私たちGMBは、現在のブランド形成に消費者・顧客の「参加(Participation)」は不可欠と考えています。
2020年に開催されたAdvertising Week Asia 2020でのセッション「私たちのガンダムから学ぶブランド論」では、ガンダムのゼネラルプロデューサー小形尚弘氏との鼎談で、音部氏は「消費者とブランドとの『co-creation(コ・クリエーション:価値共創。GMB#12参照)』あるいは『co-ownership(コ・オーナーシップ:共同所有)』をうまく具現化できたことが、ブランド長期化の大きな勝因」と触れていました。
2021年5月27日(木)に開催されたAWA2021では、ガンダムインフォ編集部より高木氏、ガンダムチャンネルより島中氏を迎えて「ブランド形成における参加と二次創作の重要性」について4人で話をしました。その模様を全文掲載にて誌上で再現いたします。
なお、読みやすさを考え、多少編集を加えています。
【登壇者】
・音部大輔(株式会社クー・マーケティング・カンパニー 代表取締役 / CEO)
・高木朝成(株式会社サンライズ)
・島中創麻(株式会社サンライズ)
・田中準也(株式会社インフォバーン 代表取締役社長)
音部:はい、みなさんこんにちは。クー・マーケティング・カンパニーの音部です。今日はどうぞよろしくお願いします。
田中:よろしくお願いします。続いて高木さんお願いします。
高木:はい、サンライズの高木です。本日はよろしくお願いします。
田中:よろしくお願いします。次に島中さんお願いします。
島中:はい、サンライズでガンダムチャンネルの管理人をやっている島中です。よろしくお願い致します。
田中:よろしくお願いします。最後に私、インフォバーンの田中が進行を務めさせていただきます。どうぞよろしくお願いいたします。なお本日は、ブランディングエージェンシーである株式会社フラクタさんの渋谷のスタジオを借りしてお送りしております。河野社長ありがとうございます。さあ、さっそくですが、現在のブランド形成において、消費者・顧客の参加というのは不可欠だと常々音部さんとお話をさせていただいているのですが、前回のAdvertising Week Asia 2020のセッション「私たちのガンダムから学ぶブランド論」で音部さんが「消費者とブランドのコ・クリエーションあるいはコ・オーナーシップをうまく具現化できたことが、ガンダムというブランドの長期化の大きな勝因だ」と触れておりました。本日はここさらに深掘ってみたいと思っています。
今日はガンダムインフォの編集長の高木さんと、ガンダムチャンネルの島中さんという、お二人の”中の人”、あまり表に出ない二人を交えてお話をいたします。
高木・島中:よろしくおねがいします。
田中:まず音部さん。40年以上も続くガンダムというのは、この今回のタイトルにある「参加と二次創作」というものが要因になっていると思うのですが、なぜそう思ったのかちょっと最初に解説をしていただけますか?
