Gundam Meets Businessの7回目は「OODAループ(ウーダループ)」について説明します。
そもそもは軍事行動における「意思決定」理論ですが、現在では経営、人事、教育などあらゆる場面で適用され、リーンスタートアップなどこれを応用した手法も生まれています。
ガンダムの世界ではこれを例えることのできるものが多そうです。
今回は『機動戦士ガンダム』第1話のあの有名なエピソードから。
そもそもは軍事行動における「意思決定」理論ですが、現在では経営、人事、教育などあらゆる場面で適用され、リーンスタートアップなどこれを応用した手法も生まれています。
ガンダムの世界ではこれを例えることのできるものが多そうです。
今回は『機動戦士ガンダム』第1話のあの有名なエピソードから。
OODAループとは何か?
OODAループは数年前から、日本でも耳にすることが増えてきた概念です。
米空軍のジョン・ボイド(シャアと同じ大佐!)によって提唱された「意思決定」のモデルで、4つの単語の頭文字からなっています。
すなわち、Observe(観察)・Orient(情勢判断)・Decide(決定)・Act(行動)の4つです。
意思決定にあたっては、最初の「観察」でまず現実を直視し、過去の経験や自身の能力の限りを尽くして「情勢判断」し、対応策のなかから最適と思われる選択肢を「決定」して、「実行」する、ということを示しています。
なんだ、いつもやってることではないか、と思われた方もいらっしゃることでしょう。
観察し、状況を理解し、意思決定して行動というOODAループは、日々の現場の自律的な活動と親和性の高い概念です。
そもそもパイロットとして朝鮮戦争を戦ったジョン・ボイドの経験から抽出されたのですから当然です。
実際、サイド7への侵入に際して、ジーンもやっていました。
米空軍のジョン・ボイド(シャアと同じ大佐!)によって提唱された「意思決定」のモデルで、4つの単語の頭文字からなっています。
すなわち、Observe(観察)・Orient(情勢判断)・Decide(決定)・Act(行動)の4つです。
意思決定にあたっては、最初の「観察」でまず現実を直視し、過去の経験や自身の能力の限りを尽くして「情勢判断」し、対応策のなかから最適と思われる選択肢を「決定」して、「実行」する、ということを示しています。
なんだ、いつもやってることではないか、と思われた方もいらっしゃることでしょう。
観察し、状況を理解し、意思決定して行動というOODAループは、日々の現場の自律的な活動と親和性の高い概念です。
そもそもパイロットとして朝鮮戦争を戦ったジョン・ボイドの経験から抽出されたのですから当然です。
実際、サイド7への侵入に際して、ジーンもやっていました。
ジーンはどこで間違ったのか!?
伍長とも兵長ともされるジーンは、デニム曹長と偵察に向かったサイド7で、ガンダムを発見します。
これが、最初の「O(観察)」です。
デニムは双眼鏡を使っていましたが、モビルスーツの各種センサーで得られる諸情報も、市場データもすべてこの「O」つまり「観察」に分類されます。
ジーンは自分に手柄がないのを焦っていたようで、「出世のチャンス」と判断してしまいます。
「シャア少佐だって、戦場の戦いで勝って出世したんだ!」
これが、最初の「O(観察)」です。
デニムは双眼鏡を使っていましたが、モビルスーツの各種センサーで得られる諸情報も、市場データもすべてこの「O」つまり「観察」に分類されます。
ジーンは自分に手柄がないのを焦っていたようで、「出世のチャンス」と判断してしまいます。
「シャア少佐だって、戦場の戦いで勝って出世したんだ!」
こうして得られた情報を、自身の経験や知識などと照らし合わせて「情勢判断」します。
ジーンにとっては、
- 連邦の秘密兵器である新型モビルスーツが目前にある
- 自分にはザクがある
- シャアは戦場の戦いで勝って出世したと思われる
- 自分にはまだ手柄がない
- でも出世したい
- 上司は攻撃するなと指示していて
- そもそもの任務は偵察
の7つです。
ひょっとすると、侵入地点で待機するもう1人の同行者であるスレンダー軍曹が自分より階級が上で、デニムとともにルウム戦役に出ていることにコンプレックスを感じていたかもしれません。
彼がもっていた観察と諸情報から、論理的に導かれる選択肢は2つあります。
まずは、「本来の任務と上官の命令にそって、偵察だけして帰る」です。
もう1つが彼が採用した「任務と上司の意思に反しつつも、自身の手柄(つまり出世)を追求する」でしょう。
名画『七人の侍』で名優・志村 喬が演じる勘兵衛に「抜け駆けの功名は手柄にならん!」という名台詞がありますが、残念ながら、ジーンの「意思決定」はまさに抜け駆けの功名を目指すものでした。
「実行」する気力には満ちていて、即座に攻撃を開始しますが、その後の顛末はご存知の通りです。
上官デニムも巻き込んで、ガンダムによる撃墜1機目となってしまいます。
OODAループの観点からは、この一連の敗北にはどこに問題があったのでしょうか?
