2012年9月12日 (水)
ガンダムのお約束 ~その22~『お騒がせ&とんでもキャラクター【その1】』
“ガンダムってなんだ!?”という素朴な疑問(?)に答えるガンダム超初心者「限定」のゆるコラム、第22回!
ガンダム界のナスカの地上絵と巷で噂の“超々初心者向けガンダム入門・ゆるコラム”(!?)。第22回目も引き続き『ガンダムのお約束』についてお話ししたいと思います。
これまでガンダムにまつわる様々なお約束について触れてきましたが (バックナンバーはこちら!)、今回もガンダムといえばやっぱこれでしょ! という「アレ」に関する事柄です。
各作品ごとに濃~い内容(!?)のガンダムシリーズですが、どの作品においても表に裏に大活躍(!?)して物語を面白くする役割を果たしてくれる “お騒がせ”&“とんでも”(トラブルメーカー)系のキャラクター(!?)っていますよね?
第22回目では、そんな『ガンダムシリーズのお騒がせ&とんでもキャラクター その1(宇宙世紀編)』をご紹介しちゃいます~!
●●●
【その1】
ガンダムシリーズのお騒がせ&とんでもキャラはエリートで思い込みが激しい(!?)のがお約束!?
最初にご紹介するキャラは 「ガルマ・ザビ」(『機動戦士ガンダム』)。彼はジオン公国の御曹司で公王デギン・ソド・ザビの末子(四男)。とっても強面な顔の父に似ず(笑)、生まれつきキラキラと目立ってしまう星の下に産まれた、ようするにプリンス=王子様のような存在です(←サラブレッドってやつですね~)。ジオン公国では地球方面軍・北米方面の司令を担当(階級は大佐)。士官学校を首席で卒業したという彼は、頭も良ければ生まれながらの美男子(イケメンらしく右手で前髪を巻いていじるクセあり)ということもあってジオンの国民の間でも非常に人気が高く(特に女性からは、凛々しい! 素敵!! しびれちゃう!!! etc.などの声が!)、ザビ家の兄姉の中でも特に将来を高く期待されていました。性格はとても優しく繊細で、その育ちのよさからか、人を疑うことをまったく知らない純粋さのため(!!)、父のデギンは彼が厳しい軍人の道を選んだことを相当心配していたようです。
若くして指揮官・大佐という要職に就いたものの“親の七光り”と思われることをとても嫌った彼は、自ら戦闘機のドップ(ガルマ専用機は黄土色)で前線に出撃するなどの活躍ぶりを見せていましたが、そんな彼も経験不足と危機感のなさが命取りになってしまいます。
ジオン公国が占領した地球の北アメリカ大陸・ニューヤーク前市長の娘、イセリナ・エッシェンバッハと出会い、相思相愛になって婚約するものの、ジオンを心から憎む彼女の父親は当然ながらこの交際には猛反対。ガルマはなんと戦時下でありながら政財界の要人を集めたド派手なパーティーを(彼女のために!?)開催するという愛すべきお坊ちゃまぶりでロマンチックに彼女との仲を深めていきましたが、「戦場でラブロマンスか。ガルマらしいよ、お坊ちゃん」と呟くシャアにその“甘さ”を利用されてしまうことに……。
同期であるシャアとは士官学校以来の親友(唯一の友人かも?)だったものの、ザビ家に対する復讐のためにガルマに近づいていたシャアは彼のことを“良い友人”としながらも、その一方では“お坊ちゃん”、“坊や”と呼んで冷た~い目で見てたんですね~(こわ~)。
「彼女と結婚できないならジオンを捨ててもいい!」とまで婚約者のイセリナにのめり込んでしまっていたガルマは、彼女の父や、自分の親兄姉(姉は上司でもあるキシリア・ザビ)、そして周囲の人間に己の実力を認めさせようと、つい功を焦ってしまいます。