音部:前回お話ししたことかもしれませんが、ブランドは「意味」で、もともと定められた寿命がありません。いずれブランドの担当者が引退したり、いなくなったりしても、うまく扱えばブランドは永続的に生きる可能性があります。そうした長命の、力強いブランドの特徴的な要素のひとつに、消費者が所有感を力強くもっていることがあげられます。前回お話をしたときにも、アニメの新作が発表されるたびに「こんなのガンダムじゃない」といった反応がユーザーから出てくると伺いました。それは、ちょっとおかしな話であるとも思います。ガンダムの本来のオーナーが新しく作ったにも関わらず、オーナーではないユーザーが「いや、それ違うでしょう」と言ってしまう。ブランドに対する関与が大いに高まった状態では、こうした「自分のもの感」が生まれると考えます。そして、その好例としてガンダムを、あらためて取りあげた議論だと思います。
田中:音部さん、以前富野(由悠季)監督があるインタビューで答えていたのが非常に印象的だったと思うのですけれども、ご紹介いただけますか。
音部:2009年くらいのインタビュー記事です。たぶんガンダム30周年のときの記者会見で、富野監督が記者からちょっと挑発的な質問をされます。「(アニメ)作品は30年くらいの寿命で終わってしまうという風に言われていますが、どう思われますか?」といった内容だったと思います。「ガンダムは作品ではない。私はコンセプトを提示しただけで、作品を出したつもりはないから終わらない」というようなお答えをされているんですよね。
田中:すごいですよね。
音部:2009年当時にそれだけ読んでも、意味がわからなかったんじゃないかと思うのですけれども、参加することでユーザーの関与度が高まり、ブランドが強くなるんだということがなんとなく分かった上でその話を聞くと、納得感のあるやりとりです。作品というよりもコンセプトを提示することで、みんなが参加する余地、参加するプレイグラウンド(活動する場)がうまく提供されたということなのではないかと思います。
田中:それでこちらにいるお二人もそうなんですけれども、ガンダムそのものも何十作品とできていて、富野監督以外の方も監督しているし、キャラクターデザインもどんどん変わっている。いろいろな人が参加して40年以上続いていく中で、ここにいるお二人も、ガンダムインフォというメディア、ガンダムチャンネルというYouTubeのチャンネルで、参加して、創作というか、クリエーションしていると思うのですけれども、そもそもサンライズが主体的に発信するメディアがいろいろある中で、お二人それぞれは、消費者というか、ファン・ユーザーと(ガンダムを)つなぐ媒介者としての役目がありそうかなと思っているのですけれども、それぞれどんな立ち位置なんでしょう?まずガンダムインフォの高木さんの方から。
高木:ガンダムインフォは「ガンダムの公式ポータルサイト」と謳っていまして、基本的にはウェブサイトを中心に活動しています。SNSも一部ありますけど、基本的にはウェブサイトです。新しい情報、ガンダムの映像作品そのものもそうですし、日々出ていく新しい商品とかいろんな情報を、正確にユーザーの方にお届けするということを目的としてやっているという感じです。なので(ガンダムインフォ自身に)何かすごい意思があったりとか、ユーザーを方向付けるようなことというよりは、フラットに、色々なものをまんべんなく紹介する。本当は世の中にあるすべてのガンダム情報を我々のところから発信したいという目的でやっております。なので、あまりキャラクター付けというよりはフラットにして、ガンダムを好きな人たちになるべくプレーンな情報を届けてあげる、と言うことを目的としてやっているという形ですね。
田中:ニュースサイト的な意味合いで、すごくフラットで偏ってない情報ですし、一次情報をしっかりと選択されていますね。
高木:そうですね。
田中:我々の「Gundam Meets Business」というコンテンツもあるのですけれども、基本的には、情報を常に偏らずにファンにお届けする、と。なるほど。わかりました。一方でYouTubeというプラットフォームにおけるガンダムチャンネルはどういう立ち位置なんですか?
島中:そうですね、高木の真逆ですね。すごく偏っていると思います。でもやっぱりガンダムチャンネルは、新しいファンの方にガンダムと出会っていただくというのも一つの目的だったのですけれど、逆にもうずっとファンだよという方もたくさんいらっしゃるので、そういった方が楽しめることだったり、楽しみ方を提案したりとか、管理人の僕の癖が大いに出ているというか。無機質なガンダムインフォと色があるガンダムチャンネルで対照的かなと思ってます。
田中:この部分で言うとすごく対照的な2つのメディアというか、顧客接点を持っていると思うのですけれども、音部さん、この辺でラーニングありますか?
