【4/26追記】
Dolby Cinema™『機動戦士ガンダム 逆襲のシャア』の「丸の内ピカデリー」での上映は、緊急事態宣言の発出に伴い、4月25日(日)以降の実施が中止となりました。
詳しくは公式サイトをご覧ください。
Dolby Cinema™『機動戦士ガンダム 逆襲のシャア』の「丸の内ピカデリー」での上映は、緊急事態宣言の発出に伴い、4月25日(日)以降の実施が中止となりました。
詳しくは公式サイトをご覧ください。
最新の上映システムでガンダム作品を楽しめる「ガンダム映像新体験TOUR」では、4月2日(金)より全国7館にて、Dolby Cinema™(ドルビーシネマ)形式での『機動戦士ガンダム 逆襲のシャア』が上映がスタートする。
本記事は、先日実施された本作の試写会に参加した富野由悠季監督への取材レポートを掲載。本作の感想やエンディング、チェーン・アギを殺さざるを得なかった理由についてのほか、5月7日(金)に全国ロードショーされる『機動戦士ガンダム 閃光のハサウェイ』に期待していることなどが語られた。
なお、ドルビーシネマ版『逆襲のシャア』と『閃光のハサウェイ』の公開を記念して、ガンダム作品の場面写真を配布するキャンペーン「ノア家のアルバム」を実施中。
さらに、『機動戦士ガンダム0083 ジオンの残光』やドルビーシネマ版『機動戦士ガンダム』劇場版三部作のリバイバル上映などが、本日3月26日(金)より実施されているので、こちらもお見逃しなく。
本記事は、先日実施された本作の試写会に参加した富野由悠季監督への取材レポートを掲載。本作の感想やエンディング、チェーン・アギを殺さざるを得なかった理由についてのほか、5月7日(金)に全国ロードショーされる『機動戦士ガンダム 閃光のハサウェイ』に期待していることなどが語られた。
なお、ドルビーシネマ版『逆襲のシャア』と『閃光のハサウェイ』の公開を記念して、ガンダム作品の場面写真を配布するキャンペーン「ノア家のアルバム」を実施中。
さらに、『機動戦士ガンダム0083 ジオンの残光』やドルビーシネマ版『機動戦士ガンダム』劇場版三部作のリバイバル上映などが、本日3月26日(金)より実施されているので、こちらもお見逃しなく。
富野由悠季監督 取材レポート
――ドルビーシネマ版『逆襲のシャア』の試写を終えて
ひとつだけおわかりいただきたいことは、ガンダム関係の仕事で映像作品をデジタル化する作業に関して言うと、今はカラコレ(カラーコレクション:映像の色の調整)や音響のバランスも含めて、”ガンダム再生チーム”が恐らく日本一ではなく、世界一かもしれないということです。
今回のことは、僕はノーチェックです。4Kリマスター版の『逆襲のシャア』(2018年発売)以降、作業工程を見るのはやめようと思ったことがあった。なぜかと言うと、技術の進化にあわせて「こうでしょう」と何度もリテイクを重ねながら作業することは、彼ら”ガンダム再生チーム”が技術論的にも感覚的にも特化してきているからです。僕みたいな古い人間が「いやそれ違うでしょ」というのは一切無しになったんです。
ガンダムチームは、20年くらい基本的に同じスタッフが中心になってやっていますが、「昔の色味は知っているけれども、今度新しいものに乗り移るために、何をするか」は、彼らの世代の仕事になったわけです。そういう意味での癖というものを、世界で一番身につけているのは彼らではないかと自惚れています。僕みたいな年寄りがどうのこうの言うことがなくなってしまったんですよ。
この数年、名作と言われた昔のモノクロ映像をカラー化した映像を見るようになりましたが、ほかの作品を見ていて思うのは「なぜこんなに解像度が悪いのか?」「なぜ昔のままなのか?」ということです。今のソフトウェアやハードウェアにあわせたガンダムでやっているような見せ方があるにも関わらず、粒子感が見えているほうが良いというものを至上主義にしてしまったり、フィルムの見づらいという点を放置している作品を見ると、ガンダム再生チームはなまじのものではないなと思いました。