連邦軍の“木馬”ことホワイトベースを見事討ち取り、連邦軍の新兵器(ガンダム)を見事奪取することができれば“ジオン十字勲章”(←すごくいいものらしいです)ものだ、もちろん手助けはする、とまんまとシャアにそそのかされたガルマは、ここぞとばかりに張り切ってガウ攻撃空母で出撃していくのですが……。とにかく王子様キャラを華々しく貫いて散っていった彼の存在は、最後の最後の最後(!?)までジオンという国に影響を与え続けたんですね~。
でも、そんなガルマの一番“とんでも”ないところは、いくら同期で唯一の友達とはいえ、な~んかいかにも裏がありそうな感じバリバリなシャア(←仮面をつけてなくても充分アヤシイでしょ~?)のことを頭から100%完全に信用しちゃってた、という度を越した人の良さなのかも(?)知れません~。
次のお騒がせ&とんでも(?)キャラは 「ジェリド・メサ」(『機動戦士Ζガンダム』)。代々職業軍人の家系というエリート出身で、上昇志向も強く元々プライドの高い彼は地球連邦軍のエリート部隊・ティターンズに所属するモビルスーツのパイロットです(中尉)。宇宙港でたまたま通りがかったカミーユ・ビダン(主人公)の名前を「女の名前なのに……、なんだ男か」と小馬鹿にしたことから激怒したカミーユに殴りかかられてそのまま大喧嘩に発展(←余計な一言!)。このことからカミーユと深~い因縁の関係がスタートすることになるんですが、以降、幾度となく対立し、意地になって「打倒カミーユ!」とばかりに必死で頑張ることが逆に仇となって彼の運命も大きくねじ曲がっていってしまいます。
後にパイロットとして搭乗していたガンダムMk-IIの飛行訓練中、誤ってカミーユが拘束されていたビルに落下したジェリドは、反地球連邦組織のエゥーゴ(とカミーユ)に大事なMk-IIを奪われてしまいます。その後、カミーユのいる宇宙巡洋艦アーガマの追撃に参加した際には策略のせいでカミーユの母親の命を奪ってしまい、以降は自分の大事な親友や戦友をカミーユとの戦いの中で次々と失っていくことになってしまいます。
ジャブローから奇跡の帰還を果たした際には新型可変モビルスーツの「ガブスレイ」を与えられ、パートナーであり恋人でもあるマウアー・ファラオとコンビを組んでカミーユに雪辱の戦いを挑むものの、また失敗。この戦いではマウアーを失ってしまい、カミーユとの関係はますます泥仕合に……。さらに毒ガス作戦やアーガマへの特攻に加えて、キリマンジャロ基地ではカミーユに崖から投げ落とされてもガッツ(笑)でよじ登り、試作モビルスーツの「バイアラン」でサイコガンダムを撃破するというその根性と執念深さにはカミーユも正直引いてしまうほど(←1作品中の搭乗モビルスーツ破損、もとい乗り換え数の多さ(7機)は全シリーズ中でもトップクラス!)。
何度敗北し、撃墜されてもめげずにひたすら生き延び、惨敗を重ねたあげく、ついに最終決戦では自分もニュータイプ専用モビルスーツ「ハウンド・ドック」に搭乗してカミーユの乗るΖガンダムに組み付いていくのですが……。
強いエリート意識を支えに、ひたすらに努力を重ねて宿敵であり因縁のカミーユという“壁”を壊そうとしてきたのに、失態ばかりの “汚名挽回”(←ほんとは汚名返上したかった?)続きで、カミーユから“戦場ではしゃぐお調子者”呼ばわりまでされてしまったというなんとも残念なキャラのジェリドですが、むしろその徹底したどん底からの這い上がりっぷりが功を奏し(!?)、憎まれ役でありながらも主人公のカミーユと並ぶほどの(超えた?)印象深いキャラクターの一人となったのではないでしょうか。
●●●
【その2】
ガンダムシリーズのお騒がせキャラは思い込んだら自分勝手に暴走する(!?)のがお約束!?
