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▲大河原邦男さん、高千穂 遥さん、永井 豪さん、安彦良和さん
Pop Over Musashinoスペシャルイベント「ロボットアニメ界の巨匠たちによるトークセッション」が、2月8日(土)に埼玉・所沢市民文化センター ミューズにて開催された。
本イベントは、埼玉県所沢市で好評開催中の、ポップカルチャーをテーマにした周遊型アートフェスティバル「Pop Over Musashino」(略称:POM展)を記念して実施されたもの。
1970年代の空飛ぶロボットアニメをテーマにした現代アート展「Fighting Robots 現代アーティストたちによるサイドストーリー」の開幕にあわせ、大河原邦男さん、高千穂 遥さん、永井 豪さん、安彦良和さんが登壇した。
それでは早速、当日の模様をレポートしていこう。
なお、ガンダムインフォでは展覧会「Fighting Robots 現代アーティストたちによるサイドストーリー」のフォトレポートも掲載中(記事はこちら)。会期は3月30日(日)までとなっているので、ぜひ足を運んでみよう。
本イベントは、埼玉県所沢市で好評開催中の、ポップカルチャーをテーマにした周遊型アートフェスティバル「Pop Over Musashino」(略称:POM展)を記念して実施されたもの。
1970年代の空飛ぶロボットアニメをテーマにした現代アート展「Fighting Robots 現代アーティストたちによるサイドストーリー」の開幕にあわせ、大河原邦男さん、高千穂 遥さん、永井 豪さん、安彦良和さんが登壇した。
それでは早速、当日の模様をレポートしていこう。
なお、ガンダムインフォでは展覧会「Fighting Robots 現代アーティストたちによるサイドストーリー」のフォトレポートも掲載中(記事はこちら)。会期は3月30日(日)までとなっているので、ぜひ足を運んでみよう。
イベントレポート
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トークショーの前に、バーチャルピアニスト・潤音ノクトさんによるロボットアニメソングの演奏会が開催された。
潤音さんは、バーチャルアーティストのプロジェクト「ポルタメタ」に所属。クラシック音楽にやや抵抗感がある人々に向けて、その楽しさを伝えていきたいという思いから、YouTubeを中心に楽曲解説やトークなど様々なコンテンツを配信している。
今回は『勇者ライディーン』のオープニングテーマから始まり、ブラームスの「交響曲第3番」第3楽章、そして今回の現代アート展にまつわる作品のメドレーを演奏。メドレーの中には『機動戦士ガンダム』より「翔べ!ガンダム」「サブタイトル」「ガンダム大地に立つ」も登場した。観客も拍手や手拍子で参加する人が多く、トークショーに向けて場を温めてくれた。
そしていよいよ、ロボットアニメ界の巨匠たちによるトークセッションが開幕。大河原邦男さん、高千穂 遥さん、永井 豪さん、安彦良和さん、モデレーターの井上伸一郎さんが登壇した。
井上さんは「皆様分かりますか?人間国宝が4人もいらっしゃる形で、このイベントの司会をするプレッシャーはものすごいですよ」と緊張を見せつつも、楽しいトークショーにしていきたいということで、早速トークがスタートした。
潤音さんは、バーチャルアーティストのプロジェクト「ポルタメタ」に所属。クラシック音楽にやや抵抗感がある人々に向けて、その楽しさを伝えていきたいという思いから、YouTubeを中心に楽曲解説やトークなど様々なコンテンツを配信している。
今回は『勇者ライディーン』のオープニングテーマから始まり、ブラームスの「交響曲第3番」第3楽章、そして今回の現代アート展にまつわる作品のメドレーを演奏。メドレーの中には『機動戦士ガンダム』より「翔べ!ガンダム」「サブタイトル」「ガンダム大地に立つ」も登場した。観客も拍手や手拍子で参加する人が多く、トークショーに向けて場を温めてくれた。
そしていよいよ、ロボットアニメ界の巨匠たちによるトークセッションが開幕。大河原邦男さん、高千穂 遥さん、永井 豪さん、安彦良和さん、モデレーターの井上伸一郎さんが登壇した。
