「電子書籍で読める!おすすめガンダム本10選」は、数あるガンダム小説・マンガの中から厳選した“電子書籍が販売されている10作品”を、「 このマンガがすごい!」などで活動中のライター・山田幸彦氏が紹介していくコーナーです。
第5回は、『新機動戦記ガンダムW』のシリーズ構成・隅沢克之氏による小説「新機動戦記ガンダムW フローズン・ティアドロップ」をご紹介していきます。
「新機動戦記ガンダムW フローズン・ティアドロップ(1)贖罪の輪舞(上)」(KADOKAWA)
再び戦場に舞い降りるガンダムたち
火星に移り住んだ人々は、初代大統領のミリアルド・ピースクラフトを中心とした火星連邦を設立し、地球からの独立を宣言。
以来、火星にはMC(マーズセンチュリー)という暦が制定された。
オペレーション・メテオに端を発する、ヒイロ達ガンダムパイロットたちの死闘から数十年後のMC-0022年。
火星連邦政府に対して、火星にある国家の一つ・ラナグリン共和国が宣戦を布告。
歴史は再び戦争へと加速を始めた。
初代大統領・ミリアルドの暗殺に呼応するかのように冷凍睡眠から覚醒し、火星連邦の二代目大統領となったリリーナ・ピースクラフト。
彼女の殺害計画「オペレーション・ミュートス」によって、リリーナと同様に冷凍睡眠から目覚めさせられたヒイロ・ユイ。
翼を持っていた少年少女たちが、火星の戦場に再び集結する……。
思春期を殺された、かつての少年たちが生きる火星
本作は、TVシリーズ『新機動戦記ガンダムW』にてシリーズ構成を努めていた隅沢克之が、小説版「Endless Waltz」でも挿絵を手がけたあさぎ桜と再びタッグを組み、全13巻でその後の『W』を描いた小説作品だ。
先述したヒイロやリリーナ、ミリアルド(もちろんゼクスも!)たちを筆頭に、それぞれの人生を歩んできたガンダムパイロットたちが続々登場。
彼らの思いを受け継ぐ新世代のキャラたちも、物語を盛り上げてくれる。
ヒイロやリリーナ以外は冷凍睡眠を経ずに歳を重ねているため、それぞれの歩んできた人生には『W』を好きな人ほど、「らしさ」と驚きを感じるはずだ。
また、原作ではそのエレガントさから人気を集めたOZの指揮官、トレーズ・クシュリナーダも、その動向を記録したファイルが紹介される形で登場。
いかにしてモビルスーツという兵器を実用化させたか……など、その歩みが世界の歴史を作る、エレガントな人物像を改めて堪能することができる。
白雪姫(スノーホワイト)や魔法使い(ワーロック)など、火星で活躍する新たなモビルスーツは、TVシリーズでもおなじみのカトキハジメがメカニカルデザインを担当している。
カートリッジ式の新型バスターライフルなどの原作からの進化を感じさせる設定から、過去のウイングガンダムゼロを彷彿とさせるフォルムまで、本作の最も見逃せないポイントといっても過言ではない。
キャラからメカまで、『W』ファンへのサービスを盛り込みつつ、作品世界に新たな地平を切り開いた本作。
再びリリーナを殺す使命を帯びたヒイロは、火星の歴史とどう向き合っていくのか……原作ファンなら最後まで目が離せない作品だ。
また、2014年発売の「新機動戦記ガンダムW Blu-ray Box」第2巻には、本作をベースとした、原作キャスト再集結のピクチャードラマ「新たなる戦い」が収録されている。
本作がツボにはまった方は、こちらもぜひチェックしてみていただきたい。
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書籍情報
【タイトル】 新機動戦記ガンダムW フローズン・ティアドロップ
【著者】 隅沢克之
【キャラクター挿絵】 あさぎ桜
【メカニカルデザイン】 カトキハジメ
【原案】 矢立 肇、富野由悠季
【協力】 バンダイ ホビー事業部
【巻数】 全13巻
【定価】 各734円(税込)
【出版社】 KADOKAWA
山田幸彦
1991年生まれ。「このマンガがすごい!」本誌&WEBや「東映ヒーローMAX」などで活動中。かすんだ地平の向こうを見たくて、馴れ合う奴らを忘れて走るライター
1991年生まれ。「このマンガがすごい!」本誌&WEBや「東映ヒーローMAX」などで活動中。かすんだ地平の向こうを見たくて、馴れ合う奴らを忘れて走るライター
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