富野由悠季監督によるガンダムシリーズ最新作『ガンダム Gのレコンギスタ』のイベント上映の千秋楽にあたる9月5日(金)、東京・新宿の劇場「新宿ピカデリー」にて「クリエイターズトークナイト」が開催された。
当日は、本作のキャラクターデザインを務める吉田健一氏、メカニカルデザインを務める安田 朗氏と形部一平氏、デザインワークスを務めるコヤマシゲト氏、サンライズの小形尚弘プロデューサーが登壇。
まず始めに、それぞれ企画に参加した当時を振り返り、最も長く関わってきた吉田氏は『2007年に声がかかって、30代最後の作品にしようと思って意気込んでいたら、40代半ばになっていた』とコメント。また、当初はベルリとアイーダが「容姿も瓜二つの双子」という設定だったので、『男でもあり女にも見えるということはどちらの記号も使えないから、困ったな…と思った。キャラクターのデザインが今の形になったのは、去年の頭ぐらい』と語った。
安田氏は、『正式に誘われる前から密かに声を掛けられていたので、独自に資料を取り寄せてデザインを考えていた』とのこと。今回安田氏は主に「G-セルフ」を担当しているが、「ガンダム」30周年の企画用に考えていてお蔵入りになったものが、今の「G-セルフ」の原型になっているという。
形部氏は、これまで主に広告のイラストなどを手掛けておりロボットのデザインは初めてだという異色の経歴の持ち主だが、富野監督と出会ったのは別の映像作品の企画であった、と振り返る。結局その企画はなくなったが、『その一年後、2010年の終わりぐらいから非通知で電話がかかってきたけど、2ヶ月ぐらい無視していたら家にかかってきて奥さんが出て(富野監督がどれだけすごい人か話していたので)びっくりして間違えて切ってしまった』というエピソードを披露。さらに、『富野さんは自分のことをシューズデザイナーだと思い込んでいるが、シューズをデザインしたことはない(笑)』と言うと、『今からでも仕事頂ければ、嘘にはならないですよね』と、会場の笑いを誘う場面も。
そして、ついさっきまで打ち合わせをしていたというコヤマ氏は、安田氏が企画に参加した当初から、一緒にキャラクターをデザインしているという。また、キャラクターデザインに関しては、「アイーダは監督が良いと言っているにも関わらず、かなりギリギリまで絵柄で悩んでいた」という裏話も披露された。
そして、印象的だった話として、シナリオを書き終えた富野監督に安田氏がまた別の案を出してしまった時、激怒する監督の後ろで稲妻が走り『この時宇宙の法則が変わって、ついに神に就任したんだなと思った』、『去年の9月・10月ぐらいから本当に神がかって作業が加速して、ついていけなくなった』という、富野監督の「パワフルさ」が伝わってくるようなエピソードも。
来場者特典の「初期デザインシート」を見ながらのトークでは、安田氏デザインの「スカイガンダム」は「G-セルフ」の初期案ではないと説明があり、『去年の夏にスカパー!のCMに富野さんが出演した時に、書斎の壁に本物の「G-セルフ」を貼っていて、それはやめてくれと、安田さんに事情を話してダミーを描いてもらった。もったいないからどこかで出そうと思っていたので、今回使わせてもらいました』と、小形プロデューサーが語った。
さらに、『実は「G-アルケイン」も変形する設定で、プラモデルでは変形するが本編では監督が忘れていて今のところ予定はない』という衝撃の事実も。
また、「ベルリ」は最初名前が「ベリル」だったが、監督が書いているシナリオで途中から「ベルリ」になり、『俺が間違えるわけないんだから名前が悪いんだ。「ベルリ」だったら「ベル」と呼べるじゃないか』ということで「ベルリ」になったこと、「ラライヤ・マンディ」という名前も、『スタジオで監督が壁を見ながら考えている目線の先にカレンダーがかかっており、劇中でも本当に「月曜日に落ちてきたから」となっていた』という、「富野ネーミング」秘話でも盛り上がった。
最後は、各人からのコメントでトークショーは締めくくられた。
吉田健一
「とにかく監督がすごくて作品も面白いので、最後まで勢いよく見てもらいたい。」
安田 朗
「監督が『∀』の時の倍ぐらい元気。監督はいつもガンダムを強くしてくれるので、それを僕も楽しみにしているので、皆さんも楽しみにして下さい。」
形部一平
「素人から初めてたくさんMSを描かせてもらって光栄。不安もあるが、自分も楽しみにしているので、よろしくお願いします。」
コヤマシゲト
「7年ぐらいやっても始まるとあっという間でびっくりだが、ぜひ最後まで観てもらいたい。」
小形尚弘
「監督がとてもパワフル。テレビは今回が最後かもしれないと本人も言っており、僕たちは富野作品に育てられてきた恩を返す意味もあると思うので、皆さんの力を借りて富野さんを持ち上げて、良い思いをさせてあげたい。26本走り切って、来年この舞台に富野さんを連れてきてあげたい。」
(ガンダムインフォ編集部)
特別先行版は、dアニメストアにて本日9月8日(月)から9月30日(火)まで配信。
テレビ放送は、10月の「アニメイズム枠」での放送となり、10月2日(木)深夜のMBSを皮切りに、翌10月3日(金)深夜にTBSとCBC、10月4日(土)深夜にBS-TBSでスタート。なお、初回放送は1時間スペシャルとなり、第1話と第2話が一挙放送される。
さらに、既にBlu-rayとDVDの発売が決定しており、第1巻は12月25日(木)に発売され、以降毎月1巻ずつ全9巻でリリース予定。
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