現場でデジタル化に対応するスタッフたちと僕とは世代が違ってしまっていますが、フィルム時代のガンダムを知っている人たちが、きちんと次へ次へと受け継いでくれています。それで今回、ドルビーシネマ版を見た感想としては「つまらない」。要するに、”昔のもの”という見方をしていないからです。昔のままである部分や音のやせ細った部分が、あまり気にならなかったので、つまらなく感じたのです。
”ガンダム再生チーム”を褒めはしますが、本作そのものについては褒めません。本当に長い話で、同じことが繰り返し繰り返し、戦闘シーンばかりで……申し訳ないなと思っています。
――改めて『逆襲のシャア』を見返してみて
製作のときに安彦(良和)君が参加されないことがわかっていたから、劇の組み方をすごく気を付けました。「女性に好かれる男性ってどんなだろう?」と本当にずっと考えて演出して……その結果がこういう形になっているという意味では、60点はあげられないけど、55点くらいはあげられるかなと思います。
――『逆襲のシャア』のエンディングについて
僕はこれで「シャアとアムロの最後の戦い」に決着をつけたつもりでいたし、決着をつけましたので、結局これ以後が僕自身も含めて腑抜けになってしまったんだなという自覚はあります。
実をいうと、シナリオを組み、コンテを描き上げていく中で、作画監督の予定や、劇の組み立て方が、理想論ではなくしょうがなくてこうなった、というやり方をしているから、欠点がものすごく良くみえています。映画としてはオススメできないところがあります。
どういうところがオススメできないかというと、サイコフレームの扱い方はもうすこし上手にやらなければならなかったのに、ああいう風にしかできなかったのは、無様だなと思っています。しかしながら、30年前も今もそうだけど、あれについてのアイデアはいまだに出てこない。だから、今日見ていても「しょうがない、これ以上のことは思いつかないから」とごまかして逃げたという感触が強い。そして、逃げるにしては上手だなと思ってます(笑)。
コンテの5分の4の仕事が終わった時に、どうするにも作品の終わり方が思いつかなくて、必殺兵器として、最後に“子どもを産ませる”ことを思いついたんです。それで、それまでのよくわからなかった部分がチャラになるな、と(笑)。これでやると決めたときに、「途中はどうでもいいや」となってしまって、その途中のまずさが見えてしまって、嫌だなという思いがあります。でも、そうしなければ収まらなかったというので、承知でやりました。だから、既に見てしまったファンには申し訳ないんだけれども、新しいファンに「見てください」とは言えません。
――チェーン・アギを殺さざるを得なかった理由
窮余一策なんですよ。戦場の中だったら、ドラマ的な展開がなくとも、死んでも構わないということが許される。そうしないと、最後に生まれてくる赤ちゃんの声を聞かせるということが効かなくなるから、逆算してチェーンやチェーンの周りのことを含めた全ての生死については、ラストカットのためにやったことです。
だから、チェーンにしてもクェスにしても、彼女たちがいなくなっていくことがドラマ的に説得力があるように見えていないんです。コンテを切っているときに、その問題をどうするのか、手持ちの残りの尺ではケリをつけられなくなっているんです。今ある尺でも長くて見ていられないのに、これ以上長く見せるわけにはいかないので、端折り方をみていると不慣れな部分が見えてしまっているのですね。チェーンやクェスの死に方がよくわからないっていうあたりが、ドラマ的な”受け”になっていないのが、素人芸だなという言い方になります。
なんで『逆シャア』がガンダムファンのなかで評価が高いのかっていう部分に関していえば、安彦君の手でない「成長したアムロとシャアのイメージが好きだ」という部分と、一番重要なこととしては、やはり「ララァをちゃんと救っている」という見え方があるからでしょう。ファーストガンダムが好きな人は『逆シャア』を見てると、言ってしまえば溜飲が下がって「俺も歳をとってきたから、こういう話わかるんだよね」という感想を持っているんだろうなと感じます。
