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2019年1月9日 (水)

ガンダムファッションチェック第5回「ガンダムW編①」ガンダムWのファッションデザイン!

第5回「ガンダムW編①」

【目次】

⇒第5回「ガンダムW編①」ガンダムWのファッションデザイン

第6回「ガンダムW編②」服のチョイスでわかるキャラクターの性格

第7回「ガンダムW編③」ガンダムWで好きな衣裳デザイン

第8回「ガンダムW編④」明日から使えるガンダムWコーデ

 

 


①ガンダムWのファッションデザイン

― シンプルとゴージャスの落差で社会対立を表現する ―

 

キャラクター人気という点が注目されがちな『新機動戦記ガンダムW』ですが、そのストーリーは非常に複雑な構造をしています。宇宙移民と地球に残った支配階級の対立という構造はファーストガンダムを踏襲していますが、その表現方法やストーリー展開はかなり違います。階級社会を鮮明にするために、ファッションデザインや政治体制を貴族化していたり、反体制派の中でも、最も過激な武装勢力のエージェントが主人公であったり、物語の構造そのものが複雑になっています。そういう視点で衣裳デザインを見ていくと、階級社会であることを明確にするために極端な差別化をしていることがわかります。

主人公のヒイロ・ユイをはじめとするコロニー側のキャラクターたちは、誰もがシンプルで機能的なファッションをしています。色も単色やモノトーンを基調としており、ファッション性というよりも機能性を重視したデザインのものが選ばれています。

対するOZや地球圏統一連合は、制服を着用。リリーナ・ドーリアンやゼクス・マーキス、トレーズ・クシュリナーダのような主要キャラは、貴族的なデザインの華美な衣裳を身に纏っています。全体的に乗馬服にも似たタイトなスタイルで、膝丈までのロングブーツや片側だけのマントなどとてもカッコイイですね。どこか既視感があるのは、『ベルサイユのばら』にも似た体のラインを強調するデザインだからだと思います。やはり貴族的なファッションと言えば、過去の名作を思い起こしてしまうのは、アニメファンならではの感覚なのかもしれません。

TVシリーズのその後を描いた『新機動戦記ガンダムW Endless Waltz』では、実用一辺倒だったヒイロたちのファッションに変化が表れて、少しおしゃれになっています。

特に、“タンクトップ”に“スパッツ”という機能重視すぎるファッションを平然と着こなしていたヒイロは、ジーンズに上着を羽織るようになって(タンクトップはそのままでしたが)、より一般社会に馴染む「普通」のファッションになりました。この変化は、ある意味でヒイロが社会復帰し始めたことの象徴とも受け取れます。

逆に、それまで一貫して民族的背景を感じさせる衣裳を変えなかった張 五飛(チャン・ウーフェイ)が、マリーメイア軍の制服を着て登場してきたことは衝撃的でした。戦いに独自の矜持と美学を持ち、戦いを捨てようとする人類に対する疑問や、兵士として戦場に出ることが役割と感じていた五飛の葛藤と誠実さがファッションに現れており、とてもよく考えられた演出だと思います。

 

次回、第6回「ガンダムW編②」服のチョイスでわかるキャラクターの性格は、1月16日(水)更新予定!お楽しみに!

 

 


三浦 玄

スタイリスト。数々のドラマ、映画、舞台、写真集など幅広いジャンルで活躍中。

1983年生まれ、群馬県出身。主な仕事に、「仮面ライダー鎧武/ガイム」や「仮面ライダードライブ」、「スモーキング」、「ハゲタカ」など。

大のガンダムファンで特に好きな作品は『機動戦士ガンダム0083 STARDUST MEMORY』。

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