音部:そもそもお二人はガンダムインフォの指揮をしていらっしゃる方と、ガンダムチャンネルを指揮してらっしゃる方です。直接ガンダムを作られているわけではなく、そしてプロデューサーでもない。(ファンの方には)これはどういう構造になっているの?と思われるかもしれませんが、ブランドマネジメントの構造に照らして考えると、理解しやすいかもしれません。ブランドマネジメントの中で製品開発をやっているのが富野さん。
田中:クリエイターのほう。
音部:そうそうクリエイターとしてね。でブランドマネージャーやっているのがサンライズの小形さん。
田中:今のGM(ゼネラルマネージャー)の。
音部:そう、GMの。そしてそのブランドチームの中で SNSを担当してるのが島中さんで、ホームページを担当しているのが高木さんといった構造だと認識しています。これがわかっていると、お二人の話が理解しやすいかなと思います。
田中:なるほどなるほど。
音部:そして、そのSNSの中の人は新しい顧客の獲得を目指し、ホームページは正確な情報をちゃんと提供するというところに主要な責任をお持ちだ、という話と理解しました。
田中:そう考えると面白いですよね。そしてその基本は上司と部下だったりするんですよね?
高木:いえ、私と島中は別の部署で、直接の上司部下じゃないんですよ。
島中:あんまり関係ないんです。
田中:ああそうなんですか。
高木:同じ会社でいて、机もすごく近くて直接話したりすることはよくあるっていう関係ではあるんですけれど、という感じです。
島中:組織上はそんなに、という。
田中:なるほど。でも(組織が)サイロになってなくていいですよね、サンライズさん。近くて壁がなくて。
高木:はい。
田中:ちょっと音部さんから一つ、意地悪な質問をしていただきたいなと思うのですが。
音部:ちょくちょくこういう質問して、嫌われがちではあるんですけど、もしガンダムチャンネルなりガンダムインフォなりが、ある日なくなっちゃったとしたらどういう問題が発生したり、あるいはどういうことが世の中に起きるんでしょう?
島中:そうですね。まず僕と高木の仕事がなくなるっていう、サンライズから退職するっていうのが一つ起きると思うんですけど(笑)、まずガンダムチャンネルの方からお話しさせていただくと、新しいライトユーザーというか新規のファンとの接点をつくるためにガンダムチャンネルがあると思っているので、そこの接点がなくなるというのは新しいお客さんを、未来のガンダムファンを作るっていうのは少し難しくなっていくのかなと思っています。あとはガンダムチャンネルをガンダムファンのコミュニティの場としても考えているので、お客さんが他に楽しむところを求めなきゃいけないのかなというところが影響になるかなと思っています。
田中:高木さんどうですか?
高木:はい、ガンダムインフォが立ち上がる前の状況がひょっとしたらその答えの一つかもしれないのですが、ガンダムに限らずですが、世の中にはまとめサイトとか、情報を大量に集めているブログみたいなものは、実際今もたくさんあるわけですね。ファンの方たちのそういう活動自体はすごくありがたいし、良いと思うのですが、その中で、そのブログ、その情報発信源が、本当に正しい情報をそのまま伝える、第一次情報を読者に伝えるって言うことを目的としなくなる(かもしれない)。おそらくそれをやり続けるっていうのは、収益の問題もそうですし、何のためにやるのか分からないっていうことがその管理人には起きるだろうと想像するんですね。そうなっていくと、その情報って本当に正確なの?みたいなものや、面白ければいいみたいな情報をどんどん取り上げるようになってきてサイトの視聴者というか PV(ページビュー)は上がるかもしれないのですけれども、ちょっと質が落ちてくるじゃないですか。そのサイトの性質が低下すると、そこに来ているお客さんの情報もぐちゃぐちゃになってきてガンダムというものが好きなのに、変な情報に踊らされてしまうとか、いらないことが、面倒くさいことがいっぱい起きてしまって、だんだんガンダム嫌いになってしまう、みたいなことが起きるんじゃないかなということが考えられますね。長期的に見るとガンダムそのものが嫌いになるということが起きてしまうんじゃないかなという心配がちょっとありますね。
田中:音部さん、ブランドマネジメントの観点で言うとこれはどういう気づきがありますか?
