本日より連載がスタートした「電子書籍で読める!おすすめガンダム本10選」は、数あるガンダム小説・マンガの中から厳選した“電子書籍が販売されている10作品”を、「 このマンガがすごい!」などで活動中のライター・山田幸彦氏が紹介していくコーナーです。
物語のあらすじに加えて、見どころも分かりやすく解説していくので、「タイトルは知っているけど読んだことがない」、「昔に読んだけどもう一度読み直したい」という人はもちろん、自宅の本棚がいっぱいで購入を躊躇している人も、ぜひチェックしてみてください。
記念すべき第1回は、富野由悠季監督が自ら書き下ろした小説「機動戦士ガンダム 閃光のハサウェイ」をご紹介していきます。
「機動戦士ガンダム 閃光のハサウェイ」(KADOKAWA)
英雄のいなくなった時代を、再びガンダムが駆ける
「シャアの反乱」こと第二次ネオ・ジオン戦争で、伝説的ニュータイプのアムロ・レイとシャア・アズナブルの最後の戦いが繰り広げられてから、10年以上が過ぎていた。
宇宙世紀105年。地球で活動する反地球連邦組織マフティー討伐のため、地球に降下するシャトルに乗っていたケネス・スレッグ大佐は、不思議な少女ギギ・アンダルシアと、ブライト・ノアの息子であるハサウェイ・ノアと出会う。
初恋の少女を死に至らしめたトラウマから心を病んだハサウェイは療養も兼ね、植物観察官候補として地球に向かっていたのだ。
そんな彼の裏の顔こそ、反地球連邦組織マフティーの指導者である「マフティー・ナビーユ・エリン」である。
ケネス、ハサウェイ、ギギ……育ちも境遇も違う3人の運命が、複雑に絡み合おうとしていた。
発表から20年、いまだ注目を集める珠玉の一作
本作は、『逆襲のシャア』の後に、富野由悠季が1989年から1990年にかけて執筆した小説作品だ。
映像化はされていないものの、「機動戦士ガンダムVS.シリーズ」などのゲーム作品での露出に加え、近年ではアニメ『機動戦士ガンダムUC』において、本作のモビルスーツであるグスタフ・カールの登場が話題を呼んだりと、小説作品の中では未だに注目度の高い1作だ。
Ξ(クスィー)ガンダムやペーネロペーに代表される個性的なモビルスーツたちや、衝撃的なラストがあるらしい、ということだけは知っている人も多いのではないだろうか。
その内容は、主人公であるハサウェイがテロリスト活動へと身を投じる展開や、地球連邦軍の凶行など、アニメだけでなく、宇宙世紀を題材とした小説作品の中でもハードな描写が頻出するもの。
ビームを構成するメガ粒子は、微細なものでも接触すればモビルスーツへの致命傷となりうるといった、富野作品おなじみの詳細な戦闘描写もしっかりと用意されている。
一方で、アムロやシャアのような人物には届かないと自覚しつつも、地球を保全するという理想のために奮闘するハサウェイの姿や、彼と友情を育み、後に戦場で相対することになるケネス大佐、各陣営で「勝利の女神」と崇められるミステリアスなギギの三角関係など、凄惨な現実の中で儚い輝きを放つ青春のきらめきが、戦闘シーンやモビルスーツに勝るとも劣らない本作の魅力となっている。
上中下巻とボリュームある構成だが、あらゆる要素が読者を飽きさせない作品だ。ガンダムファンでありながら、本作を読まずにいるのはあまりにもったいない!
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書籍情報
【タイトル】 機動戦士ガンダム 閃光のハサウェイ
【著者】 富野由悠季
【イラスト】 美樹本晴彦
【巻数】 全3巻(上・中・下)
【定価】 各648円(税込)
【出版社】 KADOKAWA
山田幸彦
1991年生まれ。「このマンガがすごい!」本誌&WEBや「東映ヒーローMAX」などで活動中。かすんだ地平の向こうを見たくて、馴れ合う奴らを忘れて走るライター
1991年生まれ。「このマンガがすごい!」本誌&WEBや「東映ヒーローMAX」などで活動中。かすんだ地平の向こうを見たくて、馴れ合う奴らを忘れて走るライター
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