続いて 「ギニアス・サハリン」(『機動戦士ガンダム 第08MS小隊』)。彼はジオン公国の技術将校(少将)で、ジオンの名家サハリン家の当主。物語のヒロイン、アイナ・サハリンの兄でもある彼は裕福な暮らしを送っていましたが、あるときを境に突然サハリン家は没落。その時すでに深刻な病に冒されていたギニアスは、サハリン家再興のために自分の心血を注ぎ込んで異常なまでの執念を燃やしていくことになります。
地球連邦軍の総司令部・大本営であるジャブローの強襲のために作られたモビルアーマー「アプサラス」の開発責任者であり、公王のデギン・ソド・ザビから一任を受けて秘密基地で開発に没頭していたギニアスは、このアプサラスを完成させることがサハリン家の復興に繋がる唯一の手段と考え、それ以降、妨害を企てようとする者は敵であろうが味方であろうが容赦なく排除、殺害(!)するという常軌を逸した行動を取るようになっていきます。
そして妹・アイナを偏愛する一方で、一般人の彼女を宇宙用高機動試験型ザクIIやアプサラスのテストパイロットとして搭乗させるなど、復興のための“道具”として彼女をも利用しようとしました。終盤ではギレン総帥にアプサラスの開発計画中止を進言しようとした旧友、ユーリ・ケラーネを部下もろとも謀殺、ついに念願の「アプラサラスIII」を完成させますが、なんとそれまでの開発スタッフを完成パーティーの席で全員毒殺(!)、その後に跡形もなく爆破(!!)してしまうなど、そこまでして基地のすべてを完全に自分の配下に置こうとするなど、ここにきてもはや科学者というより単なる凶悪犯罪者のような(!?)彼の狂気は悲しい結末に向かって急速に高まっていきます。
悲願だったサハリン家復興のために、身も心も悪魔と化してしまったギニアスはお騒がせ&とんでも系の枠の中では相当にアブないキャラ(←危険人物)といえるでしょう。
ラストは 「クェス・パラヤ」(『機動戦士ガンダム 逆襲のシャア』)。地球生まれの地球育ちで、左右非対称の青いツインテール姿がチャームポイント(!?)の彼女は、地球連邦軍の参謀次官、アデナウアー・パラヤの娘。父親には甘やかされていたものの、実母とは離別し、継母とは険悪という少々複雑な家庭環境が影響したためか、とても高慢で気が強く、反抗心も旺盛という、よく言えば天真爛漫で、悪く言えば自己中心的でわがまま放題&言いたい放題のお嬢様として自由奔放に(←行く先々でいつもトラブルを起こしながら)生きていましたが、家出先から父親によって強制的に連れ戻しをくらって宇宙に連れて行かれたことから彼女の運命は大きく変わっていってしまうんですね~。
もともとニュータイプに対して強い関心があった彼女は、家出をしてインドに渡り、ニュータイプ概念の実践主義(←「人類ががみんなニュータイプになればすべてわかり合える」という思想)グループのリーダーであるクリスチーナという女性の下でニュータイプの研究や修行(!?)をしていたほどなので、無理矢理に連れて行かれた宇宙でアムロ・レイやシャア・アズナブルという本物のニュータイプの二人に出会い、すぐに心惹かれていくことになります。当初は地球連邦軍の外郭新興部隊・ロンド・ベルに身を寄せて、ブライト・ノア大佐の息子であるハサウエイ・ノアと一緒に行動していましたが、アムロに一方的に好意を抱く一方で、アムロとチェーン・アギ(ロンド・ベルの技術士官)との仲を察して勝手に失望、ロンデニオン(サイド1のコロニーでロンド・ベルの拠点)でアムロとシャアが戦ったときにはアムロの邪魔をします。そこでシャアから優しい言葉でネオ・ジオン側に誘われたクェスはアムロへの嫉妬もあり、これを了承(!?)、以後は「クェス・エア」と偽名を名乗ってネオ・ジオンに身を寄せることになります。
クェスは、「(父親からは得られなかった)大人の男としての頼りがい」をシャアに求めて、独占的に強く想いを募らせていきますが、悲しいことにシャアにとっては結果的に彼女もまた戦争のための「道具」のひとつにすぎなかったのでした。
優れたニュータイプの素質を持っていたこともあり、ニュータイプ研究所で様々な訓練を受けた彼女はすぐに非凡な才能を見せてニュータイプ専用機ヤクト・ドーガやα・アジールといった機体の性能をフルに発揮するようになります。そしてシャアの命令で戦場に出たクェスは初陣となる地球連邦軍の軍事拠点・ルナツーにおいて予期せず実の父親を手にかけてしまい、それを機に感情のバランスを大きく崩してしまいますが、その後もシャアを信じて地球連邦軍と戦い続けることになり……。
とことんわがままな生粋のトラブルメーカーで困ったちゃんなクェスですが、根は決して悪い子じゃない(?)彼女には、お騒がせ&とんでもキャラとしてもっともっと活躍してほしかったですね~。
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と、いうことで今回は『ガンダムシリーズのお騒がせ&とんでもキャラクター その1(宇宙世紀編)』についてお送りしました!
嗚呼、ガンダムの世界って本当に素晴らしいですね~!!
