アジア最大の長編アニメーション映画祭「新潟国際アニメーション映画祭」にて、3月16日(土)に新潟市民プラザで「『機動戦士ガンダム 逆襲のシャア』トークショー」が開催された。
トークショーには、『逆襲のシャア』の富野由悠季監督とモビルスーツデザインを担当した出渕 裕さんが登壇。ニッポン放送アナウンサーの吉田尚記さんがMCを務め、本作の内容はもちろん、マンガ・アニメを仕事にすることについてなど、ここでしか聞けない貴重なトークが展開された。
それでは早速レポートをお届けしていこう。
トークショーには、『逆襲のシャア』の富野由悠季監督とモビルスーツデザインを担当した出渕 裕さんが登壇。ニッポン放送アナウンサーの吉田尚記さんがMCを務め、本作の内容はもちろん、マンガ・アニメを仕事にすることについてなど、ここでしか聞けない貴重なトークが展開された。
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トークショーレポート
トークショー冒頭、MCの吉田尚記さんの呼び込みにより、大きな拍手に迎えられて富野由悠季監督と出渕 裕さんが登場。
今回の「新潟国際アニメーション映画際」で『機動戦士ガンダム 逆襲のシャア』が上映される印象を聞かれた富野監督は、同映画祭で「高畑 勲特集」が行われることに触れつつ、「僕にとって高畑 勲監督は師匠です。師匠と一緒に上映されるのは良いんだけど、ほんとはちょっと照れるね」と笑みを見せる。
『逆襲のシャア』でモビルスーツデザインを担当した出渕さんは「富野さんの作品で僕はいつも“敗戦処理係”なんです」と明かす。富野監督は「“敗戦処理係”というと、“誰かの代打で出てきたデザイナー”という意味がありますが、僕の中では全然違うんです。出渕という人は本当に器用な人で、デザイナーとしてこんなに便利な人はいないと思っています。その思いは現在までまったくかわってません」と出渕さんへの信頼を語った。
さらに富野監督は「ひとつのことしか出来ない人の方が多いんです。名前を挙げていい人がいるので挙げると、永野 護ってやつはあれしか描けない!(笑)」と熱弁を振るうと、観客からは拍手が。拍手を受けて「お前らここで拍手が上がるってことは永野 護のことが好きなんだろ?(笑)だからダメなんだよ!(笑)」と冗談まじりに語りかけると、会場は和やかな笑いにつつまれた。
続けて「まさに“一芸に秀でる”ということはああいうことなんです。潰しが効くようなやつは一丁前にはならないね」と話す富野監督に、すかさず出渕さんから「俺じゃん!」っとツッコミが入るなど、富野監督と出渕さんの軽快なやり取りに会場は大いに盛り上がった。
今回の「新潟国際アニメーション映画際」で『機動戦士ガンダム 逆襲のシャア』が上映される印象を聞かれた富野監督は、同映画祭で「高畑 勲特集」が行われることに触れつつ、「僕にとって高畑 勲監督は師匠です。師匠と一緒に上映されるのは良いんだけど、ほんとはちょっと照れるね」と笑みを見せる。
『逆襲のシャア』でモビルスーツデザインを担当した出渕さんは「富野さんの作品で僕はいつも“敗戦処理係”なんです」と明かす。富野監督は「“敗戦処理係”というと、“誰かの代打で出てきたデザイナー”という意味がありますが、僕の中では全然違うんです。出渕という人は本当に器用な人で、デザイナーとしてこんなに便利な人はいないと思っています。その思いは現在までまったくかわってません」と出渕さんへの信頼を語った。
さらに富野監督は「ひとつのことしか出来ない人の方が多いんです。名前を挙げていい人がいるので挙げると、永野 護ってやつはあれしか描けない!(笑)」と熱弁を振るうと、観客からは拍手が。拍手を受けて「お前らここで拍手が上がるってことは永野 護のことが好きなんだろ?(笑)だからダメなんだよ!(笑)」と冗談まじりに語りかけると、会場は和やかな笑いにつつまれた。
続けて「まさに“一芸に秀でる”ということはああいうことなんです。潰しが効くようなやつは一丁前にはならないね」と話す富野監督に、すかさず出渕さんから「俺じゃん!」っとツッコミが入るなど、富野監督と出渕さんの軽快なやり取りに会場は大いに盛り上がった。