井上さんは「皆様分かりますか?人間国宝が4人もいらっしゃる形で、このイベントの司会をするプレッシャーはものすごいですよ」と緊張を見せつつも、楽しいトークショーにしていきたいということで、早速トークがスタートした。
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▲井上伸一郎さん
まず初めに、1970年代の日本のアニメや各登壇者の仕事を振り返った。
大河原さんは、1972年4月に入社したタツノコプロで、上司であった中村光毅さんとのエピソードを語った。
当時美術課に配属され背景の練習をしている時に、中村さんから「メカに興味はないか」と問われたそう。「新入社員だった当時、『なんでもいいです、やらせてください』と答えると、まず最初に『科学忍者隊ガッチャマン』のタイトルロゴをデザインすることになりました。『鳥が飛んでいるようなイメージでデザインしなさい』と言われたのですが、(ロゴを作成したら)すぐに採用になっちゃった。その後も(メカについて)3か月練習している間にメインスタッフに組み込まれました」と当時を振り返った。
また、タツノコプロに入社する際の面接でも、当時の面接官だった吉田健二さんから「せっかく美術系の大学を出ているんだから、背景の方に行ったらどう?」とアドバイスされていたことも明かした。
高千穂さんが語ったのは、当時在学中に設立した「スタジオぬえ」の仕事について。
アニメの仕事を担当する班を仕切っていた松崎健一さんが『勇者ライディーン』を担当していた時、そこに『宇宙戦艦ヤマト』の仕事が入ることに。高千穂さんは当時『ひらけ!ポンキッキ』を担当していたが、松崎さんに「メチャクチャ大変だから、こっちもやってよ」とお願いされ、それ以来アニメ班のアイデアや、登場メカのコンセプトづくりに携わるようになったそうだ。
永井さんは、1972年から放送が開始した『マジンガーZ』についてのエピソードを語った。
『デビルマン』のアニメ制作をしている最中、車の渋滞をきっかけに思いついたのがこの作品。「すぐにスタジオに帰って、『この漫画をすぐ描きたい!』とイラストを1枚描いて、マネージャーだった弟にどこかやってくれる編集部はないか相談した」と明かす。『デビルマン』の企画を担当した東映の有賀 健さんに1枚のイラストだけを見せると、突然「これ、お借りしていいですか!」と言い残して外に出て行ってしまい、数日後アニメ化についての相談が来たそうだ。
「『どういう設定ですか』とか『主人公はだれですか』『どんなふうのキャラがいるんですか』みたいな質問を矢継ぎ早にされましたが、何も作っていなかったんで『ああ、すぐ作りまーす』と言って作りました」と語ると、会場からは笑いが起こった。
井上さんが安彦さんに話を振ると、「最初にこのイベントに呼ばれたのがだいぶ前なんですよ」とトークショーの経緯について話を切り出す。「僕と大河原で、巨大ロボットの裏話について対談をやってくれという話が来たんですが、『それだったら、すべてはマジンガーZから始まったんだから(永井)豪さん呼ばなきゃだめだよ』と言ったの。そして、だいぶ経ってからこれは(スタジオ)ぬえがいないとダメだなと(笑)。それで、普段こういうところになかなかでてこない高千穂に声かけたら、なぜか『でるよ』と言ってくれて。だからここに4人並べた功績が僕にあります」と説明。会場は、よくぞ集めてくれたと言わんばかりの盛大な拍手が起こった。
改めて当時のことを振り返ると、『勇者ライディーン』の話題に。「作るときに非常に困ったのが、だいたい豪さんのところでみんなやってるわけですよ。ダイナミック(プロ)が通った後はぺんぺん草も生えねえやと。何をやればいいのかと苦心していた時に、オカルトっぽいものはやってないということで『ライディーン』をやることになりました」と振り返った。
当時『マジンガーZ』が王道をいっていたので、「てれびランド」などの冊子のカラーグラビアにもページの差が出ていたそう。「今こうやって並んで昔の話をしているのが嘘みたいです」と感想を述べた。
大河原さんは、1972年4月に入社したタツノコプロで、上司であった中村光毅さんとのエピソードを語った。
