「電子書籍で読める!おすすめガンダム本10選」は、数あるガンダム小説・マンガの中から厳選した“電子書籍が販売されている10作品”を、「 このマンガがすごい!」などで活動中のライター・山田幸彦氏が紹介していくコーナーです。
第7回は、『機動戦士Ζガンダム』のコミカライズや「機動戦士ガンダム0079」など、ガンダムシリーズ作品を数多く手掛けてきた漫画家・近藤和久氏の作画によるマンガ「機動戦士ガンダム0079外伝 MS戦記」をご紹介していきます。
「機動戦士ガンダム0079外伝 MS戦記」(KADOKAWA)
ジオンの新米兵と共に体験する、一年戦争の苦闘
宇宙世紀0079年。
時代が戦争へと加速する中、ジオン軍の見習い下士官であるフレデリック・ブラウンは、モビルスーツパイロットへの道を歩み始めようとしていた。
少年時代から落ちこぼれと言われ続けるも、努力を重ねて戦場での実地訓練までこぎつけたブラウン。
だが、彼がパイロットへと抱いていた夢は、初陣で自軍がコロニーに毒ガスを注入する現場を見たことで打ち砕かれるのだった。
その後、ルウム戦役をなんとか生き延びたブラウンは、バルク大尉、ハウンズマン曹長といった上官たちと共に、オデッサ、ジャブローなどの激戦区で戦いを繰り広げる。
仲間の死や、悪魔のような“連邦の白いヤツ”との遭遇……幾度の死線を潜り抜け、ブラウンは一人前のパイロットへと成長していく。
埃まみれの戦場で躍動するモビルスーツたち
1984年から1985年まで、「コミックボンボン」にて掲載されていた「MS戦記」は、『機動戦士ガンダム』を構成する要素の一つ、過酷な戦場をとことんクローズアップした作品だ。
ルウム戦役から一年戦争終結までが描かれるこの物語の中に、ヒーローは存在しない。
主人公であるブラウンがサラミスを撃破した後に悪夢の中で「人殺し」と罵られるシーンが象徴するように、登場人物はみな等身大の兵士として描かれているのだ。
作中に唯一登場する原作キャラが、『機動戦士ガンダム』でも特に濃い職業軍人である「黒い三連星」のみという点にも、本作の泥臭さが現れている。
そんな等身大の兵士たちが蠢く戦場において、ガンダムは場違いなほどの強さを持つ存在だ。
作品中盤での登場から、一瞬でザクを屠るビーム・ライフルと並外れた運動性能でブラウンたちを震撼させ、一般兵に対して悪魔ぶりをこれでもかと発揮する。
そんな本作の泥臭い戦場を演出するのが、独自のアレンジが加えられたモビルスーツたち。
作画を務める近藤和久の手によってパネルラインやバーニアの追加といったディテールアップが施され、オリジナルよりも兵器としての趣が強くなった各機体は、戦場の主役としてオンリーワンの魅力を放っている。
本作でミリタリー色の濃いガンダム世界が癖になった方は、同作者が手がける「機動戦士ガンダム ジオンの再興」や「機動戦士ガンダム0079」などにも触れて、めくるめく近藤ワールドにぜひ入門していただきたい。
ジャブローで「降りられるのかよ!」と言っていた彼や、ア・バオア・クー戦で「ひ、火が……母さーん!」と言っていた彼など、名もなき兵士に心惹かれる人ならば、一連の作品にハマること間違いなしだ。
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書籍情報
【タイトル】 機動戦士ガンダム0079外伝 MS戦記
【原作】 高橋昌也
【作画】 近藤和久
【原案】 富野由悠季、矢立 肇
【巻数】 全1巻
【定価】 594円(税込)
【出版社】 KADOKAWA
山田幸彦
1991年生まれ。「このマンガがすごい!」本誌&WEBや「東映ヒーローMAX」などで活動中。かすんだ地平の向こうを見たくて、馴れ合う奴らを忘れて走るライター
1991年生まれ。「このマンガがすごい!」本誌&WEBや「東映ヒーローMAX」などで活動中。かすんだ地平の向こうを見たくて、馴れ合う奴らを忘れて走るライター
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