そういうことがあるおかげで、今回みたいに新たに見られるような形にしてくれている経済的基盤を手に入れているわけだから、ファンの方にはありがたいと思っています。
しかしながら、「戦闘シーンが多くて見ていて腹が立つんだよね」というのが、本当の評価の仕方なんじゃないかなと思います。
――30年経って、今でも“古さ”を感じられない演出について
それに関しては本当に自惚れています。当時から自惚れてます。ですが、当時は「話の展開が早すぎてわからない」と嫌われていました。
映画や戦争を描いている物語は、このテンポでやらないといけないという厳然とした計算があったから、(古さという)嫌悪感は全くなかった。「やっぱり、ほら見てみろ」と、映画はこのレベルでやってくれなきゃ困るんだよねと思っています。
作品の評価が低いのは、ガンダムが出る出ないに関わらず、戦争もので男女の絡みが本当にうまく描かれているかどうかなんです。
基本的な部分でいえば、戦争物であろうがなかろうが、映画っていうのは「男女の絡みがある」っていう話が支えとしてあって、それでも別の話をしている。つまり、ガンダムで言えば、「地球を食いつくしている人類・愚民どもは……」というとんでもない話をしているのだけれど、「ナナイに抱き着いている30後半の男がいる変な話よね」っていう構造の面白さはわかってほしいんです。そこは、うまくやっているなと自画自賛はありますよ。
その部分だけは、やはり当時から「こういう風に組むしかないんだ」という計算をしているから、映画としての最低ラインはクリアしているんじゃないかなと思ってます。
――5月7日(金)に全国ロードショーされる『機動戦士ガンダム 閃光のハサウェイ』に期待していること
まったく期待していません。それは一切内容を知らないからです。
これには僕なりの考え方がありまして、作品には先導が2人いちゃダメなんだよね。とはいえ、『ボヘミアン・ラプソディー』(2018年公開の映画)のように、監督が変わらざるを得ない場合でも1本の映画になっている素敵な作品もあるから頭ごなしに否定するわけでないけれども、基本はダメです。だから監督の村瀬(修功)君とは、仕事が始まるときに「よろしく頼む」とは伝えましたが、それっきりです。
期待していない理由は、ものすごく簡単なことで、制作スタジオが劇場版『Gのレコンギスタ』と同じだからカット袋が動いている雰囲気が見えてきたんだけれども、「1年前にあがっていなきゃいけないものが、なぜいまだにあがっていないの?」って……。それは期待できないでしょ?(笑)。
それに、コピー機の前に立っていると、嫌でもラフコンテは見えてしまいます。コンテの絵は僕と違ってすごく良い。でも、絵の上手な漫画と、絵が下手なんだけれども面白い漫画の違いはハッキリとある。絵がきれいな漫画は「ワンピース」以外は信用していません(笑)。
――村瀬さんが作画出身の演出家である問題点を富野監督から指摘されたという話を聞きましたが……
だとしたらそれは当然言っているでしょう。嫌でもそういう性癖って出るものですから、それは気を付けて欲しいという言い方はしました。だからと言って、アニメーター出身の演出家がダメだとは思っていません。
とはいえ、絵を愛する人っていうのは、今のコマ漫画みたいになっちゃうんじゃないかな?つまり、バストショットで延々とセリフが流れているみたいなことです。昔の漫画はフルサイズとアップサイズが交互にありますが、今の漫画は全部バストショットのサイズだったりする。それなら全部活字のほうがいいんじゃない?って思うのだけれども、そういう漫画は絵が上手い。
当然ですけれども、今これだけの漫画家がいる中、絵が上手いだけではない漫画家もいますよね?
――『閃光のハサウェイ』に対しての思いは?