OODAループでは2つめの「O」つまり「情勢判断」がもっとも重要であると言われます。
そして、この不運な偵察でもこの「O」で適切な「情勢判断」ができませんでした。
盲目的に命令に従えばよかったか、といえば常にそうとは限りません。
命令の出し方や受領の仕方については、松村劭の『戦術と指揮』という書籍に詳しいですが、想定と異なる状況が生まれたときには、プロフェッショナルには自律的な行動が期待されます。
常に「言われた通りにしておけばいい」ということでは、一人前を名乗るには心もとないことでしょう。
そして、自律的な行動を正しく行うためには、作戦の目的を理解し、戦略を共有していると、正しい情勢判断をしやすくなるので安心です。
(GMB第1回、第2回を参照ください)
ひょっとすると、侵入地点で待機するもう1人の同行者であるスレンダー軍曹が自分より階級が上で、デニムとともにルウム戦役に出ていることにコンプレックスを感じていたかもしれません。
彼がもっていた観察と諸情報から、論理的に導かれる選択肢は2つあります。
まずは、「本来の任務と上官の命令にそって、偵察だけして帰る」です。
もう1つが彼が採用した「任務と上司の意思に反しつつも、自身の手柄(つまり出世)を追求する」でしょう。
名画『七人の侍』で名優・志村 喬が演じる勘兵衛に「抜け駆けの功名は手柄にならん!」という名台詞がありますが、残念ながら、ジーンの「意思決定」はまさに抜け駆けの功名を目指すものでした。
「実行」する気力には満ちていて、即座に攻撃を開始しますが、その後の顛末はご存知の通りです。
上官デニムも巻き込んで、ガンダムによる撃墜1機目となってしまいます。
OODAループの観点からは、この一連の敗北にはどこに問題があったのでしょうか?
OODAループでは2つめの「O」つまり「情勢判断」がもっとも重要であると言われます。
そして、この不運な偵察でもこの「O」で適切な「情勢判断」ができませんでした。
盲目的に命令に従えばよかったか、といえば常にそうとは限りません。
命令の出し方や受領の仕方については、松村劭の『戦術と指揮』という書籍に詳しいですが、想定と異なる状況が生まれたときには、プロフェッショナルには自律的な行動が期待されます。
常に「言われた通りにしておけばいい」ということでは、一人前を名乗るには心もとないことでしょう。
そして、自律的な行動を正しく行うためには、作戦の目的を理解し、戦略を共有していると、正しい情勢判断をしやすくなるので安心です。
(GMB第1回、第2回を参照ください)
あいにく、ジーンもデニムも「偵察する」という作戦の具体的な行動は理解しつつも「目的」を理解しきれていませんでした。
実際、『機動戦士ガンダム』第2話でシャアはドズルに「できるならそのモビルスーツを手に入れろ」と注文されています。
シャアであれば事前に理解していた指示でもあるでしょう。
よしんばここで破壊できていたとしても、果たしてシャア少佐やドズル中将から手柄とされたかといえば、必ずしもそうではないように思われます。
不測の事態が起きたときにも、そもそもの目的を思い出しつつ、適切な「情勢判断」をして効果的にOODAループを実践していきましょう。
次回もお楽しみに!
GMBとは
ガンダムをこよなく愛し、ガンダムでビジネスを語る、謎でもないマーケターユニット。
音部 大輔
日米P&G、ダノンジャパン、ユニリーバ・ジャパン、資生堂などで、マーケティング担当副社長やCMOとしてマーケティング組織を構築・指揮し、持続的成長を実現。2018年より株式会社クー・マーケティング・カンパニー代表取締役。国内外のさまざまなクライアント企業にマーケティング組織強化など提供。博士(経営学 神戸大学)。日本マーケティング学会 理事。日経BPマーケター・オブ・ザ・イヤー審査員、日経BtoBデジタル・マーケティングアワード審査員。著書に『なぜ「戦略」で差がつくのか。』(宣伝会議)、『マーケティングプロフェッショナルの視点』(日経BP)
田中 準也
新卒でクレディセゾン入社。その後ジェイアール東日本企画、電通、トランスコスモス、メトロアドエージェンシー、電通レイザーフィッシュ(現電通アイソバー)を経て、2015年インフォバーン入社。2017年に取締役に就任。2019年より取締役COO。マスからデジタルまで精通し、オンラインとオフラインを横断する総合的なコミュニケーションデザイン及び新規事業開発・推進が得意。
一般社団法人マーケターキャリア協会 理事。
豊後 祐紀
2017年4月30日までトライバルメディアハウス コンサルティング営業部 熱狂ブランドマーケティングチームに所属。大手製菓会社や、大手化粧品メーカーなどのブランディングを提案し、実行。その後、2017年4月より読売広告社のシンガポール支店であるFLP YOMIKOに所属し、主に日清食品シンガポールのブランディングを担当。2017年12月より子供の頃の夢だったゲームのマーケターとなるべく、DMM.comに所属。ブランディングやプロモーションを担当する。
新卒でクレディセゾン入社。その後ジェイアール東日本企画、電通、トランスコスモス、メトロアドエージェンシー、電通レイザーフィッシュ(現電通アイソバー)を経て、2015年インフォバーン入社。2017年に取締役に就任。2019年より取締役COO。マスからデジタルまで精通し、オンラインとオフラインを横断する総合的なコミュニケーションデザイン及び新規事業開発・推進が得意。
一般社団法人マーケターキャリア協会 理事。
豊後 祐紀
2017年4月30日までトライバルメディアハウス コンサルティング営業部 熱狂ブランドマーケティングチームに所属。大手製菓会社や、大手化粧品メーカーなどのブランディングを提案し、実行。その後、2017年4月より読売広告社のシンガポール支店であるFLP YOMIKOに所属し、主に日清食品シンガポールのブランディングを担当。2017年12月より子供の頃の夢だったゲームのマーケターとなるべく、DMM.comに所属。ブランディングやプロモーションを担当する。
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