当時美術課に配属され背景の練習をしている時に、中村さんから「メカに興味はないか」と問われたそう。「新入社員だった当時、『なんでもいいです、やらせてください』と答えると、まず最初に『科学忍者隊ガッチャマン』のタイトルロゴをデザインすることになりました。『鳥が飛んでいるようなイメージでデザインしなさい』と言われたのですが、(ロゴを作成したら)すぐに採用になっちゃった。その後も(メカについて)3か月練習している間にメインスタッフに組み込まれました」と当時を振り返った。
また、タツノコプロに入社する際の面接でも、当時の面接官だった吉田健二さんから「せっかく美術系の大学を出ているんだから、背景の方に行ったらどう?」とアドバイスされていたことも明かした。
高千穂さんが語ったのは、当時在学中に設立した「スタジオぬえ」の仕事について。
アニメの仕事を担当する班を仕切っていた松崎健一さんが『勇者ライディーン』を担当していた時、そこに『宇宙戦艦ヤマト』の仕事が入ることに。高千穂さんは当時『ひらけ!ポンキッキ』を担当していたが、松崎さんに「メチャクチャ大変だから、こっちもやってよ」とお願いされ、それ以来アニメ班のアイデアや、登場メカのコンセプトづくりに携わるようになったそうだ。
永井さんは、1972年から放送が開始した『マジンガーZ』についてのエピソードを語った。
『デビルマン』のアニメ制作をしている最中、車の渋滞をきっかけに思いついたのがこの作品。「すぐにスタジオに帰って、『この漫画をすぐ描きたい!』とイラストを1枚描いて、マネージャーだった弟にどこかやってくれる編集部はないか相談した」と明かす。『デビルマン』の企画を担当した東映の有賀 健さんに1枚のイラストだけを見せると、突然「これ、お借りしていいですか!」と言い残して外に出て行ってしまい、数日後アニメ化についての相談が来たそうだ。
「『どういう設定ですか』とか『主人公はだれですか』『どんなふうのキャラがいるんですか』みたいな質問を矢継ぎ早にされましたが、何も作っていなかったんで『ああ、すぐ作りまーす』と言って作りました」と語ると、会場からは笑いが起こった。
井上さんが安彦さんに話を振ると、「最初にこのイベントに呼ばれたのがだいぶ前なんですよ」とトークショーの経緯について話を切り出す。「僕と大河原で、巨大ロボットの裏話について対談をやってくれという話が来たんですが、『それだったら、すべてはマジンガーZから始まったんだから(永井)豪さん呼ばなきゃだめだよ』と言ったの。そして、だいぶ経ってからこれは(スタジオ)ぬえがいないとダメだなと(笑)。それで、普段こういうところになかなかでてこない高千穂に声かけたら、なぜか『でるよ』と言ってくれて。だからここに4人並べた功績が僕にあります」と説明。会場は、よくぞ集めてくれたと言わんばかりの盛大な拍手が起こった。
改めて当時のことを振り返ると、『勇者ライディーン』の話題に。「作るときに非常に困ったのが、だいたい豪さんのところでみんなやってるわけですよ。ダイナミック(プロ)が通った後はぺんぺん草も生えねえやと。何をやればいいのかと苦心していた時に、オカルトっぽいものはやってないということで『ライディーン』をやることになりました」と振り返った。
当時『マジンガーZ』が王道をいっていたので、「てれびランド」などの冊子のカラーグラビアにもページの差が出ていたそう。「今こうやって並んで昔の話をしているのが嘘みたいです」と感想を述べた。
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大河原さんは当時の仕事として『機動戦士ガンダム』についても触れる。
「当時、日本サンライズ(現バンダイナムコフィルムワークス)で、『無敵超人ザンボット3』『無敵鋼人ダイターン3』『機動戦士ガンダム』と毎年新しいロボットのデザインをさせてもらっていたので、20代・30代は新しい企画書が来るだけでワクワクしていた。ほとんどオリジナルものだったので、この先も続いていくのかなと思っていましたが、ガンダムシリーズが続いているおかげで、(逆に)オリジナルが減ってしまったというマイナス要素もあるんだなと思いましたね」と述べた。
安彦さんは、大河原さんへのメカデザインのオファーは自分から行ったと明かす。
