2013年3月27日 (水)
ガンダムのお約束 ~その49~『ガンダムシリーズの策士(その1)』
“ガンダムってなんだ!?”という素朴な疑問(?)に答えるガンダム超初心者「限定」のゆるコラム、第49回!
ガンダム界のシープスヘッド(←夢に出てきそう……)と巷で噂の“超々初心者向けガンダム入門・ゆるコラム”(!?)。第49回目も引き続き『~ガンダムのお約束・その49~』についてお話ししたいと思います。
これまでガンダムにまつわる様々なお約束について触れてきましたが (バックナンバーはこちら!)、今度もガンダムといえばやっぱこれでしょ! という「アレ」に関する事柄です。
「ガンダム」シリーズの魅力として欠かせないもののひとつに『策士』という存在があります。
野心に燃え、己の理想を実現するために日夜綿密な策略を練りながらその日を待つ……まるで食虫植物のような(?)彼らの活躍ぶりは、主人公たちとはまた違った意味で魅力的ですね。
というわけで今回は「ガンダムシリーズの策士」(その1)をご紹介していきたいと思います~!
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ガンダムに登場する策士は美意識とプライドを高く掲げながら反旗を翻すのがお約束!?
パプテマス・シロッコ(『機動戦士Ζガンダム』)
まず策士と言えばこの人(!?)、パプテマス・シロッコ大尉です。紫色の不思議なヘアスタイルやそのルックスから察して、かなりの独自な美意識の持ち主であろうことが想像できますね。
地球連邦政府の木星資源採掘船・ジュピトリスの艦長である彼は木星船団を指揮していましたが、地球に帰還後は地球連邦軍の特殊組織であるティターンズの総帥、ジャミトフ・ハイマンに上手く取り入って、そのままティターンズへ参加することになります(木星からのお土産つき)。
しかしそれからというものは上官を無視して単独行動を企て、月面都市フォン・ブラウンを勝手に一番乗りで占拠してみたりしながら策士としても着々とその頭角を現していくのです。
地球連邦軍側のエゥーゴとティターンズ(軍閥同士です)による内乱とともに旧ジオン公国残党勢力であるアクシズとの三つ巴の戦いに発展したグリプス戦役では、宇宙戦艦・グワダン内で起きたどさくさの中でジャミトフをハマーン・カーン(アクシズの事実上の指導者・通称:ハマーン様)との会談中になんと暗殺! その後は自分で殺したくせに白々しく「ジャミトフの弔い合戦」の名目を掲げてアクシズの総旗艦であるグワダンを撃沈するわ、自分で開発した愛機のジ・Oでハマーン様の試作モビルスーツ(MS)、キュベレイと互角に戦うわであっさりティターンズの実権を握ってしまいます。この辺はまさに策士としての面目躍如というかんじです。
最初にジャミトフのおっちゃんと血の誓約書(←古風ですな)を交わす一方で、敵対するアクシズのまだ幼いミネバ・ラオ・ザビに対しても頭を下げてちゃっかり忠誠を誓ってしまうというとっても矛盾した行動も、天性の世渡り上手! というか目的のためには裏切りだってへっちゃらだい! という策略家としての本領を発揮した結果といえるでしょう。(←あのシャアからも「役者やのぉ~」(!?)と言われたりしてます~)
でも、シロッコはただ世渡り上手の悪辣な無責任男(←ひどいですね)ではありません。彼はニュータイプとしてはあのハマーン様に匹敵するほどのスゴい能力を持っていますし、乗るだけじゃなくてMSの設計だってお茶の子さ! という文字通りマルチな超人なんです。どうです、この確固としたゆるぎない実力っぷり!! 堂々と自分のことを「天才」とほのめかしてみたり、まさに自信過剰、自意識過剰をそのまま絵に描いたような存在のシロッコですが、単なる目立ちたがり屋と一線を画すのがその独特なヒネくれ方(!?)です。