音部:ブランドは「意味」なので、持続的に意味を構築していくのですが、玉石混交の情報が入ってくると意味の精度が落ちますね。いずれ意味がぼやけて、コミュニケーションの効率が劣化していきます。赤って言った時にパントーン(色見本)の何番の赤、がぴしっと決まっている状態のような明確なコミュニケーションと、赤って言った時にピンクからオレンジぐらいまでを赤と呼ぶような曖昧なコミュニケーションを比較すると、後者の方が当然効率はあまりよくありません。結果としてブランドから発信されるいろいろなコミュニケーションの効率が劣化するのはいずれ問題になっていくだろうと思われます。
田中:「守りのガンダムインフォ」と「攻めのガンダムチャンネル」、上司と部下じゃないけれどもなんかベテランと新進気鋭と言うところでいうと、さきほど音部さんもおっしゃっていましたけれど、企業・ブランドにとってのコーポレートサイト・カタログサイトを運用している方と、オウンドメディアとかSNS運用に近い、中の人という感じで役割が分担されているという印象はありましたね。
音部:島中さんがYouTubeでされていることって、通常Twitterですよね。
田中:まさに。Twitterの中の人がやってるぽい。
島中:YouTubeを使っていて気付いたのが、これってもしかしたらTwitterと同じなのかな、と。Twitterの中の人っていろんな方が今いらっしゃると思うんですけど、それを意識的にYouTube に持ってきているというか。すごく個人の色がついてるっていうのは、おっしゃる通りすごく意識してやってますね。
田中:ガンダムチャンネルは映像を見られる。YouTubeなので。ただ、映像を(さらに)映像化するっていうのは基本しないじゃないですか。「逆襲のシャア」を24時間見られるサービスとか、ファン待望なわけですよね。なのに、そのチャンネルの中で料理の動画とか作っているじゃないですか。あの遊びはサンライズさん的にはOKなんですか?
島中:そうですね、みんなどう思っているのかはよくわからないですし、視聴者の方もどう思ってるのかわからないですけれど、一種の管理人とのコミュニケーションなのかなと思っていて。そこでユーザーからこんなものが見たいとかっていうのがコメント欄でくると、こういうものが求められているんだとかもわかるし、料理を見せたいというよりは僕を…僕っていうか、擬似的に今、管理人の人格を作ってるんですけど、その人に愛着を持ってもらって、ガンダムチャンネルにこうしてほしいなどそういうものを引き出したいなって思ってる感じです。
田中:では、Twitterの中の人でめちゃめちゃフォローがある、企業アカウントに近い存在になろうとしてるんですね。
島中:そうですね。ただ忘れちゃいけないのは(僕は)ガンダムを作った人間ではないので、そこを間違えて前に出すぎるとやっぱり気持ち悪い方もいらっしゃると思うので、自分自身というか、もうガンチャンさんみたいな感じで擬似的な人格をつくってますね。そこは気をつけています。
音部:これ、今のはとっても参考になる話じゃないですかね。
田中:あとは隣の部署の先輩がすごい見守っている感じがいいですよね。
島中:いえ、けっこうチクチク嫌味言われますよ(笑)
音部:それぞれの席は物理的にどれぐらい離れているんですか?
高木: 4~5メートルぐらい。
音部:おーい、で声が聞こえる距離?
高木:全然すぐそこです。
島中:高木は直接言わないんですよ。後からチャットとかで、こうでしょ、ああでしょ、と。直接言えばいいじゃん(笑)。
田中:それがすごく、もちろんね、ガンダムインフォ自体もTwitterをやっていたりガンダムチャンネルもTwitterやっていたり、あるいはFacebookの公式ページも。連携は意識はしながらも、直接なんかそこで必ずしもお互い送客しなきゃいけないということではなく、結構独立的に(やっている感じですか)?