「大河原さんにお願いしようと言ったのは僕なんですよ。大河原さんのデザインは易しくて描きやすそうだったから。その時に『スタジオぬえ』だけは嫌だった(笑)。高千穂には『ロボットものも勉強しなさいよ』とSFロボットの書籍や資料などでいろいろと教えてもらっているのに、デザインはやらないで欲しいと。だから何を言われても何されても文句はないんだけど」と笑いながら語りつつ、「(スタジオぬえの)松崎さんには裏設定とか考証をいろいろサポートしてくれて、結果的に正解だったと思います」と振り返った。
高千穂さんも「はっきりいって、ぬえはロボット・メカデザインは下手だったと思います」とコメント。「安彦さんの判断は正しくて、もしあの時に『やれ』って言われたら、まあこんな作品にはならなかったし、『GQuuuuuuX(ジークアクス)』も無理だったろうなと思います」と語ると会場は大爆笑。
安彦さんからオファーを受けた大河原さんは「ずいぶんと楽をした」と振り返る。
「ちょうどその時、『ゼンダマン』『ザ☆ウルトラマン』『科学忍者隊ガッチャマンII』『機動戦士ガンダム』の4作品を担当していました。『ガンダム』に関しては、ザク、グフ、ドムのデザインが終わったら、富野(由悠季)さんのところから、どんどんラフが出てくるんですよ。私のデザインにはない、ちょっと化け物系が多かったものですから。(監督の意向どおりにデザインしたので)ずいぶんと楽しましたよ」
ここで、井上さんが「『ダイターン3』に出るはずのあるメカが、実は『ガンダム』に転用された」という楽屋で聞いた面白い話を紹介。
大河原さんが語るのは、ひとつは「ホワイトベース」。艦体が3つに分離して合体してあのフォルムになるメカとして、「ダイターン3」のときにデザインされていたそうだ。もう一つは「ハロ」。ロケットを整備する小型ロボットが欲しいということでかなり案を多く作ったが、最後にはもう鬱陶しくなってしまい「丸描いてチョン」で作ったのが今のデザインになった。「サンライズって貧乏だったから、『ダイターン3』の時に富野監督がそのハロを『これは使わないでとっておこう』ということで、『ガンダム』の時にペットロボになりました。小さい会社だからこそできた技ですね」と振り返った。
「当時、日本サンライズ(現バンダイナムコフィルムワークス)で、『無敵超人ザンボット3』『無敵鋼人ダイターン3』『機動戦士ガンダム』と毎年新しいロボットのデザインをさせてもらっていたので、20代・30代は新しい企画書が来るだけでワクワクしていた。ほとんどオリジナルものだったので、この先も続いていくのかなと思っていましたが、ガンダムシリーズが続いているおかげで、(逆に)オリジナルが減ってしまったというマイナス要素もあるんだなと思いましたね」と述べた。
安彦さんは、大河原さんへのメカデザインのオファーは自分から行ったと明かす。
「大河原さんにお願いしようと言ったのは僕なんですよ。大河原さんのデザインは易しくて描きやすそうだったから。その時に『スタジオぬえ』だけは嫌だった(笑)。高千穂には『ロボットものも勉強しなさいよ』とSFロボットの書籍や資料などでいろいろと教えてもらっているのに、デザインはやらないで欲しいと。だから何を言われても何されても文句はないんだけど」と笑いながら語りつつ、「(スタジオぬえの)松崎さんには裏設定とか考証をいろいろサポートしてくれて、結果的に正解だったと思います」と振り返った。
高千穂さんも「はっきりいって、ぬえはロボット・メカデザインは下手だったと思います」とコメント。「安彦さんの判断は正しくて、もしあの時に『やれ』って言われたら、まあこんな作品にはならなかったし、『GQuuuuuuX(ジークアクス)』も無理だったろうなと思います」と語ると会場は大爆笑。
安彦さんからオファーを受けた大河原さんは「ずいぶんと楽をした」と振り返る。
「ちょうどその時、『ゼンダマン』『ザ☆ウルトラマン』『科学忍者隊ガッチャマンII』『機動戦士ガンダム』の4作品を担当していました。『ガンダム』に関しては、ザク、グフ、ドムのデザインが終わったら、富野(由悠季)さんのところから、どんどんラフが出てくるんですよ。私のデザインにはない、ちょっと化け物系が多かったものですから。(監督の意向どおりにデザインしたので)ずいぶんと楽しましたよ」
