Gundam Meets Businessの10回目は、キャリアのヒントについて説明します。
この連載を読んでいただいている皆様の多くはそこそこキャリアを積んできたものの、まだまだキャリア形成の途中という方が多いのではないでしょうか?
キャリア形成というのは、闇雲に転職を繰り返しても得られるものはないのは言わずもがな。どうすれば良い未来に向かっていけそうか、ガンダムに例えながら考えていきましょう。
この連載を読んでいただいている皆様の多くはそこそこキャリアを積んできたものの、まだまだキャリア形成の途中という方が多いのではないでしょうか?
キャリア形成というのは、闇雲に転職を繰り返しても得られるものはないのは言わずもがな。どうすれば良い未来に向かっていけそうか、ガンダムに例えながら考えていきましょう。
- 100機を撃墜した“ソロモンの悪夢”アナベル・ガトー。
- レビル将軍を捕縛した“黒い三連星”ガイア、オルテガ、マッシュ。
- 1年戦争前からゲリラ戦の名手“青い巨星”ランバ・ラル。
エースらしいエースは、それぞれの武勲とともに名を知られています。
キャリアにおいて「知られていること」というのは重要です。「地道にがんばっていれば、きっと誰かが見ていてくれる」という正義を信じつつ、主体的にキャリアを考えるのも正義かもしれません。「出る杭を評価したいが、出てくれないと見つけられない」という会社もあるでしょう。
いくつかの外資系企業では、こうした「個人のブランディング」を人事部と一緒に仕組み化しています。実績と能力評価だけではない「キャリア力」とでもいうべき考え方です。
自衛隊幹部学校の元戦術教官が書いた『兵器と戦術の日本史』という本では、「戦闘力」を、「(破壊力を含む)殺傷力」「移動力」「防護力」の3つの要素に分割して整理しています。広く曖昧な概念も、分割することで理解し管理しやすくなります。
「キャリア力」も、次の3つの要素に分割できます。すなわち、「Performance(能力)」「Image(確立された印象)」そして「Exposure(露出)」です。頭文字をとって、PIEモデルと呼ばれることもあります。
(1)Performance(能力)
Performanceとは能力のことです。日本語でパフォーマンスというと「人目をひくための派手な演出」のことを指すようですが、英語の原義は「現実の成績や実績」です。パフォーマンスがいい、というのは「よく目立つが空虚」ではなく「実績が出ている」ことです。日英で意味がほとんど正反対なので注意が必要です。形容詞では「高性能の」という意味になります。a performance mobile suitは、見掛け倒しのゾックではなく、高性能を誇ったズゴックEのようなモビルスーツを指します。多くの優秀な局地戦用モビルスーツがそうであるように、多くの優秀な人材にも得意不得意があります。自身の苦手分野に目がいきがちですが、勝った勝負の多くが強みを発揮した結果だと思い出せば、まずは強みを意識しましょう。ついで、足を引っ張らない程度に弱点の強化にも心を配りましょう。
(2)Image(確立された印象)
Imageは、自分自身と関連づける分かりやすい戦績や記述です。“ソロモンの悪夢”アナベル・ガトーは、ア・バオア・クーへの撤退戦で殿(しんがり)を務め、ビームバズーカを装備したリックドムで連邦の追撃部隊を撃退しました。殿だけでも十分に厄介な役回りですが、その戦績は多くの将兵の記憶に残ったことでしょう。誰もが嫌がる面倒なプロジェクトの担当になったときは、間違いなくピンチです。ですが、同時に大きなチャンスかもしれません。うまく成果を残すことができれば、誰にとっても分かりやすい戦績として知られることになるでしょう。
(3)Exposure(露出)
最後にExposureは自身の昇進を決める2つ、3つ上の階層の人々に提案や説明をする機会を指します。そうしたマネジメントに直接会って話せる機会は少ないかもしれません。でも、自分が書いた報告書や提案書は彼らのレベルまで上がっていくことはあります。新商品の進捗や来期の年間計画など、重要な文書を手がけることがあれば、「チャンスは最大限にいかす」主義も良さそうです。偉い人がこんなことを言っていました。
「どれだけのミスをしても、せいぜいクビになるだけだ。思い切ってやりなさい。」
最初は、恐ろしいことをいう人だと思いました。ですが後になって、気概と覚悟をもってやり抜いてみなさい、ということだったのかもしれないと考えました。
世の中の多くのことと同様、キャリアの構築も運と縁に大きく左右されます。同時に、運と縁は生まれつきの諸能力と努力の上に立っています。一年戦争を戦い抜いた我々の戦友たちのように、与えられたものの中で、最大限に考えて生き延びていきましょう。
