▲左から、藤津亮太さん、太田垣康男さん、小形尚弘さん
「THE GUNDAM BASE TOKYO」(ガンダムベース東京)で好評開催中の「機動戦士ガンダム サンダーボルト 連載10周年記念展」は、本日10月1日(土)、オープニングイベントを実施した。
本イベントは、「機動戦士ガンダム サンダーボルト」の漫画連載10周年を記念したもので、著者である太田垣康男さん、アニメ版のプロデューサーを務めた小形尚弘さんが登壇し、司会進行はアニメ評論家の藤津亮太さんが担当した。
それでは早速、漫画版とアニメ版について語られた本イベントをレポートしていこう。
本イベントは、「機動戦士ガンダム サンダーボルト」の漫画連載10周年を記念したもので、著者である太田垣康男さん、アニメ版のプロデューサーを務めた小形尚弘さんが登壇し、司会進行はアニメ評論家の藤津亮太さんが担当した。
それでは早速、漫画版とアニメ版について語られた本イベントをレポートしていこう。
漫画「機動戦士ガンダム サンダーボルト」について
はじめに、太田垣さんは「10年も経ったんだなぁと。その分、歳もとってるということにショックです(笑)最初は1年、2年で終わらせる予定で始めた作品なのでこんなに長くなると思っていなかったです」と連載10周年を迎えた気持ちを語りつつ、「第20巻は自分の中でもターニングポイントで、ここからクライマックスが始まると思っています。あと5~6年はやれると思いますので、お付き合いください」と話し、会場からは拍手が起こる。
藤津さんが「長期連載となっている本作で節目はありましたか?」と尋ねると、太田垣さんは「まずはガンプラが出たとき。漫画だけでほそぼそとやっていたものが認められた瞬間だったので、とても記憶に残っています。2つ目はアニメ化で、まったく想定していなかったので嬉しかったです。3つ目は腱鞘炎になって、しばらく連載をとめて画風を変えてしまうことになったことですが、これは大きな転機で、まだ長期で連載できるという体制を作れたので良かったです」と答え、本作を回顧する。
次に、ついに9月30日(金)に発売された、単行本最新刊第20巻の話へ。
ブラウ・ブロの登場について、太田垣さんはサンダーボルトには“裏テーマ”があるとし、「『機動戦士ガンダム』で登場したモビルスーツ・モビルアーマーを全部リファインすることを、シリーズ通してやってきました。物語が進んでいくうえで、まだ出していないブラウ・ブロがいることに気付いて、思い付きで登場させました」と笑顔を見せた。
さらに、「刻<とき>の間」という概念について、「サンライズがつくってきたガンダムシリーズに対して自分なりのアンチテーゼがあります。心が通じる、テレパシーで交信できるというのは超能力で、しかもそれは宗教の指導者が一番欲しい力なのではないかと思いました。信者にとっても“この人を信じられる”という鍵になるはずだと。パイロットとしてではなく、自分なりのニュータイプ能力の活用方法を考えたつもりです」と持論を展開した。
メカデザインで重視している点は、自身の漫画作品「MOONLIGHT MILE」が宇宙開発をテーマとしていることから、”合理的なデザインでないと宇宙には行けない”という考えがデザインのベースにあるとする。「その視点で見ると、それまでのガンダムのデザインにいらない部品があるなと思うところがありました。なので、合理的に宇宙に行った場合、こういった部品・装備が必要だ、戦闘するならば弾切れしないためにどこかにマガジンをつけようとか、実際に宇宙に行ったらどうするの?ということを意識しています」と制作秘話が語られた。
キャラクターを描く上での意識をしている点については、キャラクターの多面体な部分を見せることで魅力を増すことができるとし、「人間らしい愛情や悲しみ、憎しみの部分が入らないと人間っぽく見えない、想像上の人物で終わってしまうんですよね。これは『機動戦士ガンダム』で富野(由悠季)さんがやってらっしゃった作劇法だと思うので、自分のなかにちゃんと“富野イズム”が受け継がれているのかなぁと感じます」と、富野由悠季監督へのリスペクトも明かされた。
また、本作の特徴ともいえる“南洋同盟”について問われると、「長期連載になっていくとなったときに、独自性を出そうと攻めたかったんです。ガンダムシリーズでは東南アジアや宗教を全面に出したものがなかったので、読者が大人の青年誌であれば見てもらえるだろうという安心感からできたことだろうなと思います」と回答。