さてさてさてさてさてさてさてさてさてさてさてさてさてさてさてさてさてさてさてさてさてさて、今回はここまで。次回も引き続き(!?)、『ガンダム』のお約束ごとについて、ゆる~く探っていきたいと思います。
文/馬場絵麻
ガンダム界のナスカの地上絵と巷で噂の“超々初心者向けガンダム入門・ゆるコラム”(!?)。第22回目も引き続き『ガンダムのお約束』についてお話ししたいと思います。
これまでガンダムにまつわる様々なお約束について触れてきましたが (バックナンバーはこちら!)、今回もガンダムといえばやっぱこれでしょ! という「アレ」に関する事柄です。
各作品ごとに濃~い内容(!?)のガンダムシリーズですが、どの作品においても表に裏に大活躍(!?)して物語を面白くする役割を果たしてくれる “お騒がせ”&“とんでも”(トラブルメーカー)系のキャラクター(!?)っていますよね?
第22回目では、そんな『ガンダムシリーズのお騒がせ&とんでもキャラクター その1(宇宙世紀編)』をご紹介しちゃいます~!
【その1】
ガンダムシリーズのお騒がせ&とんでもキャラはエリートで思い込みが激しい(!?)のがお約束!?
最初にご紹介するキャラは 「ガルマ・ザビ」(『機動戦士ガンダム』)。彼はジオン公国の御曹司で公王デギン・ソド・ザビの末子(四男)。とっても強面な顔の父に似ず(笑)、生まれつきキラキラと目立ってしまう星の下に産まれた、ようするにプリンス=王子様のような存在です(←サラブレッドってやつですね~)。ジオン公国では地球方面軍・北米方面の司令を担当(階級は大佐)。士官学校を首席で卒業したという彼は、頭も良ければ生まれながらの美男子(イケメンらしく右手で前髪を巻いていじるクセあり)ということもあってジオンの国民の間でも非常に人気が高く(特に女性からは、凛々しい! 素敵!! しびれちゃう!!! etc.などの声が!)、ザビ家の兄姉の中でも特に将来を高く期待されていました。性格はとても優しく繊細で、その育ちのよさからか、人を疑うことをまったく知らない純粋さのため(!!)、父のデギンは彼が厳しい軍人の道を選んだことを相当心配していたようです。
若くして指揮官・大佐という要職に就いたものの“親の七光り”と思われることをとても嫌った彼は、自ら戦闘機のドップ(ガルマ専用機は黄土色)で前線に出撃するなどの活躍ぶりを見せていましたが、そんな彼も経験不足と危機感のなさが命取りになってしまいます。
ジオン公国が占領した地球の北アメリカ大陸・ニューヤーク前市長の娘、イセリナ・エッシェンバッハと出会い、相思相愛になって婚約するものの、ジオンを心から憎む彼女の父親は当然ながらこの交際には猛反対。ガルマはなんと戦時下でありながら政財界の要人を集めたド派手なパーティーを(彼女のために!?)開催するという愛すべきお坊ちゃまぶりでロマンチックに彼女との仲を深めていきましたが、「戦場でラブロマンスか。ガルマらしいよ、お坊ちゃん」と呟くシャアにその“甘さ”を利用されてしまうことに……。
同期であるシャアとは士官学校以来の親友(唯一の友人かも?)だったものの、ザビ家に対する復讐のためにガルマに近づいていたシャアは彼のことを“良い友人”としながらも、その一方では“お坊ちゃん”、“坊や”と呼んで冷た~い目で見てたんですね~(こわ~)。
「彼女と結婚できないならジオンを捨ててもいい!」とまで婚約者のイセリナにのめり込んでしまっていたガルマは、彼女の父や、自分の親兄姉(姉は上司でもあるキシリア・ザビ)、そして周囲の人間に己の実力を認めさせようと、つい功を焦ってしまいます。