また、マンガやアニメを仕事にすることについて、富野監督は「ファンは作品を見て喜んでいるだけでいい。でもそこから“俺もつくるぞ、プロになるぞ”という気持ちを持つならば、かなり広い視野をもっていないとなかなか難しい」と語る。宮崎 駿監督の『君たちはどう生きるか』がアカデミー賞を受賞したことに触れ、「ハッピーエンドでないアニメが、アメリカのアニメ界ではなく映画界に“こんなに面倒くさいアニメーションができてしまったのか”という影響を与えたんです」「なのでこれ以降、映像が好きで、アニメーションとかマンガの仕事をやりたいと思っているいお前ら、若者!舐めてもらっちゃこまるよ。本当に命を懸けないと宮崎 駿を超えられなくなるんだよ」と、これからマンガ・アニメーションの業界へ入ってくる若者にエールを送った。
そして話題は『逆襲のシャア』本編について。出渕さんは『逆襲のシャア』はシャアを再構築した作品だと話す。
「クワトロ・バジーナという人は、富野さんにとって失敗作なんです。クワトロは基本的にいい人で、アムロたちと一緒にした方が話が膨らむかもしれないって。これを言うと反発する人もいるかもだけど、シャアってサイコパスなんですよ。独善的で、自分でやろうとしていること手段を選ばなくて、共感力がなくて、嘘ばっかりり言っている。女性に対しても部下に対してもみーんな嘘ついているんですよ」とシャアを分析。富野監督は「その指摘は初めて聞いたけど、正しいね。ラストシーンでシャアとアムロのセリフを作っていると、”なーんか気持ち悪いな……本当はこう作りたくないんだけど……時間切れだからしょうがない”と終わせたのが本当のところです」と同意した。
さらに、出渕さんが「ニュータイプについてもファーストガンダム(シリーズ第1作『機動戦士ガンダム』のこと)の中で綺麗にまとまっていて、余韻で終わっている。ところが、続編でその余韻を説明しなくちゃいけなくなっちゃって困っている、っていうのがありますよね。だから『逆襲のシャア』でもニュータイプにもそんなに触れてないんです」「これは僕の偏見かもしれませんが、富野さんが『逆襲のシャア』でやりたかったことって“生っぽい人間”を描くことで、サイコフレームなんかは理屈をつけて方便で見せているだけ」と話すと、富野監督も「まさに方便で、そうしないと劇として繋がらないというプレッシャーがあったことを自覚してます。サイコフレームのカットを描いたときも、困ったな、本当はこういう出し方をしたくないな……という気持ちがありました」とか明かす。また、「出渕くんの解説を聞いて、自分自身のコンテを切っているときの違和感を全部思い出させてくれた、っていうのは正直びっくりしています」と、出渕さんの分析に驚いていた。
続けて、出渕さんは「富野さんはコンテと編集が良いんですよ。キャラクターがしゃべっている途中で、次にセリフがあるだろうな、というところの頭を残して切るんですよ。あれで不思議なリズムが出るんです」と解説すると、富野監督からは「それでいうと、富野の編集下手だよねって言っている庵野(秀明)ってヤツがいた!(笑)」と返し、会場から大きな笑いが起こった。
富野監督は『逆襲のシャア』での自身の編集について「今日(『逆襲のシャア』を)ちょっと見ました。頭の3、4分の編集、“うまいな~”って本当にびっくりしました。長編映画を作っていく面白さというのは、映像のリズム感で物語を語れるというのがあります。そういう意味では、『逆襲のシャア』はそれなりに頑張っているので、そこは見てください」とアピールしていた。
「クワトロ・バジーナという人は、富野さんにとって失敗作なんです。クワトロは基本的にいい人で、アムロたちと一緒にした方が話が膨らむかもしれないって。これを言うと反発する人もいるかもだけど、シャアってサイコパスなんですよ。独善的で、自分でやろうとしていること手段を選ばなくて、共感力がなくて、嘘ばっかりり言っている。女性に対しても部下に対してもみーんな嘘ついているんですよ」とシャアを分析。富野監督は「その指摘は初めて聞いたけど、正しいね。ラストシーンでシャアとアムロのセリフを作っていると、”なーんか気持ち悪いな……本当はこう作りたくないんだけど……時間切れだからしょうがない”と終わせたのが本当のところです」と同意した。