思いはありません。どうしてかというと、2つ理由があって、1つは小説版「閃光のハサウェイ」のストーリーを思い出せなかったから。2つ目は、僕の立場として、ガンダムという作品は、僕の中では”戦記物”なんですよ。『∀ガンダム』が終わって20年経った今、ガンダム戻りはできません。だから、映像化を聞いた時は「えっ」と思ったけれども、内容を思い出せなかったから、だったらやってくれる人がいるならば「どうぞ」と言ったのです。
それでも、僕が許諾した時にプロデューサーが安心したのか、「閃光のハサウェイ」の話を僕にしてくれました。「すごく現代的な話なんですよ、それ覚えてないんですか?」と聞かれたけど、「覚えてない」のです。
今“戦記物”の体裁をとる中で、「現代で戦争が起こるかもしれないという可能性の部分を見つめる」という作品になっているというのは、30年前の作品がその目線を持っていると思っていないからです。
『Gのレコンギスタ』を始めた時にハッキリとあったのは、「地球で戦争をやるスペースがもう無くなっているのでは?」「地球自体に余力がないのに、なぜそれで戦争ができると思っているのか?」。空母をつくっても、爆撃する場所はあるのか?と問うたときに、今そんな場所はないんです。空母を動かすにしても、3000人規模の搭乗員が必要になる。そんな人件費や機材費、メンテナンス費を考えると、「そんな暇があったらさ…」っていう話がなぜ出てこないのか、と僕はずっと不思議だと思っています。
『∀ガンダム』をやった後に、”戦記物”や“軍事力で考えている政治論”というものはもう嫌だと思ったのです。今の政治家や経済人、軍人が「なぜそういう戦力を必要としているのだろうか?」「リアルに戦争を考えているのだろうか?」という現実を見ていった時に、「戦闘行為というものは何を意味するか」をそろそろわからなくちゃいけない。とはいえ、”戦記物”というと、もうガンダムでしか見られなくなってしまっている。だから、なぜみんながガンダムを見たがるのかというと「ガンダムでしか戦記物は見られないから」ということなのだと、ここ3年くらいでこの考えが固まりました。
ひとつだけおわかりいただきたいことは、ガンダム関係の仕事で映像作品をデジタル化する作業に関して言うと、今はカラコレ(カラーコレクション:映像の色の調整)や音響のバランスも含めて、”ガンダム再生チーム”が恐らく日本一ではなく、世界一かもしれないということです。
今回のことは、僕はノーチェックです。4Kリマスター版の『逆襲のシャア』(2018年発売)以降、作業工程を見るのはやめようと思ったことがあった。なぜかと言うと、技術の進化にあわせて「こうでしょう」と何度もリテイクを重ねながら作業することは、彼ら”ガンダム再生チーム”が技術論的にも感覚的にも特化してきているからです。僕みたいな古い人間が「いやそれ違うでしょ」というのは一切無しになったんです。
ガンダムチームは、20年くらい基本的に同じスタッフが中心になってやっていますが、「昔の色味は知っているけれども、今度新しいものに乗り移るために、何をするか」は、彼らの世代の仕事になったわけです。そういう意味での癖というものを、世界で一番身につけているのは彼らではないかと自惚れています。僕みたいな年寄りがどうのこうの言うことがなくなってしまったんですよ。
この数年、名作と言われた昔のモノクロ映像をカラー化した映像を見るようになりましたが、ほかの作品を見ていて思うのは「なぜこんなに解像度が悪いのか?」「なぜ昔のままなのか?」ということです。今のソフトウェアやハードウェアにあわせたガンダムでやっているような見せ方があるにも関わらず、粒子感が見えているほうが良いというものを至上主義にしてしまったり、フィルムの見づらいという点を放置している作品を見ると、ガンダム再生チームはなまじのものではないなと思いました。
現場でデジタル化に対応するスタッフたちと僕とは世代が違ってしまっていますが、フィルム時代のガンダムを知っている人たちが、きちんと次へ次へと受け継いでくれています。それで今回、ドルビーシネマ版を見た感想としては「つまらない」。要するに、”昔のもの”という見方をしていないからです。昔のままである部分や音のやせ細った部分が、あまり気にならなかったので、つまらなく感じたのです。
”ガンダム再生チーム”を褒めはしますが、本作そのものについては褒めません。本当に長い話で、同じことが繰り返し繰り返し、戦闘シーンばかりで……申し訳ないなと思っています。