ここで、井上さんが「『ダイターン3』に出るはずのあるメカが、実は『ガンダム』に転用された」という楽屋で聞いた面白い話を紹介。
大河原さんが語るのは、ひとつは「ホワイトベース」。艦体が3つに分離して合体してあのフォルムになるメカとして、「ダイターン3」のときにデザインされていたそうだ。もう一つは「ハロ」。ロケットを整備する小型ロボットが欲しいということでかなり案を多く作ったが、最後にはもう鬱陶しくなってしまい「丸描いてチョン」で作ったのが今のデザインになった。「サンライズって貧乏だったから、『ダイターン3』の時に富野監督がそのハロを『これは使わないでとっておこう』ということで、『ガンダム』の時にペットロボになりました。小さい会社だからこそできた技ですね」と振り返った。
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巨匠たちは、今回の展覧会のテーマである「空を飛ぶ」ことについての話題にも触れる。
井上さんが以前から気になっていた「『マジンガーZ』が途中で空を飛んだ理由」を永井さんに訊ねると、「東映アニメーションから『事件現場に走って行くとコマ数も大変なので飛べると嬉しい』という相談があったから」という意外な答えが。「飛んでるシーンは背景動かしていけば良いいんで(笑)、マジンガー自体のアクション的なコマ数が少なくて済むんで、あれは東映さんとしては当時助かったという感じだと思います」
また、マジンガーZの武器についても高千穂さんが絶賛。「豪さんの武器はケタ違いにすごい。うちはどうしても理屈が先走るから、こういうぶっとんだすごいアイデアは全然出てこないですよね。それがダイナミックプロの強みなんですよね」と語る。永井さんによれば、「デザインが先にあったのでそれに合わせて武器をどうしようかと次々に作った」そうだ。
安彦さんが担当した「ライディーン」も鳥型に変形して飛ぶ設定になっているが、アイデアはバンダイに所属していた村上克司さんによるもの。「村上さんという人は、自分は絵を描けるのに、描かずに私に描かせるわけですよ。最初に描きゃいいのにね(笑)」と苦労を語りつつ、『超電磁ロボ コン・バトラーV』についての初公開のエピソードも明かしてくれた。
「空を飛ぶにはお尻から噴射して羽が付いていれば飛ぶんですよ。『コン・バトラーV』は合体して、足の部分が2つ合わさって弁当箱みたいな形になって飛ぶんですね。元である村上さんのデザインには合わさるところまでやっていなかったので、仕上げをしている私が羽を付けるはずだったのですが、忘れてしまって(笑)。そしたら映像では羽がない足になっているみっともないやつが飛んでるんです。見るたびに『羽つけりゃ良かった』とずっと僕は悔いています」と悔しそうに振り返った。
すると、高千穂さんもすかさず「言ってくれれば、うちでつけたのに~(笑)」とツッコミを入れていた。
大河原さんも「ガンダムは『SEED』になったら、羽だらけですごいですよ。あれ描くの大変でしたからね」とコメント。井上さんから「今では平気で羽をつけて大気圏内をバンバン飛んでますけど、あのあたりは発想の転換ですか?」と質問すると、そうではないとのこと。「私の場合は(デザインに対して)ほとばしるものはないですから。ピンポンと一緒で、言われたものをいかに出せるかという形でそのままデザインしているので、多分発注者がいろいろ苦労したんだと思います」
井上さんが以前から気になっていた「『マジンガーZ』が途中で空を飛んだ理由」を永井さんに訊ねると、「東映アニメーションから『事件現場に走って行くとコマ数も大変なので飛べると嬉しい』という相談があったから」という意外な答えが。「飛んでるシーンは背景動かしていけば良いいんで(笑)、マジンガー自体のアクション的なコマ数が少なくて済むんで、あれは東映さんとしては当時助かったという感じだと思います」
また、マジンガーZの武器についても高千穂さんが絶賛。「豪さんの武器はケタ違いにすごい。うちはどうしても理屈が先走るから、こういうぶっとんだすごいアイデアは全然出てこないですよね。それがダイナミックプロの強みなんですよね」と語る。永井さんによれば、「デザインが先にあったのでそれに合わせて武器をどうしようかと次々に作った」そうだ。
