11月29日(金)から全国23館で上映がスタートする劇場版『ガンダム Gのレコンギスタ I』「行け!コア・ファイター」の特別先行上映が、9月14日(土)、映画祭「ぴあフィルムフェスティバル(PFF)」の中で行われた。
会場では、チケットを購入して来場した一般参加者だけでなく、ガンダムファンクラブを通じて招待された10歳から16歳の子供たちとその保護者の親子10組や、PFFからの呼びかけで集まった8歳から18歳の子供たちとその保護者の親子30組も鑑賞。
上映終了後のトークショーには富野由悠季総監督と荒木啓子PFFディレクターが登壇し、「未来の問題を子供たちに考えて欲しくてベルリとアイーダの物語を創った」という富野総監督が、客席に集まった少年少女へ向けて本作へ込めた思いを語り、寄せられた質問に答えた。
イベントの締めくくりに、本作の完結がいつになるかと問われた富野総監督は「余命の問題もあるので再来年までには全5部作をやってほしい。そして目が黒いうちに次回作に行きたいと思っています。」と答え、万雷の拍手の中、特別先行上映は幕を閉じた。
イベント概要
【イベント名】
劇場版『ガンダム Gのレコンギスタ I』「行け!コア・ファイター」 ぴあフィルムフェスティバル(PFF)特別先行上映&富野由悠季トークイベント
【開催日】
2019年9月14日(土)13:30~17:00
【場所】
国立映画アーカイブ 長瀬記念ホールOZU
(東京都中央区京橋3-7-6)
【登壇者】
富野由悠季、荒木啓子(PFFディレクター)
【トークショー概要(富野総監督コメント抜粋)】
<映画について>
今日この場に呼んで頂いたことに驚いてもいるしあきれてもいます。『ガンダム Gのレコンギスタ』という巨大ロボット物がここで上映されると思っていませんでした。でも本当のことを言うと当たり前だろ、と(笑)。25年遅いです(笑)。アニメが一般化してる今の人はわからないかもしれないけど、アニメは映画ではないと言われ続けてこの50年過ごしてきました。だから映画界には恨みつらみしかありません。でも、それがあったからここまでやってこられました。CMの仕事をしたりもしましたが、本気にはなれなかった。CMは監督のクレジットが出ないからです。巨大ロボットものでもクレジットが出る作品を続けていればどこかで認めてもらえるかもしれないと思って続けてきました。
<作劇と『機動戦士ガンダム』について>
1950年代、60年代のSF映画はすべて観てました。すべてと言っても5、6本しかないんですけど。それらを観ていて気付いたことは、設定やポスターの1枚絵がいくら面白そうでも「劇」が面白くなければ面白い映画にはならないということ。「劇」がとても重要な言葉で、巨大ロボットが2体戦闘するだけでは「劇」ではないんです。「劇」をやるというのは人間、人間同士であいつが好きとかあいつが憎いとかそういったドラマとしてのバランスが映画には重要なんです。だから『機動戦士ガンダム』は敵が宇宙人じゃなかった、人間同士の戦争を描いた時点である意味勝ちだったんです。
<『伝説巨神イデオン』について>
この話はどこでもしたことがないんですけど、『機動戦士ガンダム』の後にやった『伝説巨神イデオン』は作品と心中する覚悟で作りました。劇中の人間がすべて死ぬというのは最終手段で作家として一番やっちゃいけないんですよ。ただ、惑星間同士の対立をやった時点で全員殺すしかないと思った。だから『イデオン』をやっているときはこれが最後という自殺みたいな感覚がありました。その後のことは考えてなかったし、考えてたら逃げちゃっていたと思います。「富野由悠季の世界」をやるために観直しましたけど、こんなの俺作れない(笑)。あれはまともな神経じゃ作れないですよ。
<劇場版『ガンダム Gのレコンギスタ I』「行け!コア・ファイター」について>
TV版の不足しているところを補って5本の映画にまとめています。なので最後のエンディングはTV版と全く一緒だけど至る道が全然違います。TV版での作劇の破綻というものがあって、それは富野自身がよくわかっています。自分の作品の欠点はよほどバカじゃない限りわかりますよ。TV版では一番肝心なベルリとアイーダの話が抜けてしまっていました。一目ぼれした女性だったけど、恋人を殺してしまったという関係で最後まで行ってしまったんですね。姉弟だと自覚したときの反応するシーンがドンと抜けてしまっていたんです。
それと僕は作品を通して世直しをしたい。でも世直しの方法論を示すことはできないんです。だから未来に起こる問題をテーマにしている。宇宙エレベータの技術的な問題やフォトン・バッテリーで表しているエネルギー問題を、そこでやっている劇を通して問題提起しています。それを観た子供たちが30年後、50年後に答えを出してくれるかもしれないと期待しています。今日改めてこの作品を観てもあまり上手じゃない、一般的に伝わるように作られてないと反省はしています。でももしこれを見て、5、6人でも伝わる人がいるならば『Gのレコンギスタ』という作品は50年持つと思います。そのうぬぼれがないと作品を作れない。その自負心を持ってやっています。余命の問題もあるので再来年までには全5部作をやってほしいですね。そして目が黒いうちに次回作に行きたいと思っています。
今日はお呼び頂きましてありがとうございました!
【上映期間】
2019年11月29日(金)~12月12日(木)[2週間限定]
【配給】
バンダイナムコアーツ・サンライズ
【メインスタッフ】
総監督・脚本:富野由悠季
原作:矢立 肇、富野由悠季
演出:吉沢俊一
キャラクターデザイン:吉田健一
メカニカルデザイン:安田 朗、形部一平、山根公利
デザインワークス:コヤマシゲト、西村キヌ、剛田チーズ、内田パブロ、沙倉拓実、倉島亜由美、桑名郁朗、中谷誠一
作画監督:吉田健一、桑名郁朗
美術監督:岡田有章、佐藤 歩
色彩設計:水田信子
ディスプレイデザイン:青木 隆
CGディレクター:藤江智洋
撮影監督:脇 顯太朗
編集:今井大介
音楽:菅野祐悟
音響監督:木村絵理子
企画・製作:サンライズ
【メインキャスト】
ベルリ・ゼナム:石井マーク
アイーダ・スルガン:嶋村 侑
ノレド・ナグ:寿 美菜子
ルイン・リー:佐藤拓也
ラライヤ・マンディ:福井裕佳梨
クリム・ニック:逢坂良太
【第1部あらすじ】
地球上のエネルギー源であるフォトン・バッテリーを宇宙よりもたらすキャピタル・タワー。タワーを護るキャピタル・ガードの候補生ベルリ・ゼナムは、初めての実習で宇宙海賊の襲撃に遭遇して捕獲に協力。捕まった少女アイーダに不思議な何かを感じたベルリは、彼女が「Gセルフ」と呼ぶ高性能モビルスーツを何故か起動できてしまう。宇宙世紀終焉後の時代、リギルド・センチュリーを舞台に少年少女の冒険は世界の真相に直進する。
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