2007年8月21日 (火)
第6話「ガルマ出撃す」
富野由悠季監督の作品はロードムービー、つまり「旅もの」が多い。舞台が移動し、その先々に事件が待っている。今回から数話分はガルマ・ザビが制圧する敵地の北米大陸に紛れこんだホワイトベースの逃避行と、その中で際だつというホワイトベースとガンダムのヒーロー性を描いている。
【刻々と変化する状況の現実感】
今回最大の見どころはアムロが放り込まれた戦場という環境のリアリティである。敵の出方を想定して、対空戦闘として長距離射撃のガンタンクを出したらそれが間違いで、しかも意見は食い違い、出撃しようとすると進路妨害され……と、「やりたいことが次々につまずいていらだつ」状況が克明に描かれている。この現実そのままを移植した感触は、ガンダム最大の持ち味と言えよう。
この回では各キャラが複雑にもつれた言動を繰り返す。立場や役割分担に基づく考え方、言葉にする内容、内心の感情、この3つが食い違いながら絡みあって、ひとつの流れを形成していく。このもつれがアムロにストレスをかけ、結果として爆発的な戦闘に結びついて現状突破するものの、アムロは最後にはクタクタになってしまう。この落差の大きさは、何かを達成しようと真剣に取り組んだことがある人なら身に覚えがあるはず。全編中でも特筆すべき激しさのガンダムの戦闘が、敵の退却後も地面を叩き続けるガンダムで幕を閉じるのも圧巻だ。
氷川竜介(アニメ評論家)
(C) 創通・サンライズ
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