連邦軍の“木馬”ことホワイトベースを見事討ち取り、連邦軍の新兵器(ガンダム)を見事奪取することができれば“ジオン十字勲章”(←すごくいいものらしいです)ものだ、もちろん手助けはする、とまんまとシャアにそそのかされたガルマは、ここぞとばかりに張り切ってガウ攻撃空母で出撃していくのですが……。とにかく王子様キャラを華々しく貫いて散っていった彼の存在は、最後の最後の最後(!?)までジオンという国に影響を与え続けたんですね~。
でも、そんなガルマの一番“とんでも”ないところは、いくら同期で唯一の友達とはいえ、な~んかいかにも裏がありそうな感じバリバリなシャア(←仮面をつけてなくても充分アヤシイでしょ~?)のことを頭から100%完全に信用しちゃってた、という度を越した人の良さなのかも(?)知れません~。
次のお騒がせ&とんでも(?)キャラは 「ジェリド・メサ」(『機動戦士Ζガンダム』)。代々職業軍人の家系というエリート出身で、上昇志向も強く元々プライドの高い彼は地球連邦軍のエリート部隊・ティターンズに所属するモビルスーツのパイロットです(中尉)。宇宙港でたまたま通りがかったカミーユ・ビダン(主人公)の名前を「女の名前なのに……、なんだ男か」と小馬鹿にしたことから激怒したカミーユに殴りかかられてそのまま大喧嘩に発展(←余計な一言!)。このことからカミーユと深~い因縁の関係がスタートすることになるんですが、以降、幾度となく対立し、意地になって「打倒カミーユ!」とばかりに必死で頑張ることが逆に仇となって彼の運命も大きくねじ曲がっていってしまいます。
後にパイロットとして搭乗していたガンダムMk-IIの飛行訓練中、誤ってカミーユが拘束されていたビルに落下したジェリドは、反地球連邦組織のエゥーゴ(とカミーユ)に大事なMk-IIを奪われてしまいます。その後、カミーユのいる宇宙巡洋艦アーガマの追撃に参加した際には策略のせいでカミーユの母親の命を奪ってしまい、以降は自分の大事な親友や戦友をカミーユとの戦いの中で次々と失っていくことになってしまいます。
ジャブローから奇跡の帰還を果たした際には新型可変モビルスーツの「ガブスレイ」を与えられ、パートナーであり恋人でもあるマウアー・ファラオとコンビを組んでカミーユに雪辱の戦いを挑むものの、また失敗。この戦いではマウアーを失ってしまい、カミーユとの関係はますます泥仕合に……。さらに毒ガス作戦やアーガマへの特攻に加えて、キリマンジャロ基地ではカミーユに崖から投げ落とされてもガッツ(笑)でよじ登り、試作モビルスーツの「バイアラン」でサイコガンダムを撃破するというその根性と執念深さにはカミーユも正直引いてしまうほど(←1作品中の搭乗モビルスーツ破損、もとい乗り換え数の多さ(7機)は全シリーズ中でもトップクラス!)。
何度敗北し、撃墜されてもめげずにひたすら生き延び、惨敗を重ねたあげく、ついに最終決戦では自分もニュータイプ専用モビルスーツ「ハウンド・ドック」に搭乗してカミーユの乗るΖガンダムに組み付いていくのですが……。
強いエリート意識を支えに、ひたすらに努力を重ねて宿敵であり因縁のカミーユという“壁”を壊そうとしてきたのに、失態ばかりの “汚名挽回”(←ほんとは汚名返上したかった?)続きで、カミーユから“戦場ではしゃぐお調子者”呼ばわりまでされてしまったというなんとも残念なキャラのジェリドですが、むしろその徹底したどん底からの這い上がりっぷりが功を奏し(!?)、憎まれ役でありながらも主人公のカミーユと並ぶほどの(超えた?)印象深いキャラクターの一人となったのではないでしょうか。
【その2】
ガンダムシリーズのお騒がせキャラは思い込んだら自分勝手に暴走する(!?)のがお約束!?