――改めて『逆襲のシャア』を見返してみて
製作のときに安彦(良和)君が参加されないことがわかっていたから、劇の組み方をすごく気を付けました。「女性に好かれる男性ってどんなだろう?」と本当にずっと考えて演出して……その結果がこういう形になっているという意味では、60点はあげられないけど、55点くらいはあげられるかなと思います。
――『逆襲のシャア』のエンディングについて
僕はこれで「シャアとアムロの最後の戦い」に決着をつけたつもりでいたし、決着をつけましたので、結局これ以後が僕自身も含めて腑抜けになってしまったんだなという自覚はあります。
実をいうと、シナリオを組み、コンテを描き上げていく中で、作画監督の予定や、劇の組み立て方が、理想論ではなくしょうがなくてこうなった、というやり方をしているから、欠点がものすごく良くみえています。映画としてはオススメできないところがあります。
どういうところがオススメできないかというと、サイコフレームの扱い方はもうすこし上手にやらなければならなかったのに、ああいう風にしかできなかったのは、無様だなと思っています。しかしながら、30年前も今もそうだけど、あれについてのアイデアはいまだに出てこない。だから、今日見ていても「しょうがない、これ以上のことは思いつかないから」とごまかして逃げたという感触が強い。そして、逃げるにしては上手だなと思ってます(笑)。
コンテの5分の4の仕事が終わった時に、どうするにも作品の終わり方が思いつかなくて、必殺兵器として、最後に“子どもを産ませる”ことを思いついたんです。それで、それまでのよくわからなかった部分がチャラになるな、と(笑)。これでやると決めたときに、「途中はどうでもいいや」となってしまって、その途中のまずさが見えてしまって、嫌だなという思いがあります。でも、そうしなければ収まらなかったというので、承知でやりました。だから、既に見てしまったファンには申し訳ないんだけれども、新しいファンに「見てください」とは言えません。
――チェーン・アギを殺さざるを得なかった理由
窮余一策なんですよ。戦場の中だったら、ドラマ的な展開がなくとも、死んでも構わないということが許される。そうしないと、最後に生まれてくる赤ちゃんの声を聞かせるということが効かなくなるから、逆算してチェーンやチェーンの周りのことを含めた全ての生死については、ラストカットのためにやったことです。
だから、チェーンにしてもクェスにしても、彼女たちがいなくなっていくことがドラマ的に説得力があるように見えていないんです。コンテを切っているときに、その問題をどうするのか、手持ちの残りの尺ではケリをつけられなくなっているんです。今ある尺でも長くて見ていられないのに、これ以上長く見せるわけにはいかないので、端折り方をみていると不慣れな部分が見えてしまっているのですね。チェーンやクェスの死に方がよくわからないっていうあたりが、ドラマ的な”受け”になっていないのが、素人芸だなという言い方になります。
なんで『逆シャア』がガンダムファンのなかで評価が高いのかっていう部分に関していえば、安彦君の手でない「成長したアムロとシャアのイメージが好きだ」という部分と、一番重要なこととしては、やはり「ララァをちゃんと救っている」という見え方があるからでしょう。ファーストガンダムが好きな人は『逆シャア』を見てると、言ってしまえば溜飲が下がって「俺も歳をとってきたから、こういう話わかるんだよね」という感想を持っているんだろうなと感じます。
そういうことがあるおかげで、今回みたいに新たに見られるような形にしてくれている経済的基盤を手に入れているわけだから、ファンの方にはありがたいと思っています。
しかしながら、「戦闘シーンが多くて見ていて腹が立つんだよね」というのが、本当の評価の仕方なんじゃないかなと思います。
――30年経って、今でも“古さ”を感じられない演出について
それに関しては本当に自惚れています。当時から自惚れてます。ですが、当時は「話の展開が早すぎてわからない」と嫌われていました。
映画や戦争を描いている物語は、このテンポでやらないといけないという厳然とした計算があったから、(古さという)嫌悪感は全くなかった。「やっぱり、ほら見てみろ」と、映画はこのレベルでやってくれなきゃ困るんだよねと思っています。