安彦さんが担当した「ライディーン」も鳥型に変形して飛ぶ設定になっているが、アイデアはバンダイに所属していた村上克司さんによるもの。「村上さんという人は、自分は絵を描けるのに、描かずに私に描かせるわけですよ。最初に描きゃいいのにね(笑)」と苦労を語りつつ、『超電磁ロボ コン・バトラーV』についての初公開のエピソードも明かしてくれた。
「空を飛ぶにはお尻から噴射して羽が付いていれば飛ぶんですよ。『コン・バトラーV』は合体して、足の部分が2つ合わさって弁当箱みたいな形になって飛ぶんですね。元である村上さんのデザインには合わさるところまでやっていなかったので、仕上げをしている私が羽を付けるはずだったのですが、忘れてしまって(笑)。そしたら映像では羽がない足になっているみっともないやつが飛んでるんです。見るたびに『羽つけりゃ良かった』とずっと僕は悔いています」と悔しそうに振り返った。
すると、高千穂さんもすかさず「言ってくれれば、うちでつけたのに~(笑)」とツッコミを入れていた。
大河原さんも「ガンダムは『SEED』になったら、羽だらけですごいですよ。あれ描くの大変でしたからね」とコメント。井上さんから「今では平気で羽をつけて大気圏内をバンバン飛んでますけど、あのあたりは発想の転換ですか?」と質問すると、そうではないとのこと。「私の場合は(デザインに対して)ほとばしるものはないですから。ピンポンと一緒で、言われたものをいかに出せるかという形でそのままデザインしているので、多分発注者がいろいろ苦労したんだと思います」
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最後に、妄想話として「登壇している4人で一緒にアニメを作ったらどんなものができるか」といった話題に。
高千穂さんは、著書「ダーティペアの大復活」という作品で登場した巨大ロボットを作りたいとコメント。「ユリが大好きだった巨大ロボットアニメを全部取り入れて、巨大ロボットがいかに素晴らしいかというのを叫ぶ。そういうのを作ってほしいですね」
大河原さんは、以前「第三の選択」という企画書を出したことがあるという。「今の地球の環境がこういう状態になる、水面がどれだけ上がったら日本の形はこうなる、そうなった場合人間は宇宙に住まわせるか、人間を10分の1にしちゃうか……そういう世界を創造する感じの企画書を30年くらい前に出していたんですけど、通らなかったです」と振り返った。
永井さんは、最初から大勢のメカが全部登場するようなロボットアニメを作りたいと語る。「『マジンガーZ』の時にはメカを毎週毎週作って、最終的にいったい何体作ったんだろうというくらいの数量を作りました。しかもどれも違う戦い方をしなきゃいけないし、能力もつけなきゃいけないということで、必死になっていろんなアイデアを入れながらデザインしていきました。そのフローが厳しくて」と話すと、高千穂さんも「『ライディーン』では、私が引き継いだ時に長浜(忠夫監督)さんが、冒頭で敵メカが2体戦って、勝った方がライディーンと戦うようにすると聞いた時、『毎回2体作って1体ボツかよ!』と(笑)。もう『大変じゃないか!』と宮武(一貴)が激怒していました。敵メカを作るって本当につらいですよね。」と当時のエピソードを振り返った。
安彦さんの番になると「この4人で作ったらっていうことでしたっけ……無理ですよ(笑)」と一言。
2体作らなければいけないという話について、『新世紀エヴァンゲリオン』のエピソードが。「シュウメイ(庵野秀明監督)の『エヴァンゲリオン』は使徒っていう訳の分からないのが天から毎週降ってくる。それがなんか神秘的だといってオタクが議論しているが、それ毎週敵キャラが来るだけの話だよと(笑)。庵野は頭がいいから、使徒とかいうわけですよ。そうすると理屈っぽいオタクが喜んでね(笑)。敵も毎週出てくるようにしているから毎回負けるわけで、一週休めばいいんだと思いますよね。だから2体出すなんて、とんでもない話ですよ」と話した。