続いて 「ギニアス・サハリン」(『機動戦士ガンダム 第08MS小隊』)。彼はジオン公国の技術将校(少将)で、ジオンの名家サハリン家の当主。物語のヒロイン、アイナ・サハリンの兄でもある彼は裕福な暮らしを送っていましたが、あるときを境に突然サハリン家は没落。その時すでに深刻な病に冒されていたギニアスは、サハリン家再興のために自分の心血を注ぎ込んで異常なまでの執念を燃やしていくことになります。
地球連邦軍の総司令部・大本営であるジャブローの強襲のために作られたモビルアーマー「アプサラス」の開発責任者であり、公王のデギン・ソド・ザビから一任を受けて秘密基地で開発に没頭していたギニアスは、このアプサラスを完成させることがサハリン家の復興に繋がる唯一の手段と考え、それ以降、妨害を企てようとする者は敵であろうが味方であろうが容赦なく排除、殺害(!)するという常軌を逸した行動を取るようになっていきます。
そして妹・アイナを偏愛する一方で、一般人の彼女を宇宙用高機動試験型ザクIIやアプサラスのテストパイロットとして搭乗させるなど、復興のための“道具”として彼女をも利用しようとしました。終盤ではギレン総帥にアプサラスの開発計画中止を進言しようとした旧友、ユーリ・ケラーネを部下もろとも謀殺、ついに念願の「アプラサラスIII」を完成させますが、なんとそれまでの開発スタッフを完成パーティーの席で全員毒殺(!)、その後に跡形もなく爆破(!!)してしまうなど、そこまでして基地のすべてを完全に自分の配下に置こうとするなど、ここにきてもはや科学者というより単なる凶悪犯罪者のような(!?)彼の狂気は悲しい結末に向かって急速に高まっていきます。
悲願だったサハリン家復興のために、身も心も悪魔と化してしまったギニアスはお騒がせ&とんでも系の枠の中では相当にアブないキャラ(←危険人物)といえるでしょう。
ラストは 「クェス・パラヤ」(『機動戦士ガンダム 逆襲のシャア』)。地球生まれの地球育ちで、左右非対称の青いツインテール姿がチャームポイント(!?)の彼女は、地球連邦軍の参謀次官、アデナウアー・パラヤの娘。父親には甘やかされていたものの、実母とは離別し、継母とは険悪という少々複雑な家庭環境が影響したためか、とても高慢で気が強く、反抗心も旺盛という、よく言えば天真爛漫で、悪く言えば自己中心的でわがまま放題&言いたい放題のお嬢様として自由奔放に(←行く先々でいつもトラブルを起こしながら)生きていましたが、家出先から父親によって強制的に連れ戻しをくらって宇宙に連れて行かれたことから彼女の運命は大きく変わっていってしまうんですね~。
もともとニュータイプに対して強い関心があった彼女は、家出をしてインドに渡り、ニュータイプ概念の実践主義(←「人類ががみんなニュータイプになればすべてわかり合える」という思想)グループのリーダーであるクリスチーナという女性の下でニュータイプの研究や修行(!?)をしていたほどなので、無理矢理に連れて行かれた宇宙でアムロ・レイやシャア・アズナブルという本物のニュータイプの二人に出会い、すぐに心惹かれていくことになります。当初は地球連邦軍の外郭新興部隊・ロンド・ベルに身を寄せて、ブライト・ノア大佐の息子であるハサウエイ・ノアと一緒に行動していましたが、アムロに一方的に好意を抱く一方で、アムロとチェーン・アギ(ロンド・ベルの技術士官)との仲を察して勝手に失望、ロンデニオン(サイド1のコロニーでロンド・ベルの拠点)でアムロとシャアが戦ったときにはアムロの邪魔をします。そこでシャアから優しい言葉でネオ・ジオン側に誘われたクェスはアムロへの嫉妬もあり、これを了承(!?)、以後は「クェス・エア」と偽名を名乗ってネオ・ジオンに身を寄せることになります。
クェスは、「(父親からは得られなかった)大人の男としての頼りがい」をシャアに求めて、独占的に強く想いを募らせていきますが、悲しいことにシャアにとっては結果的に彼女もまた戦争のための「道具」のひとつにすぎなかったのでした。
優れたニュータイプの素質を持っていたこともあり、ニュータイプ研究所で様々な訓練を受けた彼女はすぐに非凡な才能を見せてニュータイプ専用機ヤクト・ドーガやα・アジールといった機体の性能をフルに発揮するようになります。そしてシャアの命令で戦場に出たクェスは初陣となる地球連邦軍の軍事拠点・ルナツーにおいて予期せず実の父親を手にかけてしまい、それを機に感情のバランスを大きく崩してしまいますが、その後もシャアを信じて地球連邦軍と戦い続けることになり……。
とことんわがままな生粋のトラブルメーカーで困ったちゃんなクェスですが、根は決して悪い子じゃない(?)彼女には、お騒がせ&とんでもキャラとしてもっともっと活躍してほしかったですね~。
と、いうことで今回は『ガンダムシリーズのお騒がせ&とんでもキャラクター その1(宇宙世紀編)』についてお送りしました!
嗚呼、ガンダムの世界って本当に素晴らしいですね~!!
さてさてさてさてさてさてさてさてさてさてさてさてさてさてさてさてさてさてさてさてさてさて、今回はここまで。次回も引き続き(!?)、『ガンダム』のお約束ごとについて、ゆる~く探っていきたいと思います。
【著者プロフィール】
馬場 絵麻
脚本家。暴れん坊シナリオライターです。
ガンダムの魅力と素晴らしさを伝えるため、日々研鑽中!
脚本家。暴れん坊シナリオライターです。
ガンダムの魅力と素晴らしさを伝えるため、日々研鑽中!
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