彼は、この世界と人類は女性によって導かれるべきだという思想を強く持っているのですが、その際には自分が前面に出るのではなく、あくまで「歴史の立会人」という立場で新しい世界の頂点に立ちたいと考えていたようです。
これは自分自身が注目を浴びて、みんなの前で派手に歌って踊って演説とか総選挙(?)とかしてみたい! とかそういうことじゃなくて、実はその陰でニヤニヤしながらすべての実権を握っていたい、という黒幕&プロデューサータイプの考え方に近いですね。そしてそのために利用する人間を周りに集めるわけなんですが、それらの人材をも自然に惹きつけてしまう魅力に長けているというのが類まれなる策士としてのシロッコの優れたところなんですよね~(←性格は悪いけど、頭が良くてルックスもいいっすからね~)。
常に己の感性を磨きつつも、他人を自分の道具として使うことにまったく抵抗がなく(←こわ~)、自分の美学に基づいた目的のためには徹底して手段を選ばないクールな彼は、策士としては超一流の才能の持ち主と言えますよね。
■タシロ・ヴァゴ(『機動戦士Vガンダム』)
続いては、軍服が似合うダンディなおじさんことタシロ・ヴァゴです。強大な軍事力と女王・マリア・ピァ・アーモニアを中心としたマリア主義を掲げて地球侵攻を始めたコロニー・サイド2ことザンスカール帝国の将校で、宇宙要塞カイラス・ギリーの艦隊の司令官である彼は、宰相であるフォンセ・カガチの腹心でもあります。
帝国の実質的なNo.3であり、反抗者は次々とギロチンの刑に処す、というきわめてわかりやすい形の弾圧と恐怖政治(こわ~)を行うガチ党党首・カガチの下で忠誠を誓いつつ、各コロニー自治政府間が不安定な状況の中で地球侵攻の責任者となった彼は、独断でギロチンを使っちゃっいました~! というファラ・グリフォン(ギロチン使いの家系の人で後にタシロの部下になります)を宇宙漂流の刑に処してみたり(注:そのあとで数日後に救出してみたり)と自分の権力をより盤石のものにするべく、日々こつこつと(こそこそと?)策士として努力をしていました。
しかし大事な虎の子である要塞カイラス・ギリーとその艦隊を、地球連邦の民間レジスタンス組織であるリガ・ミリティアにあっさり全滅させられたあげくに強奪までされてしまったことで(←ダブルショック!)、今度はなんと他ならぬ自分がギロチンの刑に処されてしまうことに……(←この帝国、どんだけギロチン好きやねん!)。
まあ、カガチ爺によればこれは国民へのカモフラージュのための見せかけだけの処分で、実際にはやらないよ~! という話だったみたいですが、公開処刑の途中に起きた混乱に乗じてなんとかギロチンから逃げ出したタシロは、これがきっかけとなってカガチ爺に対するどろどろとした疑念を持つようになっていくんですね~。死刑! じゃなくて、公開ギロチンの刑! (←ほぼ同じ)なんてシャレにならないコワいことを寸前までやられたら、ただでさえみんな復讐したいと思うでしょうから、そりゃもう策士と言われるタシロだったらきっと夜も眠れずにいろいろ考えちゃいますよ~(←あくまで想像です)。
元から有能な軍人であるタシロは地球連邦の連合艦隊の攻撃に対抗するため、巨大サイコミュ要塞エンジェル・ハイロゥ防衛艦隊の司令として現場に復帰しますが、そこでカガチ爺のヨボヨボっぷり(?)を見てとるや、念願のチャンス到来! とばかりにザンスカール帝国の実権を掌握するべくカガチに反旗を翻す行動に出るのですが……。
見た目は普通のちょいシブおっさん風のタシロですが、自分の野心と恨みが一致してからの行動はいきなり女王を拉致して盾にしてみたりと急にルール無用の反則だらけになっちゃいます。タガが外れたように大胆かつ狂気に満ちたこれらの行動は、策士としてのタシロの最後の意地と執念がそうさせたものだったんでしょうね~。
というわけで、以上「ガンダムシリーズの策士」(その1)、いかがでしたでしょうか~?
嗚呼、ガンダムの世界って本当に素晴らしいですね~!!