ストーリー展開については、「『機動戦士ガンダム』のオマージュもあったので、宇宙から地上に降りたら、また宇宙にあがるという流れにしたかったです。地上編は自分なりにいろんな場所を渡り歩こうと、ガンダムシリーズで描かれていないシチュエーションを探りながら作っています」と語った。
ここで、小形さんは太田垣さんの漫画の魅力について、「まさしく絵の力ですね。『画力』という言葉は太田垣さんのためにあるんじゃないかと思えるほどです。絵から伝わってくるものがすごく大きく、読んでいくとさらにストーリーにおいての人間の描き方だったり、世界の作り方だったり、絵の特徴があるからこそ、その魅力がより伝わってきますよね」と絶賛。
それを受けて、太田垣さんは「ガンダムという冠を使わせていただいているので、ファンの期待を良い具合に裏切りたいと。コアなガンダムファンの人が考えつかなかったことをすれば、喜んでもらえるかなと思っています」としつつ、「太田垣康男という人間が描いている作品なので、そのときの自分のメンタルや気持ちを反映できる作品になっているかどうかが一番のポイントです」と、嘘偽りなく作品と向き合っていると述べた。
藤津さんが「長期連載となっている本作で節目はありましたか?」と尋ねると、太田垣さんは「まずはガンプラが出たとき。漫画だけでほそぼそとやっていたものが認められた瞬間だったので、とても記憶に残っています。2つ目はアニメ化で、まったく想定していなかったので嬉しかったです。3つ目は腱鞘炎になって、しばらく連載をとめて画風を変えてしまうことになったことですが、これは大きな転機で、まだ長期で連載できるという体制を作れたので良かったです」と答え、本作を回顧する。
次に、ついに9月30日(金)に発売された、単行本最新刊第20巻の話へ。
ブラウ・ブロの登場について、太田垣さんはサンダーボルトには“裏テーマ”があるとし、「『機動戦士ガンダム』で登場したモビルスーツ・モビルアーマーを全部リファインすることを、シリーズ通してやってきました。物語が進んでいくうえで、まだ出していないブラウ・ブロがいることに気付いて、思い付きで登場させました」と笑顔を見せた。
さらに、「刻<とき>の間」という概念について、「サンライズがつくってきたガンダムシリーズに対して自分なりのアンチテーゼがあります。心が通じる、テレパシーで交信できるというのは超能力で、しかもそれは宗教の指導者が一番欲しい力なのではないかと思いました。信者にとっても“この人を信じられる”という鍵になるはずだと。パイロットとしてではなく、自分なりのニュータイプ能力の活用方法を考えたつもりです」と持論を展開した。
メカデザインで重視している点は、自身の漫画作品「MOONLIGHT MILE」が宇宙開発をテーマとしていることから、”合理的なデザインでないと宇宙には行けない”という考えがデザインのベースにあるとする。「その視点で見ると、それまでのガンダムのデザインにいらない部品があるなと思うところがありました。なので、合理的に宇宙に行った場合、こういった部品・装備が必要だ、戦闘するならば弾切れしないためにどこかにマガジンをつけようとか、実際に宇宙に行ったらどうするの?ということを意識しています」と制作秘話が語られた。
キャラクターを描く上での意識をしている点については、キャラクターの多面体な部分を見せることで魅力を増すことができるとし、「人間らしい愛情や悲しみ、憎しみの部分が入らないと人間っぽく見えない、想像上の人物で終わってしまうんですよね。これは『機動戦士ガンダム』で富野(由悠季)さんがやってらっしゃった作劇法だと思うので、自分のなかにちゃんと“富野イズム”が受け継がれているのかなぁと感じます」と、富野由悠季監督へのリスペクトも明かされた。
また、本作の特徴ともいえる“南洋同盟”について問われると、「長期連載になっていくとなったときに、独自性を出そうと攻めたかったんです。ガンダムシリーズでは東南アジアや宗教を全面に出したものがなかったので、読者が大人の青年誌であれば見てもらえるだろうという安心感からできたことだろうなと思います」と回答。
ストーリー展開については、「『機動戦士ガンダム』のオマージュもあったので、宇宙から地上に降りたら、また宇宙にあがるという流れにしたかったです。地上編は自分なりにいろんな場所を渡り歩こうと、ガンダムシリーズで描かれていないシチュエーションを探りながら作っています」と語った。