さらに、出渕さんが「ニュータイプについてもファーストガンダム(シリーズ第1作『機動戦士ガンダム』のこと)の中で綺麗にまとまっていて、余韻で終わっている。ところが、続編でその余韻を説明しなくちゃいけなくなっちゃって困っている、っていうのがありますよね。だから『逆襲のシャア』でもニュータイプにもそんなに触れてないんです」「これは僕の偏見かもしれませんが、富野さんが『逆襲のシャア』でやりたかったことって“生っぽい人間”を描くことで、サイコフレームなんかは理屈をつけて方便で見せているだけ」と話すと、富野監督も「まさに方便で、そうしないと劇として繋がらないというプレッシャーがあったことを自覚してます。サイコフレームのカットを描いたときも、困ったな、本当はこういう出し方をしたくないな……という気持ちがありました」とか明かす。また、「出渕くんの解説を聞いて、自分自身のコンテを切っているときの違和感を全部思い出させてくれた、っていうのは正直びっくりしています」と、出渕さんの分析に驚いていた。
続けて、出渕さんは「富野さんはコンテと編集が良いんですよ。キャラクターがしゃべっている途中で、次にセリフがあるだろうな、というところの頭を残して切るんですよ。あれで不思議なリズムが出るんです」と解説すると、富野監督からは「それでいうと、富野の編集下手だよねって言っている庵野(秀明)ってヤツがいた!(笑)」と返し、会場から大きな笑いが起こった。
富野監督は『逆襲のシャア』での自身の編集について「今日(『逆襲のシャア』を)ちょっと見ました。頭の3、4分の編集、“うまいな~”って本当にびっくりしました。長編映画を作っていく面白さというのは、映像のリズム感で物語を語れるというのがあります。そういう意味では、『逆襲のシャア』はそれなりに頑張っているので、そこは見てください」とアピールしていた。
最後に富野監督より「僕自身が実感したのは、65歳になって『Gのレコンギスタ』をつくって、そこから10年くらい仕事ができていて、ようやくのところでちゃんと歩けなくなったんです。そうなったとき、75歳まではちゃんと仕事ができるんだな、と実感しました」「やはり気分をくさくさとさせない、という意識を持てば、65歳以降も仕事はできます」「まだ若いみなさんは“宮崎つぶすぞ!”というくらいの気持ちをもって頑張ってください」と来場者へ激励が送られ、大盛り上がりのイベントは幕を閉じた。
なお、本トークショーの有料アーカイブ配信が、3月23日(土)23:59まで好評実施中。レポートではお届けしきれなかった貴重なトーク満載の内容となっているので、ぜひチェックしてみよう。
(ガンダムインフォ編集部)
『機動戦士ガンダム 逆襲のシャア』トークショー アーカイブ配信中!
【配信チケット】
価格:1,000円(税込)+手数料330円(税込)
チケット販売ページ:チケットペイ
※事前にチケットペイの登録が必要となります
※配信はチケットペイにログイン頂くと開催約30分前より視聴画面が表示されます
【販売期間】
2024年3月13日(水)20:00~3月23日(土)18:00
※アーカイブ配信は3月23日(土)23:59まで
【登壇者】
・富野由悠季(監督)
・出渕 裕(メカニックデザイナー)
・MC:吉田尚記(ニッポン放送アナウンサー)
価格:1,000円(税込)+手数料330円(税込)
チケット販売ページ:チケットペイ
※事前にチケットペイの登録が必要となります
※配信はチケットペイにログイン頂くと開催約30分前より視聴画面が表示されます
【販売期間】
2024年3月13日(水)20:00~3月23日(土)18:00
※アーカイブ配信は3月23日(土)23:59まで
【登壇者】
・富野由悠季(監督)
・出渕 裕(メカニックデザイナー)
・MC:吉田尚記(ニッポン放送アナウンサー)
新潟国際アニメーション映画祭 『機動戦士ガンダム 逆襲のシャア』トークショー付きイベント上映
開催日:2024年3月16日(土)
会場:新潟市民プラザ(新潟市中央区西堀通6-866 NEXT21 6F)
開催日:2024年3月16日(土)
会場:新潟市民プラザ(新潟市中央区西堀通6-866 NEXT21 6F)
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