東京・お台場でニフティが運営するイベントハウス「東京カルチャーカルチャー」では、「シャアの日常」単行本第3巻の発売を記念するトークショーが、4月5日(日)に開催された。
昨年に続き2回目となる今回のイベントには、前回と同じく脚本担当の本田雅也先生と、ガンダムエース編集部より担当編集の財前氏が登壇。作画担当である南北先生からのコメントも紹介しながら、3月26日(木)に発売となった単行本第3巻のお気に入りシーンを中心に話が進められた。
第3巻冒頭の第24話と第25話は前巻から続く話で、西たちが「桃太郎」の演劇を上演するというもの。このエピソードは1本で終わる予定だったが、財前氏が気に入り3本になったそうだ。
まず挙げられた「南北先生お気に入りのシーン」は、「台本を勝手に直した西に対して牙流馬が『じゃあ勝手にすればぁ?』と言うところ」。「ボンボンらしい自己中さが出ていて好き」ということで、本田先生も「ふてくされれば西が止めてくれることを知っていて、『こいつは自分を邪険にはしないだろう』という信頼感がいい」と、気に入っている様子だった。
また、「猿役のせいらが猿になりきろうとして完全に猿化しているシーン」では、せいらが投げたバナナの皮が西のマスクにひっかかるか否かで南北先生と激論になったそうだ。
▲激論の結果、「やりすぎはよくない」ということで「バナナなし」に。
また、シナリオ執筆について本田先生は「財前君を笑わそうと思いながら書いている」そうで、「シナリオを送ってすぐに電話が来るのは面白い時、翌日に来るのは直しがある時。電話をとってすぐ『面白かった面白かった』と言うのは良い時、『読みました読みました』と言うのはダメな時」という法則があるようだ。
続いて、「『桃太郎』に比べてすごくミニマムな話」と言う『第26話 シャアの殺虫』は、初心に返って部屋の中の話をやってみようと生まれたエピソード。
本田先生は「こたつから出られない、とかもいいよね」と言い、「他にやってみたいミニマムなネタは?」という財前氏の問いには、「西が急に盆栽に目覚めるって面白くない?」と回答。しかし財前氏はいまいちピンとこない様子で、「……あれ?これは『読みました読みました』の方?」と言う本田先生に、財前氏は「……もっとあってもいいな」とコメント。
だが、その次の「屋根裏から『シャア』と書かれた日記が出てきて、自分が知らないことが沢山書いてある」というネタには財前氏も好反応。「『今日は部下を2人殺してしまった』とか『ザクを3機失った』とか書いてあって、何だこれ!?となる」そうだが、今後実現する日は来るのだろうか。
そして、このエピソードで本田先生が1番好きな台詞は「今という時では人は殺虫剤を殺し合いの道具にしか使えんのだ」で、それに対し「殺虫剤を殺し合いの道具以外に使う人がいるのか」と自らツッコむ。また、蚊の羽音をモールス信号と勘違いする西に対しても、お二人は「そんなわけないでしょ」、「身の回りで、蚊の羽音がモールス信号に聞こえて『俺にメッセージを送ってる』って言い出す人がいたら、お薬をあげたほうがいい」などとツッコみ、客席からは笑いが。
▲本田先生が「西の悲しみが溢れるページ」と語るシーン。
ちなみに、西が「蚊の羽音」だと思っていた音は、実は携帯電話の着信音だった。
第2巻にも登場した「イカの携帯電話」のモデルはとある企業がエイプリルフールとして発表した商品だそうで、財前氏は「あの流れで蚊の着信音もあるのかと思った」らしいが、着信音については本田先生も聞いたことがないそうだ。
続く『第27話 シャアのノミ取り』で南北先生が好きなシーンは、「箪笥の上に逃げたザク(猫)に翻弄されている西の、後ろ姿のみっともなさ」。また本田先生は、このシーンや『第28話 シャアの花嫁』で「せいらに蹴られて西が障子に顔面から突っ込むシーン」を挙げて、「南北さんの描く後ろ姿がすごく良い」と語った。
また『シャアの花嫁』では、財前氏が「せいらに問い詰められて状況が全く分かっていない顔の西」を挙げ、「今時の漫画にはない絵ですごく好き」とコメントした。
▲本田先生が「日本の宝」と語る南北先生が描く、西の(みっともない)姿。
さらに、作品に登場する猫のネーミングについて「『ザク』は、猫は砂をザクザクするから『ザク』」だそうだが、乱馬が飼っている「グフ」については「なんで乱馬は『グフ』ってつけたのかずっと考えていた」そうだ。そしてある時わかったことが、「漢字で書くと『愚夫』で、乱馬は自分が破門に対して愚かな夫であることを忘れないために『グフ』とつけた……って夢を見た」というまさかのエピソードも披露された。