作品の評価が低いのは、ガンダムが出る出ないに関わらず、戦争もので男女の絡みが本当にうまく描かれているかどうかなんです。
基本的な部分でいえば、戦争物であろうがなかろうが、映画っていうのは「男女の絡みがある」っていう話が支えとしてあって、それでも別の話をしている。つまり、ガンダムで言えば、「地球を食いつくしている人類・愚民どもは……」というとんでもない話をしているのだけれど、「ナナイに抱き着いている30後半の男がいる変な話よね」っていう構造の面白さはわかってほしいんです。そこは、うまくやっているなと自画自賛はありますよ。
その部分だけは、やはり当時から「こういう風に組むしかないんだ」という計算をしているから、映画としての最低ラインはクリアしているんじゃないかなと思ってます。
――5月7日(金)に全国ロードショーされる『機動戦士ガンダム 閃光のハサウェイ』に期待していること
まったく期待していません。それは一切内容を知らないからです。
これには僕なりの考え方がありまして、作品には先導が2人いちゃダメなんだよね。とはいえ、『ボヘミアン・ラプソディー』(2018年公開の映画)のように、監督が変わらざるを得ない場合でも1本の映画になっている素敵な作品もあるから頭ごなしに否定するわけでないけれども、基本はダメです。だから監督の村瀬(修功)君とは、仕事が始まるときに「よろしく頼む」とは伝えましたが、それっきりです。
期待していない理由は、ものすごく簡単なことで、制作スタジオが劇場版『Gのレコンギスタ』と同じだからカット袋が動いている雰囲気が見えてきたんだけれども、「1年前にあがっていなきゃいけないものが、なぜいまだにあがっていないの?」って……。それは期待できないでしょ?(笑)。
それに、コピー機の前に立っていると、嫌でもラフコンテは見えてしまいます。コンテの絵は僕と違ってすごく良い。でも、絵の上手な漫画と、絵が下手なんだけれども面白い漫画の違いはハッキリとある。絵がきれいな漫画は「ワンピース」以外は信用していません(笑)。
――村瀬さんが作画出身の演出家である問題点を富野監督から指摘されたという話を聞きましたが……
だとしたらそれは当然言っているでしょう。嫌でもそういう性癖って出るものですから、それは気を付けて欲しいという言い方はしました。だからと言って、アニメーター出身の演出家がダメだとは思っていません。
とはいえ、絵を愛する人っていうのは、今のコマ漫画みたいになっちゃうんじゃないかな?つまり、バストショットで延々とセリフが流れているみたいなことです。昔の漫画はフルサイズとアップサイズが交互にありますが、今の漫画は全部バストショットのサイズだったりする。それなら全部活字のほうがいいんじゃない?って思うのだけれども、そういう漫画は絵が上手い。
当然ですけれども、今これだけの漫画家がいる中、絵が上手いだけではない漫画家もいますよね?
――『閃光のハサウェイ』に対しての思いは?
思いはありません。どうしてかというと、2つ理由があって、1つは小説版「閃光のハサウェイ」のストーリーを思い出せなかったから。2つ目は、僕の立場として、ガンダムという作品は、僕の中では”戦記物”なんですよ。『∀ガンダム』が終わって20年経った今、ガンダム戻りはできません。だから、映像化を聞いた時は「えっ」と思ったけれども、内容を思い出せなかったから、だったらやってくれる人がいるならば「どうぞ」と言ったのです。
それでも、僕が許諾した時にプロデューサーが安心したのか、「閃光のハサウェイ」の話を僕にしてくれました。「すごく現代的な話なんですよ、それ覚えてないんですか?」と聞かれたけど、「覚えてない」のです。
今“戦記物”の体裁をとる中で、「現代で戦争が起こるかもしれないという可能性の部分を見つめる」という作品になっているというのは、30年前の作品がその目線を持っていると思っていないからです。
『Gのレコンギスタ』を始めた時にハッキリとあったのは、「地球で戦争をやるスペースがもう無くなっているのでは?」「地球自体に余力がないのに、なぜそれで戦争ができると思っているのか?」。空母をつくっても、爆撃する場所はあるのか?と問うたときに、今そんな場所はないんです。空母を動かすにしても、3000人規模の搭乗員が必要になる。そんな人件費や機材費、メンテナンス費を考えると、「そんな暇があったらさ…」っていう話がなぜ出てこないのか、と僕はずっと不思議だと思っています。