ここで、小形さんは太田垣さんの漫画の魅力について、「まさしく絵の力ですね。『画力』という言葉は太田垣さんのためにあるんじゃないかと思えるほどです。絵から伝わってくるものがすごく大きく、読んでいくとさらにストーリーにおいての人間の描き方だったり、世界の作り方だったり、絵の特徴があるからこそ、その魅力がより伝わってきますよね」と絶賛。
それを受けて、太田垣さんは「ガンダムという冠を使わせていただいているので、ファンの期待を良い具合に裏切りたいと。コアなガンダムファンの人が考えつかなかったことをすれば、喜んでもらえるかなと思っています」としつつ、「太田垣康男という人間が描いている作品なので、そのときの自分のメンタルや気持ちを反映できる作品になっているかどうかが一番のポイントです」と、嘘偽りなく作品と向き合っていると述べた。
アニメ版『機動戦士ガンダム サンダーボルト』について
藤津さんより「太田垣さんの絵をアニメ化するとなったときは大変だなと思いましたか?」と問われた小形さんは「『サンダーボルト』は読んでいたのですが、これはアニメ化するものはないと自分の中で思っていました。しかし、(アニメ版『サンダーボルト』のアニメーションメカニカルデザインを担当した)仲 盛文さんにアニメ化の声をかけられて、本当にやるつもりあります?描いてくれるんですか?と確認はして、OKが取れたので、じゃあお願いしますということに(笑)」と仲さんとのエピソードを披露し、アニメ版の映像は今見ても良い映像だと称賛した。
さらに、第1シーズン(と、ディレクターズカット版『DECEMBER SKY』)が作品としての完成度の高さと手応えを感じていたために、第2シーズンも制作しましたと話すも、「とはいえ、(アニメ化が)第2シーズンまでという中途半端にしてしまっているなとは思っています。今後の展開もやっていきたいなという“覚悟”だけはあります。今のところ“覚悟”だけですが……(笑)」とコメントした。
そして、2023年1月から3月に『サンダーボルト』が全4話のTVエディションとして地上波初放送されることが発表されたが、太田垣さんは「嬉しいですね。日曜17時という有名アニメ枠の全国ネットで、子どもたちに見てもらえるとは想像していなかったです。もし放送されるとしても深夜だろうなと思っていたので(笑)」と胸中を明かした。
さらに、第1シーズン(と、ディレクターズカット版『DECEMBER SKY』)が作品としての完成度の高さと手応えを感じていたために、第2シーズンも制作しましたと話すも、「とはいえ、(アニメ化が)第2シーズンまでという中途半端にしてしまっているなとは思っています。今後の展開もやっていきたいなという“覚悟”だけはあります。今のところ“覚悟”だけですが……(笑)」とコメントした。
そして、2023年1月から3月に『サンダーボルト』が全4話のTVエディションとして地上波初放送されることが発表されたが、太田垣さんは「嬉しいですね。日曜17時という有名アニメ枠の全国ネットで、子どもたちに見てもらえるとは想像していなかったです。もし放送されるとしても深夜だろうなと思っていたので(笑)」と胸中を明かした。
次に「サンダーボルト 連載10周年記念展」へと話題が移ると、太田垣さんは「こういうところで皆さんに見てもらえるという機会をもてたのは、本当に光栄なことで、感謝しかないです。たくさんのファンの人に支えてもらったから今日があるので、その人たちにさらに喜んでもらえる作品を作らなければと気合が入ります」と喜びを露わにする。
月刊ホビージャパンの圧巻の作例に、「すごいですね。モデラーさんの技術と熱量の高さを直に感じられるので、紙面で見るのとは全然違いますね」と感想を述べた。
このほか、イオ・フレミングとダリル・ローレンツのキャラクター性の対比や、コーネリアス・カカの死についてなど、作品にまつわるさまざまなトークも展開。
最後に、「第1巻から読み続けてくださっているファンに、ちゃんとサービスしたいと心がけています。なので、第20巻まで付き合ってくださっているファンが、ちゃんと納得・満足できるエンディングを迎えたいなとは意識しています。どんどん加速して、自分の中でのピーク状態でクライマックスに入りたいなと思っています。話のたたみ方は漫画家の腕の見せ所なのでかっこよく閉じたいです。楽しみにしていてください」(太田垣)、「太田垣先生、10周年おめでとうございます。先生と久しぶりに会って画集を拝見しましたが、先生は漫画の描き方が一定ではなく、なにかを変えながら進化されているなと感じまして、我々には刺激的で勉強になりました。本日はありがとうございました」(小形)と挨拶があり、1時間を超える大ボリュームのオープニングイベントは幕を閉じた。