島中:そうですね
高木:ポリシーが違うというか、そのメディアによって出し方とか受け止められ方っていうのは結構変わってくると思いますので、そこはもう適したやり方というのがそれぞれあるだろう、という感じですね。皆が同じことやってもしょうがないし、同じことをあらゆるエリアでやっても、それで広がりはあるけど結局同じことで、どこかが潰れたらいっせいに全部潰れる可能性もある、ということを考えると、いろいろなことをやってみようっていうものの一つが、ガンダムインフォで、もう一つはガンダムチャンネルみたいな感じです。
田中:だから共通のユーザーというかファンがいて、当然のことながらガンダムインフォも見て、ガンダムチャンネルも見る、という方がガンダムインフォには正確な情報を取りに行って、今度はあそこ行ってみようとか、買ってみようとか。そして、一方でYouTube、ガンダムチャンネルに来ると、対話を楽しんでいて、ちょっと突っ込んだり。そういうところが同じ人を相手にしているけど違う対話をしているっていうのが面白いですよね。
そろそろですね、お時間が近づいてしまっている。あっという間なんですけれども、音部さん、動画をご覧の皆さんに向けて、明日からのマーケティング・コミュニケーションに活かせそうなものというのをまとめていただけますか。
音部:さきほど、Twitter的なYouTubeの使い方というお話がありましたけど、通常だったら言葉があります。Twitterで言葉を出すところなのですけれど、ガンダムの場合は映像がたくさんあるということもあって、言葉の代わりに映像でコミュニティとやり取りするのがガンダムチャンネルです。対して、ブランドのウェブサイトとして公式情報を提供するのがガンダムインフォ。そして忘れちゃいけないのは、本来のガンダムからの発信が作品であったり、あるいは、ガンプラも含む新商品であったりとか、これらも発信であると考えれば、実はユーザーやファンとのインタラクションですね。この三者がどういう関係で成立しているのか、というのはいろいろなブランドでもちょっと研究する価値があるだろうと思います。ガンダムチャンネルは多分ユーザーを活性化したり、新しいユーザーを創出したりするのでしょう。ガンダムインフォは正しい情報を正しく伝達する。その両者がガンダムという本来の発信源の周りを回っているイメージです。もうすぐ新作『閃光のハサウェイ』が全国ロードショーですけれども(※本セッションは4月に収録)、このビッグイベントに際してガンダムチャンネルとガンダムインフォがどういう立ち回りをするかというのは、リアルタイムで観察するのに良い機会なのではないかな、と思ったりしながら聞いてました。
田中:これが配信される頃はちょうど我々も見終わって、めちゃくちゃ感想言ってるというころだと思うんですよね、もちろんファンとして見るだけじゃなくて、ビジネスとして見てしまうというところはあるんですけれども、高木さんと島中さん、音部さんとこういう対談をして、今度こういうことを試してみようとか、チャレンジみたいなことって考えたりしますか?
島中:今の音部さんのお話を聞いていて、そんなにマーケティングのことって考えながらやっていたわけではなかったのですけれど、型にはめていただくというか、ブランディングみたいなお話もあったと思うので、そういったことは意識しながらそのガンダムチャンネルはどういう方針でやっていくのか、色がついてるついてないっていうのを、もうちょっとブランドという言葉ととらえて、目指すべき方針をガンチャンは固めていきたいなというふうに思いました。
田中:良かったですね。
音部:ガンダムとガンダムチャンネルの、両方のブランドを持っているっていう感じはありますよね。
島中:二次創作、今日のこのテーマでもありましたけど、そこを意識したいなと思いました。
田中:高木さん、どんな学びとか気づきがありました?