さてさてさてさてさてさてさてさてさてさてさてさてさてさてさてさてさてさてさてさてさてさてさてさてさてさてさてさてさてさてさてさてさてさてさてさてさてさてさてさてさてさてさてさてさてさてさてさてさて、今回はここまで。
次回も引き続き(!?)、『ガンダム』のお約束ごとについて、ゆる~く探っていきたいと思います。
文/馬場絵麻
ガンダム界のシープスヘッド(←夢に出てきそう……)と巷で噂の“超々初心者向けガンダム入門・ゆるコラム”(!?)。第49回目も引き続き『~ガンダムのお約束・その49~』についてお話ししたいと思います。
これまでガンダムにまつわる様々なお約束について触れてきましたが (バックナンバーはこちら!)、今度もガンダムといえばやっぱこれでしょ! という「アレ」に関する事柄です。
「ガンダム」シリーズの魅力として欠かせないもののひとつに『策士』という存在があります。
野心に燃え、己の理想を実現するために日夜綿密な策略を練りながらその日を待つ……まるで食虫植物のような(?)彼らの活躍ぶりは、主人公たちとはまた違った意味で魅力的ですね。
というわけで今回は「ガンダムシリーズの策士」(その1)をご紹介していきたいと思います~!
ガンダムに登場する策士は美意識とプライドを高く掲げながら反旗を翻すのがお約束!?
パプテマス・シロッコ(『機動戦士Ζガンダム』)
まず策士と言えばこの人(!?)、パプテマス・シロッコ大尉です。紫色の不思議なヘアスタイルやそのルックスから察して、かなりの独自な美意識の持ち主であろうことが想像できますね。
地球連邦政府の木星資源採掘船・ジュピトリスの艦長である彼は木星船団を指揮していましたが、地球に帰還後は地球連邦軍の特殊組織であるティターンズの総帥、ジャミトフ・ハイマンに上手く取り入って、そのままティターンズへ参加することになります(木星からのお土産つき)。
しかしそれからというものは上官を無視して単独行動を企て、月面都市フォン・ブラウンを勝手に一番乗りで占拠してみたりしながら策士としても着々とその頭角を現していくのです。
地球連邦軍側のエゥーゴとティターンズ(軍閥同士です)による内乱とともに旧ジオン公国残党勢力であるアクシズとの三つ巴の戦いに発展したグリプス戦役では、宇宙戦艦・グワダン内で起きたどさくさの中でジャミトフをハマーン・カーン(アクシズの事実上の指導者・通称:ハマーン様)との会談中になんと暗殺! その後は自分で殺したくせに白々しく「ジャミトフの弔い合戦」の名目を掲げてアクシズの総旗艦であるグワダンを撃沈するわ、自分で開発した愛機のジ・Oでハマーン様の試作モビルスーツ(MS)、キュベレイと互角に戦うわであっさりティターンズの実権を握ってしまいます。この辺はまさに策士としての面目躍如というかんじです。
最初にジャミトフのおっちゃんと血の誓約書(←古風ですな)を交わす一方で、敵対するアクシズのまだ幼いミネバ・ラオ・ザビに対しても頭を下げてちゃっかり忠誠を誓ってしまうというとっても矛盾した行動も、天性の世渡り上手! というか目的のためには裏切りだってへっちゃらだい! という策略家としての本領を発揮した結果といえるでしょう。(←あのシャアからも「役者やのぉ~」(!?)と言われたりしてます~)
でも、シロッコはただ世渡り上手の悪辣な無責任男(←ひどいですね)ではありません。彼はニュータイプとしてはあのハマーン様に匹敵するほどのスゴい能力を持っていますし、乗るだけじゃなくてMSの設計だってお茶の子さ! という文字通りマルチな超人なんです。どうです、この確固としたゆるぎない実力っぷり!! 堂々と自分のことを「天才」とほのめかしてみたり、まさに自信過剰、自意識過剰をそのまま絵に描いたような存在のシロッコですが、単なる目立ちたがり屋と一線を画すのがその独特なヒネくれ方(!?)です。
彼は、この世界と人類は女性によって導かれるべきだという思想を強く持っているのですが、その際には自分が前面に出るのではなく、あくまで「歴史の立会人」という立場で新しい世界の頂点に立ちたいと考えていたようです。
