の悪い若者の見本みたいじゃないですか! やはり、ここは地道に稼ぐべきです。せめてガンダムの部品だとわからないように少しずつ切り売りしていくとか……(←犯罪です)。こんな事してたら大好きなティファちゃんに余計振り向いてもらえなくなりますよ~。
「地球はとてもいいところだ、みんな、早く戻ってこーい!」(ロラン・セアック/『∀ガンダム』)
この台詞はムーンレィス(月面居住者)でありながら地球側に所属する主人公「ロラン・セアック」の台詞です(『∀ガンダム』第1話『月に吠える』)。
月から地球へ戻ってきた心優しい少年である彼は、川で溺れているところを助けられてハイム家の鉱山労働者となり、その後に運転士へ抜擢されます。
地球への潜入に成功したロランが、ある夜に屋敷を忍び出して月から地球へ帰還するときに使用した土に埋めてあるフラット(月のモビルスーツ)の上に立って、月に向かって叫ぶ言葉がこれです。
“月からやってきた××”というと「かぐや姫」に始まって、お爺ちゃんの世代なら「○光仮面」、もう少し下なら「セー○ームーン」と大体、正義の味方と相場が決まってます(←第三帝国の軍隊がUFOに乗って攻めてきた! という映画もありますね~)。でも、このターンエーで月からやってきたのは三人の少年少女たちです。
地球の生活にすっかり馴染み、大金持ちのカワイイお嬢様とも懇意となってすっかり有頂天のロランくんが、土に埋まったフラットに頬ずりをしてハシャいでしまう気持ちもわからなくはありません。でも月夜の晩に一人で月に向かってこんなことを叫んでいるのを見られるのはすっごく恥ずかしいことだと思います。ほら、岩場の影から仕えていたハイム家の次女、ソシエ・ハイムお嬢様に見られてるじゃないですか! ふと我に返って、月に向かって吠えているところを見られた!? なんて知ったら、きっと純朴なロランくんだって恥ずかしくて「きゃー」と叫びながら七転八倒で転がり回りたくなるに違いありません。だからソシエお嬢様もどうか見なかったことにしてあげてください! 人は誰でも月に向かって叫びたくなる夜があるのです……。
「やめてよね……。本気で喧嘩したら、サイが僕に敵うはずないだろ……」(キラ・ヤマト/『機動戦士ガンダムSEED』)
この台詞は、コーディネイター(遺伝子操作された人類)である主人公「キラ・ヤマト」の台詞です(『機動戦士ガンダムSEED』第17話『カガリ再び』)。
まず、この「やめてよね……」という微妙なニュアンスがいかにもキラというキャラクターらしいと思いませんか? 人一倍ナイーブな心を持つ彼だからこそ「やめろ!」とかとかそういう乱暴な感じじゃなくて。で、この言い方がまたいかにも生々しくっていいんですよね~(←悲壮感溢れるBGMも♪)。
この台詞はいわゆる大人(!?)の“修羅場”といわれるようなシーンで使われてるんですが(←意味がわからない人はお父さんやお母さんに聞いてみよう!)、ここでキラの相手となる、フレイ・アルスターは、ある事件をきっかけにコーディネイターへ歪んだ憎悪を燃やすようになり “(コーディネイターである)キラの力を使ってコーディネイターに復讐してやる!”と企んで巧みに近づいて彼を籠絡します。そしてその関係をより強固(!?)にすべく、搭乗するアークエンジェル(大西洋連邦軍所属の強襲機動特装艦)のクルーで、元々の婚約者だったサイ・アーガイルを一方的に無視したあげく、婚約解消を告げたからさあ大変! すでにフレイの偽りの優しさに依存するようになってしまっているキラは、「ちょっと待てよ!」と激昂して詰め寄るサイの手をねじ上げて冷たくこの台詞を告げます(←このときフレイはきっと心の中でガッツポーズしたことでしょう)。
元はキラの通っていたカレッジのマドンナ的(キラも憧れていた)存在だったというフレイですから、二人の間で取り合いになっちゃうのは仕方ないことなんでしょうが、フレイ自身も、ここでは上手く両方を騙しているようでいて、実はキラとサイ、二人の男の間でややこしい女心をぐらぐらと揺らしていたのかも知れません……。いや~ん、ドラマチックだわ~(ハートマーク)。
“コーディネイター”というのは、普通の人間である“ナチュラル”と比べていろんな点で優秀なんですが、それ故に時には激しい排斥運動を受けたりしてるんですね。この台詞はナチュラルであるサイに対してキラがコーディネイターである自分を勝ち誇っているとかそういうわけじゃなくて、逆にそれ故の過去のいろんな想いというか、彼ならではの複雑な感情も感じられるような気がしちゃいますねえ……。ともかくキラ・ヤマトという孤独で繊細なキャラクターの(良くも悪くも)人間らしい部分がよく出ている印象的な台詞だと思います。
しかし、この場面のサイは本当に可哀想ですね~(←フレイ、ほんまに悪い奴やで~)。
「俺がガンダムだ!」(刹那・F・セイエイ/『機動戦士ガンダム00』)
さて、ラストは元テログループの少年兵で、ガンダムマイスターの主人公「刹那・F・セイエイ」の台詞です(『機動戦士ガンダム00』第2話『ガンダムマイスター』)。
中東の貧しい国に生まれ、少年兵として育てられた彼は幼い頃、0ガンダムの戦闘場面を目撃し、その姿に今まで自分が信じ続けてきた本当の「神」(=新しい神)の姿を見つけて重ね合わせます。0ガンダムのパイロットであるリボンズ・アルマークの推薦でガンダムマイスター(パイロット)候補となった彼は、戦争を憎み、それを根絶するという目的を達成するため、マイスターとして自らの使命を果たしていこうと決意します。
彼にとっては戦争すら根絶してしまう圧倒的な力=神=ガンダム、という図式が頭の中にしっかりと出来上がっているのでしょう。
まあ、このいきなりの突拍子もない発言には「何言ってんだ?」とガンダムマイスター最年長の兄貴、ロックオン・ストラトスからすぐに鋭いツッコミが入るんですが、とにかく戦争根絶を体現する力=ガンダムであるならば、戦争根絶を体現する神(ガンダム)=ガンダムマイスターである俺、というように自分自身もある意味、“神”にならなければいけない、そう断言せねばならない強い意志と覚悟が彼にはあるのです。
しかしこの覚悟、なかなかスゴいですよね~。私も覚悟を決めて「俺がガンダムだ~!」(もしくは「私がガンダムよ~!」)とか叫びながら、ガンダムのお面を頭につけてお正月や季節の変わり目に上井草駅周辺を堂々と走り回ってみたいものです(←獅子舞やなまはげみたく……)。
以上、珠玉の名台詞を最後まで全開バリバリ!(←80’s昭和風味)でお届けした「ガンダム名言集 その5」いかがでしたでしょうか~?
嗚呼、ガンダムの世界って本当に素晴らしいですね~!!
さてさてさてさてさてさてさてさてさてさてさてさてさてさてさてさてさてさてさてさてさてさてさてさてさてさてさてさてさてさて、今回はここまで。次回も引き続き(!?)、『ガンダム』のお約束ごとについて、ゆる~く探っていきたいと思います。
【著者プロフィール】
馬場 絵麻
脚本家。暴れん坊シナリオライターです。
ガンダムの魅力と素晴らしさを伝えるため、日々研鑽中!
脚本家。暴れん坊シナリオライターです。
ガンダムの魅力と素晴らしさを伝えるため、日々研鑽中!
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