月刊ホビージャパンの圧巻の作例に、「すごいですね。モデラーさんの技術と熱量の高さを直に感じられるので、紙面で見るのとは全然違いますね」と感想を述べた。
このほか、イオ・フレミングとダリル・ローレンツのキャラクター性の対比や、コーネリアス・カカの死についてなど、作品にまつわるさまざまなトークも展開。
最後に、「第1巻から読み続けてくださっているファンに、ちゃんとサービスしたいと心がけています。なので、第20巻まで付き合ってくださっているファンが、ちゃんと納得・満足できるエンディングを迎えたいなとは意識しています。どんどん加速して、自分の中でのピーク状態でクライマックスに入りたいなと思っています。話のたたみ方は漫画家の腕の見せ所なのでかっこよく閉じたいです。楽しみにしていてください」(太田垣)、「太田垣先生、10周年おめでとうございます。先生と久しぶりに会って画集を拝見しましたが、先生は漫画の描き方が一定ではなく、なにかを変えながら進化されているなと感じまして、我々には刺激的で勉強になりました。本日はありがとうございました」(小形)と挨拶があり、1時間を超える大ボリュームのオープニングイベントは幕を閉じた。
「サンダーボルト 連載10周年記念展」の会期は10月31日(月)までとなっているので、ぜひともこの機会に足を運んでみよう。
なお、「サンダーボルト 連載10周年記念展」のフォトレポートは、こちらの記事をご覧ください。
なお、「サンダーボルト 連載10周年記念展」のフォトレポートは、こちらの記事をご覧ください。
(ガンダムインフォ編集部)
「サンダーボルト 連載10周年記念展」オープニングイベント
日程:2022年10月1日(土)14:00~
会場:THE GUNDAM BASE TOKYO(東京都江東区青海1-1-10 ダイバーシティ東京 プラザ7F)
日程:2022年10月1日(土)14:00~
会場:THE GUNDAM BASE TOKYO(東京都江東区青海1-1-10 ダイバーシティ東京 プラザ7F)
単行本第20巻、画集 商品情報
・機動戦士ガンダム サンダーボルト(20)【通常版】
著者:太田垣康男/原案:矢立 肇・富野由悠季
価格:880円(税込)
ページ数/版型:216ページ/B6
ISBN:9784098614493
・機動戦士ガンダム サンダーボルト(20)【限定版】
著者:太田垣康男/原案:矢立 肇・富野由悠季
価格:2,500円(税込)
ページ数/版型:216ページ/B6
ISBN:9784099431181
特典内容:B5ポスターBOOK/サイコ・ザク“ジェットストリーム”仕様特別収納ボックス
著者:太田垣康男/原案:矢立 肇・富野由悠季
価格:880円(税込)
ページ数/版型:216ページ/B6
ISBN:9784098614493
・機動戦士ガンダム サンダーボルト(20)【限定版】
著者:太田垣康男/原案:矢立 肇・富野由悠季
価格:2,500円(税込)
ページ数/版型:216ページ/B6
ISBN:9784099431181
特典内容:B5ポスターBOOK/サイコ・ザク“ジェットストリーム”仕様特別収納ボックス
・画集「機動戦士ガンダム サンダーボルト 太田垣康男 ARTWORKS」
価格:4,800円(税込)
ページ数/版型:フルカラー240ページ/B5判ハードカバー仕様
ISBN:9784091990778
特典内容:<描きおろし>超美麗B2判ポスター2枚/連載開始時からのカラーイラスト完全収録/<語りおろし>太田垣康男氏ロングインタビュー
価格:4,800円(税込)
ページ数/版型:フルカラー240ページ/B5判ハードカバー仕様
ISBN:9784091990778
特典内容:<描きおろし>超美麗B2判ポスター2枚/連載開始時からのカラーイラスト完全収録/<語りおろし>太田垣康男氏ロングインタビュー
※発売日は地域によって異なる場合があります。
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