高千穂さんは、著書「ダーティペアの大復活」という作品で登場した巨大ロボットを作りたいとコメント。「ユリが大好きだった巨大ロボットアニメを全部取り入れて、巨大ロボットがいかに素晴らしいかというのを叫ぶ。そういうのを作ってほしいですね」
大河原さんは、以前「第三の選択」という企画書を出したことがあるという。「今の地球の環境がこういう状態になる、水面がどれだけ上がったら日本の形はこうなる、そうなった場合人間は宇宙に住まわせるか、人間を10分の1にしちゃうか……そういう世界を創造する感じの企画書を30年くらい前に出していたんですけど、通らなかったです」と振り返った。
永井さんは、最初から大勢のメカが全部登場するようなロボットアニメを作りたいと語る。「『マジンガーZ』の時にはメカを毎週毎週作って、最終的にいったい何体作ったんだろうというくらいの数量を作りました。しかもどれも違う戦い方をしなきゃいけないし、能力もつけなきゃいけないということで、必死になっていろんなアイデアを入れながらデザインしていきました。そのフローが厳しくて」と話すと、高千穂さんも「『ライディーン』では、私が引き継いだ時に長浜(忠夫監督)さんが、冒頭で敵メカが2体戦って、勝った方がライディーンと戦うようにすると聞いた時、『毎回2体作って1体ボツかよ!』と(笑)。もう『大変じゃないか!』と宮武(一貴)が激怒していました。敵メカを作るって本当につらいですよね。」と当時のエピソードを振り返った。
安彦さんの番になると「この4人で作ったらっていうことでしたっけ……無理ですよ(笑)」と一言。
2体作らなければいけないという話について、『新世紀エヴァンゲリオン』のエピソードが。「シュウメイ(庵野秀明監督)の『エヴァンゲリオン』は使徒っていう訳の分からないのが天から毎週降ってくる。それがなんか神秘的だといってオタクが議論しているが、それ毎週敵キャラが来るだけの話だよと(笑)。庵野は頭がいいから、使徒とかいうわけですよ。そうすると理屈っぽいオタクが喜んでね(笑)。敵も毎週出てくるようにしているから毎回負けるわけで、一週休めばいいんだと思いますよね。だから2体出すなんて、とんでもない話ですよ」と話した。
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最後に登壇者から一言ずつコメントがあり、トークショーが締めくくられた。
大河原「この頃アニメの仕事は少なくなっていますが、その代わりに“本物”のデザイン依頼が結構来てます。そのうち発表になると思うんですけど、今一所懸命やってます」
高千穂「私は小説の方ばっかりですが、スタジオぬえのメンバー、特に宮武や、抜けましたが河森(正治)は情熱がありますので、まだやる気満々です。そういえばうちの森田(繁)はヤンマーが作るロボットアニメのシリーズ構成をやるみたいですし、ぬえのメンバーがまだまだやってくれますので、そちらもぜひ応援してください」
永井「最近本当に海外からのロボットに対する期待や応援が多くて、そういう方と何か色々と作れたら嬉しいかなと思います」
安彦「若い人は、(これまでの)作家がアイデアをみんな持っていっちゃってやることがないと思ってる人もいるかもしれないけど、そんなことないんで。やれることはありますんで、若い人たちも創作活動を頑張ってやってほしいなと思います」
大河原「この頃アニメの仕事は少なくなっていますが、その代わりに“本物”のデザイン依頼が結構来てます。そのうち発表になると思うんですけど、今一所懸命やってます」
高千穂「私は小説の方ばっかりですが、スタジオぬえのメンバー、特に宮武や、抜けましたが河森(正治)は情熱がありますので、まだやる気満々です。そういえばうちの森田(繁)はヤンマーが作るロボットアニメのシリーズ構成をやるみたいですし、ぬえのメンバーがまだまだやってくれますので、そちらもぜひ応援してください」
永井「最近本当に海外からのロボットに対する期待や応援が多くて、そういう方と何か色々と作れたら嬉しいかなと思います」
安彦「若い人は、(これまでの)作家がアイデアをみんな持っていっちゃってやることがないと思ってる人もいるかもしれないけど、そんなことないんで。やれることはありますんで、若い人たちも創作活動を頑張ってやってほしいなと思います」
■トークショー後は展覧会の作品を鑑賞!