これは自分自身が注目を浴びて、みんなの前で派手に歌って踊って演説とか総選挙(?)とかしてみたい! とかそういうことじゃなくて、実はその陰でニヤニヤしながらすべての実権を握っていたい、という黒幕&プロデューサータイプの考え方に近いですね。そしてそのために利用する人間を周りに集めるわけなんですが、それらの人材をも自然に惹きつけてしまう魅力に長けているというのが類まれなる策士としてのシロッコの優れたところなんですよね~(←性格は悪いけど、頭が良くてルックスもいいっすからね~)。
常に己の感性を磨きつつも、他人を自分の道具として使うことにまったく抵抗がなく(←こわ~)、自分の美学に基づいた目的のためには徹底して手段を選ばないクールな彼は、策士としては超一流の才能の持ち主と言えますよね。
■タシロ・ヴァゴ(『機動戦士Vガンダム』)
続いては、軍服が似合うダンディなおじさんことタシロ・ヴァゴです。強大な軍事力と女王・マリア・ピァ・アーモニアを中心としたマリア主義を掲げて地球侵攻を始めたコロニー・サイド2ことザンスカール帝国の将校で、宇宙要塞カイラス・ギリーの艦隊の司令官である彼は、宰相であるフォンセ・カガチの腹心でもあります。
帝国の実質的なNo.3であり、反抗者は次々とギロチンの刑に処す、というきわめてわかりやすい形の弾圧と恐怖政治(こわ~)を行うガチ党党首・カガチの下で忠誠を誓いつつ、各コロニー自治政府間が不安定な状況の中で地球侵攻の責任者となった彼は、独断でギロチンを使っちゃっいました~! というファラ・グリフォン(ギロチン使いの家系の人で後にタシロの部下になります)を宇宙漂流の刑に処してみたり(注:そのあとで数日後に救出してみたり)と自分の権力をより盤石のものにするべく、日々こつこつと(こそこそと?)策士として努力をしていました。
しかし大事な虎の子である要塞カイラス・ギリーとその艦隊を、地球連邦の民間レジスタンス組織であるリガ・ミリティアにあっさり全滅させられたあげくに強奪までされてしまったことで(←ダブルショック!)、今度はなんと他ならぬ自分がギロチンの刑に処されてしまうことに……(←この帝国、どんだけギロチン好きやねん!)。
まあ、カガチ爺によればこれは国民へのカモフラージュのための見せかけだけの処分で、実際にはやらないよ~! という話だったみたいですが、公開処刑の途中に起きた混乱に乗じてなんとかギロチンから逃げ出したタシロは、これがきっかけとなってカガチ爺に対するどろどろとした疑念を持つようになっていくんですね~。死刑! じゃなくて、公開ギロチンの刑! (←ほぼ同じ)なんてシャレにならないコワいことを寸前までやられたら、ただでさえみんな復讐したいと思うでしょうから、そりゃもう策士と言われるタシロだったらきっと夜も眠れずにいろいろ考えちゃいますよ~(←あくまで想像です)。
元から有能な軍人であるタシロは地球連邦の連合艦隊の攻撃に対抗するため、巨大サイコミュ要塞エンジェル・ハイロゥ防衛艦隊の司令として現場に復帰しますが、そこでカガチ爺のヨボヨボっぷり(?)を見てとるや、念願のチャンス到来! とばかりにザンスカール帝国の実権を掌握するべくカガチに反旗を翻す行動に出るのですが……。
見た目は普通のちょいシブおっさん風のタシロですが、自分の野心と恨みが一致してからの行動はいきなり女王を拉致して盾にしてみたりと急にルール無用の反則だらけになっちゃいます。タガが外れたように大胆かつ狂気に満ちたこれらの行動は、策士としてのタシロの最後の意地と執念がそうさせたものだったんでしょうね~。
というわけで、以上「ガンダムシリーズの策士」(その1)、いかがでしたでしょうか~?
嗚呼、ガンダムの世界って本当に素晴らしいですね~!!
さてさてさてさてさてさてさてさてさてさてさてさてさてさてさてさてさてさてさてさてさてさてさてさてさてさてさてさてさてさてさてさてさてさてさてさてさてさてさてさてさてさてさてさてさてさてさてさてさて、今回はここまで。
次回も引き続き(!?)、『ガンダム』のお約束ごとについて、ゆる~く探っていきたいと思います。
【著者プロフィール】
馬場 絵麻
脚本家。暴れん坊シナリオライターです。
ガンダムの魅力と素晴らしさを伝えるため、日々研鑽中!
脚本家。暴れん坊シナリオライターです。
ガンダムの魅力と素晴らしさを伝えるため、日々研鑽中!
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