『∀ガンダム』をやった後に、”戦記物”や“軍事力で考えている政治論”というものはもう嫌だと思ったのです。今の政治家や経済人、軍人が「なぜそういう戦力を必要としているのだろうか?」「リアルに戦争を考えているのだろうか?」という現実を見ていった時に、「戦闘行為というものは何を意味するか」をそろそろわからなくちゃいけない。とはいえ、”戦記物”というと、もうガンダムでしか見られなくなってしまっている。だから、なぜみんながガンダムを見たがるのかというと「ガンダムでしか戦記物は見られないから」ということなのだと、ここ3年くらいでこの考えが固まりました。
ドルビーシネマ版『機動戦士ガンダム 逆襲のシャア』上映スケジュール
【2021年4月2日(金)~15日(木)】
上映館:計6館
上映館:計6館
- MOVIXさいたま
- T・ジョイ横浜
- ミッドランドスクエア シネマ
- MOVIX京都
- 梅田ブルク7
- T・ジョイ博多
鑑賞料:2,400円均一
※Dolby Cinema™鑑賞料金含む
【2021年4月2日(金)~5月6日(木)】
上映館:計1館
※Dolby Cinema™鑑賞料金含む
【2021年4月2日(金)~5月6日(木)】
上映館:計1館
- 丸の内ピカデリー
鑑賞料:2,500円
※Dolby Cinema™鑑賞料金含む
Dolby Cinema™(ドルビーシネマ)の上映スケジュールつきましては各劇場公式サイトをご確認ください。
※Dolby Cinema™鑑賞料金含む
Dolby Cinema™(ドルビーシネマ)の上映スケジュールつきましては各劇場公式サイトをご確認ください。
<Dolby Cinema™ (ドルビーシネマ)とは>
「Dolby Cinema™(ドルビーシネマ)」は映像と音響のパワフルな技術に、卓越したシアターデザインが組み合わせられることにより、映画館を最高に魅力的なシネマ体験をお届けする空間へと変えます。
最先端の光学・映像処理技術を採用したドルビービジョン プロジェクションシステムによって、他の映像技術を凌駕し、広色域で鮮明な色彩と幅広いコントラストを表現するハイダイナミックレンジ(HDR)映像を実現します。
そして、ドルビーアトモスは、これまでにないリアルなサウンドでシアター館内を満たし、縦横無尽に空間内を移動させることで、今まで体験したことが無いような没入感を味わうことができます。この両技術とドルビーシネマの洗練されたシアターデザインが一体となって作り出す空間の中で、驚くほど鮮やかでリアルな映像・サウンドをお届けすることで、まるで映画の世界に入ったような、劇的な進化を遂げたシネマ体験をお届けします。
※Dolby、ドルビー、 Dolby Cinema 、およびダブル D 記号は、アメリカ合衆国と またはその他の国におけるドルビーラボラトリーズの商標または登録商標です。
場面写真配布キャンペーン「ノア家のアルバム」実施中!
ドルビーシネマ版『逆襲のシャア』と『閃光のハサウェイ』の公開を記念して、ガンダム作品の場面写真を配布するキャンペーン「ノア家のアルバム」を実施。
キャンペーンは、『閃光のハサウェイ』の主人公ハサウェイ・ノアや、『逆襲のシャア』でも印象的なハサウェイの父ブライト、さらにハサウェイの母であるミライ、妹のチェーミンといったノア家の人々が登場する場面写真を厳選。『閃光のハサウェイ』の舞台となる「U.C.0105」にちなみ、合計105枚を無償公開する。
公開された場面写真は、SNS投稿やメール添付など、常識の範囲内で自由に使うことが可能となっている。
【「ノア家のアルバム」参加サイト】
キャンペーンは、『閃光のハサウェイ』の主人公ハサウェイ・ノアや、『逆襲のシャア』でも印象的なハサウェイの父ブライト、さらにハサウェイの母であるミライ、妹のチェーミンといったノア家の人々が登場する場面写真を厳選。『閃光のハサウェイ』の舞台となる「U.C.0105」にちなみ、合計105枚を無償公開する。
公開された場面写真は、SNS投稿やメール添付など、常識の範囲内で自由に使うことが可能となっている。
【「ノア家のアルバム」参加サイト】
【「ノア家のアルバム」主な登場キャラクター】
ハサウェイ・ノア、ブライト・ノア、ミライ・ノア(ミライ・ヤシマ)、チェーミン・ノア
ハサウェイ・ノア、ブライト・ノア、ミライ・ノア(ミライ・ヤシマ)、チェーミン・ノア
『第08MS小隊 ミラーズ・リポート』や『0083 ジオンの残光』など上映決定!
