2008年2月19日 (火)
第31話「ザンジバル、追撃!」
冒頭、宇宙へ出航したホワイトベースをシャアがザンジバルで追うシークエンス以後、カメラは二度と地球には戻らない。コンドルやフラミンゴが登場し、ブライト以下クルーもその美しさを楽しむが、それも自然への惜別のように見える。
【スレッガー登場】
TV版のキャストは玄田哲章。子どもたちがリュウを思い出すように、骨太の優しさを持った男という印象を与える。違いは女性との距離感で、何かと言えばミライの懐に近づいて嫌がられる描写が面白い。砲撃の腕前も一級。それと女性観が重なっても見える。今回のみアムロと同じ白のノーマルスーツを着用している。
追撃はシャア大佐の独断だったようだ。以後のザンジバルはシャアの乗艦となるが、モビルアーマーの試験中だった事情は、機動兵器の投入で実権掌握を急いでいたとおぼしきキシリアの思惑を推察させる。
【セイラの悩み】
スレッガーの占い(?)は図星で、セイラは男性のことで悩み続けている。兄が敵側にいることについてだが……。シャアの側のセイラへの気遣いも平行して描かれ、2人の過去への想像をかきたてる。
【ビグロの巨躯とリック・ドム】
トクワン大尉が得意げに高速戦闘力を説明するビグロ。第28話のグラブロに似ているが、逆にそれが人型を離れた巨大兵器の印象を強く植えつける。初実戦でもガンダムを苦しめ、実力を存分に見せつける。そして、地上戦用だったドムが改修されリック・ドムとして登場。宇宙の決戦に向けて武器も変わっていく。
今回の戦いの舞台は地球が大きく見える無重力圏との境界。少し軌道を低く取れば重力に引かれて落下し始めてしまう。第5話の悲劇を前提に、その状況が戦いに緊迫感を与える。ミサイルの爆風で落下を食い止めるアムロはさすがの腕前。
【Gに弱いアムロ?】
ビグロのクローで引っかけられた急加速でアムロは気絶してしまう。第7話の弾道飛行に続き、よだれを垂らして失神したアムロのビジュアルが衝撃的だ。正規訓練をしていないので無理もないのだが……。むしろ正気づく早さが驚異的である。
氷川竜介(アニメ評論家)
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