「電子書籍で読める!おすすめガンダム本10選」は、数あるガンダム小説・マンガの中から厳選した“電子書籍が販売されている10作品”を、「 このマンガがすごい!」などで活動中のライター・山田幸彦氏が紹介していくコーナーです。
第9回は、『機動戦士ガンダムさん』をはじめ、数多くのギャグマンガを手掛けてきた漫画家・大和田秀樹先生によるマンガ「『ガンダム』を創った男たち。」をご紹介していきます。
「『ガンダム』を創った男たち。 上巻」(KADOKAWA)
時代を10年進めたアニメ『ガンダム』が産声をあげる!
「古い常識ン中で仕事するんじゃねェ……」
1978年、東京都杉並区上井草のとあるスタジオで、アニメ界に現在もその名を轟かす傑作が生まれようとしていた。
常にロボットアニメに新たな地平を切り拓こうと奮戦を続けていく富野ヨシユキ。
彼の狂気スレスレな熱意は、次第に天才アニメーター・安彦ヨシカズ、職人メカデザイナー・大河原クニオなどのスタッフへと伝染する。
熱き男たちの死闘の果てに生まれた1つのアニメは、いつしか日本中を巻き込んでいき……。
今でこそ、不朽の名作として日本中に愛され、現在も関連作品が作られ続ける一大ブランドとなった『機動戦士ガンダム』シリーズ。
だが、放映当時は視聴率も低調で、厳しいスケジュールに少ない人員で挑む過酷な制作状況と、決して良好とは言えないスタートだった。
本作は、そんな『ガンダム』の誕生と、その歩みを描いたドキュメンタリー漫画である。
ガンダムの歴史は宇宙世紀だけじゃない。
と、これだけ書くと真面目なように見える「『ガンダム』を創った男たち。」だが、手がけているのは「ムダヅモ無き改革」などのギャグ漫画の名手・大和田秀樹なのだから、一筋縄で行くわけがない。
まず目に留まるのが、フェラーリを乗り回すやたらキザな安彦ヨシカズといった実在の人物や、ギレン・ザビに激似のバンダイ社員などの虚実混合なキャラクターたち。
そんな彼らの中心となるのが、とびきりエキセントリック(でも、作中キャラで一番現実に近い?)な我らが監督・富野ヨシユキだ。
声優・古谷トオルに富野が鉄拳制裁を交えた演技指導を行う衝撃的な第1話以降、次々と披露されていくダイナミックな『ガンダム』(と富野監督)秘話。
そんな中でも一番の見どころは、題材となった『ガンダム』大躍進の模様が最もマンガチックということだろう。
その躍進のきっかけは、第9話にて描かれている。
視聴率も伸びず、ついに打ち切りが決定する『ガンダム』。
だが、富野監督は、ある奇策をもって、日本中に潜むファンたちを焚き付けるのだ。
それをきっかけにくすぶっていたファンたちの思いが爆発し、鳴かず飛ばずのロボットアニメが我々の知る『ガンダム』になっていく過程は、あまりにもドラマチックだが、全て事実!?
そこまでのエピソードを笑いながら読んでいた人も、思わず熱いものがこみ上げてしまうはずである。
当時の実際の状況を知るのに最適な、関係者の寄稿や当時の新聞記事も収録されており、現実世界のガンダム史入門としてもうってつけな一冊だ。
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書籍情報
【タイトル】 「ガンダム」を創った男たち。
【著者】 大和田秀樹
【原案】 矢立 肇、富野由悠季
【巻数】 全2巻(上・下巻)
【定価】 713円(税込)
【出版社】 KADOKAWA
山田幸彦
1991年生まれ。「このマンガがすごい!」本誌&WEBや「東映ヒーローMAX」などで活動中。かすんだ地平の向こうを見たくて、馴れ合う奴らを忘れて走るライター
1991年生まれ。「このマンガがすごい!」本誌&WEBや「東映ヒーローMAX」などで活動中。かすんだ地平の向こうを見たくて、馴れ合う奴らを忘れて走るライター
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