舞台挨拶には、富野由悠季総監督に加え、キャピタル・アーミィに所属するマスク役の佐藤拓也さん、マニィ・アンバサダ役の高垣彩陽さん、デレンセン・サマター役の小山剛志さん、ベッカー・シャダム役の姫野惠二さん、バララ・ペオール役の中原麻衣さんが登壇。MCを綾見有紀さんが担当し、TVシリーズから劇場版となった本作への想いや、マスクを中心としたキャラクター同士の男女関係、DREAMS COME TRUEが手掛けたテーマソング「G」などについて聞いた。
まず、劇場版『G-レコ』の舞台挨拶としては今回が初登壇になるキャスト4人が、2014年のTVシリーズ初回放送から5年を経て改めて劇場版となった感想を述べた。小山さんは、色々な経験をしながら52歳になってあまり緊張することも無くなってきたが、アニメ声優デビュー作が『∀ガンダム』だったということもあり「今日は久しぶりに緊張しています」と語る。佐藤さんは、TVシリーズの先行上映会から6年も経つということに驚きを表すとともに、劇場版の収録をしていて「時を経るごとに味わいが増す作品だな、と感じました」と話した。中原さんは、劇中で恋愛模様を見せるバララ、マスク、マニィの3人のキャストが勢揃いした本日の並び順について「光栄です」と含みを持たせてコメント。
また、富野総監督に「今回の主役です!」と紹介された姫野さんは、恐縮しながらも「友人が『舞台挨拶にはこれを着ていけ!』とくれた自作のTシャツを着てきました!」と意気込みを見せる。富野総監督に「ベッカーやってどうだったの?」と問われると、「僕は本当はベッカーみたいにヤバい奴じゃないんです。TVシリーズで初めてベッカーをやった時に、第10話の演出を担当した荒木哲郎さんからまだ足りない、もっともっと!と言われたのがキッカケで、このベッカーができ上がり、今に至ります」と当時を振り返る。富野総監督も「姫野さんは劇場版『G-レコ』第5部まで、しっかりと悪役として出てくるので応援お願いします」と笑いを誘っていた。
続いて、マニィ、マスク、バララの関係について尋ねられた高垣さんは、劇中のセリフ「ルインはマスク……」の名シーンからも分かる通り、海に叫ぶマスクを見るだけでも察せられる関係性の演出に敬服していた。しかし、エフラグにマスクが生身で飛び移るシーンで「バララ!」と叫んだことには、命の危険がある時にマニィって呼んでくれないのか、と「ちょっとイラっとしました」と笑顔で語る。中原さんは、バララとしてはマスクと大人の関係をしてたのに、マニィが勝手に入ってきて「え、何?」みたいな感覚があります、とキャラクターの目線で心情を明かすと、間に挟まれた佐藤さんが「もうやめて~」と叫ぶ場面も。
また、佐藤さんは「ルインは夢がありキャピタル・アーミィに入ったわけだけれども、女の子から応援があったり、認めてくれたりがあったからこそ、やっと男の子として立ち位置を確立できる。女性の方には“やっぱり男の子って駄目ねぇ”ということでわかってもらえたら嬉しいと思うのだけれども……」と尻すぼみの声で笑いを誘った。
富野総監督は、男女関係や描き方でのこだわりについて、「今三人が説明したことを映像にできるように、どれほど考えたことか。バララの、足を受け止めるカットが出来た時には“うまくいった!”と一晩中泣きました。人間関係というものをワンカットで描けたのは50年やってて初めてだったので身震いをしたし、もっと言うとエクスタシーを感じました」と話した。さらに監督は「バララは『G-レコ』の中で一番いい女」と話す。第4部から第5部までのバララの行動線を見ていると、引き際の良さが描かれているとのことなので、注目してみよう。
デレンセンについて、小山さんは「その声、ベルリ生徒だったか」というシーンを演じた際、TVシリーズの時には驚きや“ベルリ、やるな”などといった複雑な感情を込めていたが、劇場版については、富野総監督の「そうじゃない」という演出もあって、単純な驚きのみで演じたと明かす。劇場版を見てみると、驚きだけで演じた方がより切ないのでは?と、同じセリフを改めて演じられる貴重な機会で得られた経験を語った。また、劇場版で追加された、ケルベスがデレンセンの死について触れるシーンを「嬉しかったです」と話していた。
話題は、DREAMS COME TRUEによる劇場版『Gのレコンギスタ』のテーマソング「G」について。富野総監督は、楽曲の完成を待ってギリギリの作業で完成させたという本作のエンドロールの映像について、「吉田美和さんのヴォーカルに負けないように作らなくては、という思いで挑んだものの『制作時間が無いからこういう結果になりました』としか言えないわけだけれども、逆に言うと兼用の画しか使えないからこそ今回の映像ができた。いちからアニメーションを新作していたら絶対にヴォーカルに負けていたと思う。“吉田美和という天才的な作詩家”から、『G-レコ』のことをよく調べ、ここまで『G-レコ』をわかってくれているかという「G」を受け取り、今回のような作り方ができて良かったという感覚を持っています。また、みなさんの感覚から見ても分かる通り、画も見づらくてスタッフロールも読みづらい煩わしいエンドロールになっているのは楽曲の勢いに画面が負けないようにするという僕なりの方法です」と今回の賑やかなエンドロールについて語る。また、「G」のミュージックビデオについては「『G-レコ』のコラボレーションをしてくれたことで『G-レコ』がメジャーの装いを持つことができたということに本当に感謝しています」と話した。
尽きない話題に大盛り上がりとなった舞台挨拶も終了の時間が来てしまい、最後に富野総監督からメッセージがあり、大盛況の舞台挨拶は幕を閉じた。
富野由悠季総監督
本当に今日はお忙しい中来ていただきありがとうございました。ようやく2本目が終わりましたがまだあと3本あります。これ以後の宿題としてドリカムに負けないようにということもあり、さらに底上げしたものを作品にしていきたいし、今思っている予定で行けば吉田美和さんに怒られない第5部までを作れるという自惚れもあります。アニメのキャリアを持っている部分では“ドリカムに負けるか!”という思いでやっていきますので第5部まで今後ともよろしくお願いいたします。
劇場版『Gのレコンギスタ II』「ベルリ 撃進」は、全国29館で2週間限定上映中。上映劇場では、ペーパークラフト「エルフ・ブル」が先着でプレゼントされるほか、2種のパンフレットやアクリルキーホルダー、アパレルアイテムなどの販売も実施されている。
3月以降も全国で追加上映が実施されるので、ぜひとも近くの劇場へ足を運んで、大スクリーンと大迫力の音響と共に本作を楽しもう。
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