高木:ガンダムインフォ自身は何かをクリエイトするメディアではなくて、そのための土台になることを目指しているというふうに考えられるので、読んでくださっている方々が将来ひょっとしたらガンダムを作る側にも回るかもしれないですし、実際に日々の活動の中でガンダムを見ていることが、自分の生活に取り入れられるんだということに気付ける場になってるとすごくいいなと思っていて。「Gundam Meets Business」という連載をしていただきましたけれども、これを続けながら他の記事も読むことによって、それが自分の血になって肉になるっていうことが…ガンダムってそういうことができるブランドになってきているんだなということを気付かされたなと思ってます。
田中:よかったです。というのを受けて音部さん、もう一言、お二人に何かアドバイスをするとしたら?
音部:先ほど平たく、ガンダムチャンネルはユーザーとのコミュニティづくり、新しいユーザーを創出、という話がありましたけど、同時にこれを別の角度から見るとガンダムチャンネルは公式に二次創作っぽいことをしているように思います。厳密に言えば二次創作ではないんだけれど、乗っかってみたり、ネタにしてみたり。その公式のコミュニケーション、公式のコンテンツとか原材料はガンダムインフォが提供するのですけれど、それを自ら、率先して楽しみ方を提供してみているのがガンダムチャンネルだ、という捉え方もありそうだと思いました。
島中:違法チャンネルだと勘違いしてるユーザーさんも多いんで。本編アップしていると訴えられますよとか。
田中:違法風の本物。
島中:おっしゃる通りかと思いました。
田中:ありがとうございます。富野さんがコンセプトをつくって、それをサンライズの歴代の方々が積極的に参加をして、作って、と、みんなでブランドを作っているという、製品を作ってる人だけがブランドを作っているわけではなくて、ちゃんとそのマーケター、コミュニケーションをつくっている人がブランドを作っているという意識が(あって)、これを他のその消費財とか耐久財のブランドマネージャーとかあるいはマーケター、あるいはエージェンシーの方に伝わったらいいなと。
音部:いやー、そうですね。スタジオから出てきた時点では多分ガンダムにはなっていないんですよね。みんなが見て、みんなが関与してガンダムになっていくんだと思います。これはガンダムだけではなくて、実はあらゆるブランドがそういう設計を持ってもいいのかな、なんて思いました。
田中:ありがとうございます。音部さん、高木さん、島中さん、今日はどうもありがとうございました。ご覧の皆さまも最後までご視聴いただきましてありがとうございました。それではまたどこかでお会いしましょう。
GMBとは
ガンダムをこよなく愛し、ガンダムでビジネスを語る、謎でもないマーケターユニット。
音部 大輔
日米P&G、ダノンジャパン、ユニリーバ・ジャパン、資生堂などで、マーケティング担当副社長やCMOとしてマーケティング組織を構築・指揮し、持続的成長を実現。2018年より株式会社クー・マーケティング・カンパニー代表取締役。国内外のさまざまなクライアント企業にマーケティング組織強化など提供。博士(経営学 神戸大学)。日本マーケティング学会 理事。日経BPマーケター・オブ・ザ・イヤー審査員、日経BtoBデジタル・マーケティングアワード審査員。著書に『なぜ「戦略」で差がつくのか。』(宣伝会議)、『マーケティングプロフェッショナルの視点』(日経BP)
新卒でクレディセゾン入社。その後ジェイアール東日本企画、電通、トランスコスモス、メトロアドエージェンシー、電通レイザーフィッシュ(現電通アイソバー)を経て、2015年インフォバーン入社。2017年に取締役に就任。2021年より代表取締役社長。マスからデジタルまで精通し、オンラインとオフラインを横断する総合的なコミュニケーションデザイン及び新規事業開発・推進が得意。
一般社団法人マーケターキャリア協会 代表理事。
豊後 祐紀
30歳。デジタルマーケティング支援会社、読売広告社 シンガポール支店、DMM.com(現 DMM GAMES) でeスポーツ(PUBG JAPAN SERIES)のマーケティングマネージャーを経て、Lenovo Japan入社。ゲーミングPC(LEGION)事業のマーケティングリードとして、自社ブランドの向上に日々研鑽している。
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