■『機動戦士ガンダム0083 ジオンの残光』
【2021年3月26日(金)~4月1日(木)】
上映館:計15館
【2021年3月26日(金)~4月1日(木)】
上映館:計15館
- TOHOシネマズ 流山おおたかの森
- 新宿ピカデリー
- グランドシネマサンシャイン
- TOHOシネマズ ららぽーと横浜
- TOHOシネマズ モレラ岐阜
- シネマサンシャインららぽーと沼津
- TOHOシネマズ ららぽーと磐田
- ミッドランドスクエアシネマ
- TOHOシネマズ 二条
- 大阪ステーションシティシネマ
- なんばパークスシネマ
- 神戸国際松竹
- TOHOシネマズ 熊本サクラマチ
- TOHOシネマズ アミュプラザ おおいた
- シネマサンシャイン姶良
鑑賞料:1,600円均一
■ドルビーシネマ版『機動戦士ガンダム』劇場版三部作
・劇場版『機動戦士ガンダムI』
・劇場版『機動戦士ガンダムII 哀・戦士』
・劇場版『機動戦士ガンダムIII めぐりあい宇宙』
【2021年3月26日(金)~4月1日(木)】
上映館:計1館
・劇場版『機動戦士ガンダムI』
・劇場版『機動戦士ガンダムII 哀・戦士』
・劇場版『機動戦士ガンダムIII めぐりあい宇宙』
【2021年3月26日(金)~4月1日(木)】
上映館:計1館
- 丸の内ピカデリー
鑑賞料:2,500円
※Dolby Cinema™鑑賞料金含む
【2021年4月16日(金)~22日(木)】
上映館:計1館
※Dolby Cinema™鑑賞料金含む
【2021年4月16日(金)~22日(木)】
上映館:計1館
- 梅田ブルク7
鑑賞料:2,400円均一
※Dolby Cinema™鑑賞料金含む
※Dolby Cinema™鑑賞料金含む
ULTIRA形式にて『逆襲のシャア』4月9日(金)から上映決定!
<ULTIRA(ウルティラ)とは>
「ULTIRA」は、イオンシネマの独自規格の新時代シアター。
天井まで迫り、左右いっぱいに広がる特別仕様の専用シルバー・スクリーンを採用した明るく鮮明な大画面と、最先端のスピーカーやアンプから生み出されるクリアサウンドがどの座席でもセリフや効果音を聞き取りやすく包み込み、まるで映画の中に入り込んだような没入感で最上級の映像体験が届けられる。
■『機動戦士ガンダム 逆襲のシャア』ULTIRA形式
上映期間:2021年4月9日(金)~15日(木)
鑑賞料:1,600円均一
※上映館のみ後日発表させていただきます。
「ULTIRA」は、イオンシネマの独自規格の新時代シアター。
天井まで迫り、左右いっぱいに広がる特別仕様の専用シルバー・スクリーンを採用した明るく鮮明な大画面と、最先端のスピーカーやアンプから生み出されるクリアサウンドがどの座席でもセリフや効果音を聞き取りやすく包み込み、まるで映画の中に入り込んだような没入感で最上級の映像体験が届けられる。
■『機動戦士ガンダム 逆襲のシャア』ULTIRA形式
上映期間:2021年4月9日(金)~15日(木)
鑑賞料:1,600円均一
※上映館のみ後日発表させていただきます。
※ 各上映スケジュールつきましてはこちらをご確認ください。
※なお、政府による緊急事態宣言の再発令、また新型コロナウイルス感染拡大の防止措置として、来館される地域のお客様の健康と安全を第一に考え、劇場によってはマスク着用等の対策のお願いや臨時休業をする場合もあります。詳しくは、各劇場の公式サイトをご覧ください。
今後の続報については、ガンダム40周年プロジェクトの公式サイトおよび公式Twitterをご確認ください。
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