休憩をはさんでの後半は、ファンからの質問・要望コーナーでスタート。
1つ目は「西はサンダルを履いているが、いつかシャアのようなブーツを履く日が来るのか?」という質問で、本田先生は「『3話辺りでブーツを見つける』、『シャアの衣装を1つずつ見つけていく』という案もあったけど、南北さんの描いたサンダルの立ち姿があまりにもよかったし、安彦さんの絵の完コピなので違いが必要だと思ったから」ということ。また「いつかシンデレラみたいに『この靴の持ち主は誰だ』というのもいいかも」というアイディアも挙がったので、今後の展開に期待だ。
続いて「アムロが大好きなんですが、今後出てくることはあるのでしょうか?」という質問に、本田先生は「それは大きな問題だよね」とコメント。ただ1つ言えることは「アムロが出てきたらそれは苦しくなってきた時」だというほか、「実は隣に住んでるんだけどそこは開かずの扉で、開けたら体育座りで白目剥いたアムロがいる!?」という話も飛び出した。
続いて、本田先生が大好きなキャラクターだという乱馬のシーンでは、「熱いお茶を飲んで転げ回る乱馬」をピックアップ。「ベタすぎて昭和ですよ」と言いつつも、「こんなシーンでも、南北さんが描くと気品が溢れる」とコメントした。
同じく乱馬では、「車に引きずられながら、『自分の力で勝ったのでは無いぞぉおぉぉ』と言うシーン」も挙がり、財前氏は「映像で見てみたい」ということだった。
▲「出てくると話が進む」乱馬だが、友人には「いつまで乱馬出てくるんだ。もっと牙流馬出せ」と言われたそう。
さらに、第3巻には「南北先生のアイディア」だというおまけマンガが収録されているが、ここでは「『アルテイシアですわお兄さま』と言うせいらが可愛い」という話題に。
また、西の「このマスクは何のためにするんだ…?」という言葉に、せいらが「姿を隠すためですよぉ」と言うが、「第1巻では、シャアに関することを言うのは牙流馬の役目だったが、ここではせいらが言っているというのが今回のポイント」ということだった。
▲本田先生が「可愛すぎて事件」、「神がかってる」とベタ褒めのせいら。
また、結末については完全に白紙だそうで、本田先生は「考えてないし、考えないようにしている。結末が決まっているとそこに向かっていくだけだからつまらないし、毎月のリアクションでどうとでもなる方が生き物みたいで面白い」と語った。
そしてイベントでは来場者へのプレゼントとして、南北先生描き下ろしのサイン色紙がプレゼントされるじゃんけん大会も実施。当初の予定では5枚だったが、描き損じた場合のために2枚余分に色紙を渡したところ7枚描いてくれたということで、会場は大盛り上がりとなった。
さらに、コミックス第1巻から第3巻までの表紙の複製原画もプレゼントされたほか、来場者全員に漫画の複製原画も配布された。
▲南北先生と本田先生のサイン入りの、貴重な描き下ろし色紙や複製原画にファンは大興奮!
最後に本田先生から、今後の展望として「『今思うと1巻てすげーつまんなかったね』と思われるようにしたい。それはつまりどんどん面白くなっているということだから、過去のものがつまらなくなる漫画を目指していきます」とのコメントがあり、イベントは幕を閉じた。
なお、本イベントの模様は、東京カルチャーカルチャー Ustreamチャンネルにてアーカイブ配信も行われている。こちらもあわせてチェックしておこう。
▼ 東京カルチャーカルチャー Ustreamチャンネル
http://www.ustream.tv/recorded/60760077
コミックス「シャアの日常」は、第1巻から第3巻がKADOKAWAより好評発売中のほか、総合電子書籍ストア「BOOK☆WALKER」でも電子書籍版が好評配信中だ。
まだ読んでいない人は、ぜひともこの機会に読んでみよう。
(ガンダムインフォ編集部)
「シャアの日常」単行本3巻発売記念トークライブ
[日時] 2015年4月5日(日)
[会場] 東京カルチャーカルチャー
[日時] 2015年4月5日(日)
[会場] 東京カルチャーカルチャー
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