Pop Over Musashino「Fighting Robots 現代アーティストたちによるサイドストーリー」開催概要
【期間】
2025年2月7日(金)~3月30日(日)
【会場】
所沢航空発祥記念館(所沢航空記念公園内)
(埼玉県所沢市並木1丁目13)
【休館日】
毎週月曜日(ただし、祝日と重なる日はその翌平日)
【チケット料金】
・大人:520円(税込)
・小中学生:100円(税込)
※所沢航空発祥記念館「展示館」の入場料として。当日窓口購入のみ。
※障がい者手帳をお持ちの方は手帳のご提示で入館料免除(無料)となります。
【内容】
日本初の飛行場が作られた所沢で、空を飛ぶロボットアニメをテーマにした現代アート展を開催します。
1970年代、高度成長期が終わって閉塞感があった日本で、画面はモノクロからカラーへ、さらに単なる“正義VS悪”ではない、戦争のリアリティやドラマ性を追及した作品も多く生まれたことで、日本のロボットアニメは海外をも巻き込み、第一次全盛期を迎えました。今回は、海外でも人気の高い70年代の作品をテーマに、アーティスト5名が、まったく新しい現代アートとして生まれ変わらせます。
ロボットアニメが好きな方も、そうでない方も、会場に散りばめられた日本の航空の歴史も振り返りながら、アーティストから湧き出たインスピレーションを心ゆくままにお楽しみください。
【協力作品・会社】※年代順
・マジンガーZ(1972年-1974年)ダイナミック企画株式会社
・勇者ライディーン(1975年-1976年)株式会社東北新社
・超電磁マシーン ボルテスV(1977年-1978年)東映株式会社
・機動戦士ガンダム(1979年-1980年)株式会社バンダイナムコフィルムワークス
【参加アーティスト】
・池内啓人
・小松美羽
・藤 浩志
・山本高之
・弓指寛治
2025年2月7日(金)~3月30日(日)
【会場】
所沢航空発祥記念館(所沢航空記念公園内)
(埼玉県所沢市並木1丁目13)
【休館日】
毎週月曜日(ただし、祝日と重なる日はその翌平日)
【チケット料金】
・大人:520円(税込)
・小中学生:100円(税込)
※所沢航空発祥記念館「展示館」の入場料として。当日窓口購入のみ。
※障がい者手帳をお持ちの方は手帳のご提示で入館料免除(無料)となります。
【内容】
日本初の飛行場が作られた所沢で、空を飛ぶロボットアニメをテーマにした現代アート展を開催します。
1970年代、高度成長期が終わって閉塞感があった日本で、画面はモノクロからカラーへ、さらに単なる“正義VS悪”ではない、戦争のリアリティやドラマ性を追及した作品も多く生まれたことで、日本のロボットアニメは海外をも巻き込み、第一次全盛期を迎えました。今回は、海外でも人気の高い70年代の作品をテーマに、アーティスト5名が、まったく新しい現代アートとして生まれ変わらせます。
ロボットアニメが好きな方も、そうでない方も、会場に散りばめられた日本の航空の歴史も振り返りながら、アーティストから湧き出たインスピレーションを心ゆくままにお楽しみください。
【協力作品・会社】※年代順
・マジンガーZ(1972年-1974年)ダイナミック企画株式会社
・勇者ライディーン(1975年-1976年)株式会社東北新社
・超電磁マシーン ボルテスV(1977年-1978年)東映株式会社
・機動戦士ガンダム(1979年-1980年)株式会社バンダイナムコフィルムワークス
【参加アーティスト】
・池内啓人
・小松美羽
・藤 浩志
・山本高之
・弓指寛治
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