10回に渡って短期集中連載してきたGundam Meets Businessですが、いかがでしたでしょうか?ビジネスのヒントを宇宙世紀のあの人たちや事象に学ぶことはまだまだ多そうです。
さて、シーズン1はこれにて終了です。また近いうちに、シーズン2でお会いしましょう。
Gundam Meets Businessでは、皆様からのご意見・ご感想をお待ちしております。
「ここがわかりやすかった」「このテーマをもっと深掘りして欲しい」「こんな用語をガンダムで解説すると?」など、お寄せいただけますと幸いです。連載の参考にさせていただきます。
お便りは、ガンダムインフォのお問い合わせフォームよりお願い致します。
GMBとは
ガンダムをこよなく愛し、ガンダムでビジネスを語る、謎でもないマーケターユニット。
音部 大輔
日米P&G、ダノンジャパン、ユニリーバ・ジャパン、資生堂などで、マーケティング担当副社長やCMOとしてマーケティング組織を構築・指揮し、持続的成長を実現。2018年より株式会社クー・マーケティング・カンパニー代表取締役。国内外のさまざまなクライアント企業にマーケティング組織強化など提供。博士(経営学 神戸大学)。日本マーケティング学会 理事。日経BPマーケター・オブ・ザ・イヤー審査員、日経BtoBデジタル・マーケティングアワード審査員。著書に『なぜ「戦略」で差がつくのか。』(宣伝会議)、『マーケティングプロフェッショナルの視点』(日経BP)
田中 準也
新卒でクレディセゾン入社。その後ジェイアール東日本企画、電通、トランスコスモス、メトロアドエージェンシー、電通レイザーフィッシュ(現電通アイソバー)を経て、2015年インフォバーン入社。2017年に取締役に就任。2019年より取締役COO。マスからデジタルまで精通し、オンラインとオフラインを横断する総合的なコミュニケーションデザイン及び新規事業開発・推進が得意。
一般社団法人マーケターキャリア協会 理事。
豊後 祐紀
2017年4月30日までトライバルメディアハウス コンサルティング営業部 熱狂ブランドマーケティングチームに所属。大手製菓会社や、大手化粧品メーカーなどのブランディングを提案し、実行。その後、2017年4月より読売広告社のシンガポール支店であるFLP YOMIKOに所属し、主に日清食品シンガポールのブランディングを担当。2017年12月より子供の頃の夢だったゲームのマーケターとなるべく、DMM.comに所属。ブランディングやプロモーションを担当する。
新卒でクレディセゾン入社。その後ジェイアール東日本企画、電通、トランスコスモス、メトロアドエージェンシー、電通レイザーフィッシュ(現電通アイソバー)を経て、2015年インフォバーン入社。2017年に取締役に就任。2019年より取締役COO。マスからデジタルまで精通し、オンラインとオフラインを横断する総合的なコミュニケーションデザイン及び新規事業開発・推進が得意。
一般社団法人マーケターキャリア協会 理事。
豊後 祐紀
2017年4月30日までトライバルメディアハウス コンサルティング営業部 熱狂ブランドマーケティングチームに所属。大手製菓会社や、大手化粧品メーカーなどのブランディングを提案し、実行。その後、2017年4月より読売広告社のシンガポール支店であるFLP YOMIKOに所属し、主に日清食品シンガポールのブランディングを担当。2017年12月より子供の頃の夢だったゲームのマーケターとなるべく、DMM.comに所属。ブランディングやプロモーションを担当する。
[Gundam Meets Business] Back Number
- 新連載「ビジネスのヒントは宇宙世紀にあり! ~ Gundam Meets Business ~」はじめます
- #01 ビジネスで大事な「戦略」のコツをガンダムで考える<目的編>
- #02 ビジネスで大事な「戦略」のコツをガンダムで考える<資源編>
- #03 大きな環境変化のときこそ重要視される「パーパス」をガンダムで語る
- #04 リーダーであってもなくても必要な「リーダーシップ」をガンダムで語る
- #05 リーダーシップを構成する5つの要素をガンダムで例える
- #06 ブランドの理解に不可欠な機能とベネフィット
- #07 日々の現場の活動やオペレーションで、正しく意思決定するために「OODAループ」をガンダムで理解する
- #08 競合の動きに踊らされることなく目的を遂行するには?
- #09 イノベーションで勝利の栄光を掴む前に必要なこと
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