ボーンデジタルより好評発売中の「CGWORLD 2024年12月号 vol.316」(税込み1,540円)では、「ガンダムCGの変遷と最前線」と題し、全52ページにわたる大特集を掲載。進化し続けるガンダムCGの変遷、最新作のVR映画『機動戦士ガンダム:銀灰の幻影』、3Dアニメーション・Netflixシリーズ『機動戦士ガンダム 復讐のレクイエム』の制作の舞台裏を深掘りしている。
今回は、『復讐のレクイエム』のロケーションや背景といった、CGの「シネマティック」について、制作スタッフのインタビューの一部が到着したので、紹介していこう。
■「CGWORLD 2024年12月号 vol.316」『機動戦士ガンダム 復讐のレクイエム』関連記事バックナンバー
・11月11日(月)掲載:ブロスダウ監督と制作スタッフによる特別インタビュー
・11月16日(土)掲載:MSのモデリングについて
・11月23日(土・祝)掲載:キャラクターのモデリングについて
今回は、『復讐のレクイエム』のロケーションや背景といった、CGの「シネマティック」について、制作スタッフのインタビューの一部が到着したので、紹介していこう。
■「CGWORLD 2024年12月号 vol.316」『機動戦士ガンダム 復讐のレクイエム』関連記事バックナンバー
・11月11日(月)掲載:ブロスダウ監督と制作スタッフによる特別インタビュー
・11月16日(土)掲載:MSのモデリングについて
・11月23日(土・祝)掲載:キャラクターのモデリングについて
ブロックモデル段階からUE上でシーンを構築し、段階的にポリッシュ
【インタビュー参加者】
・Nina Virginia氏(SAFEHOUSE):プロダクションマネージャー
・長谷川博政氏(SAFEHOUSE):シネマティックアーティスト
・中原さとみ氏(SAFEHOUSE):シニアシネマティックアーティストスーパーバイザー
・井上拓哉氏(SAFEHOUSE):シニアシネマティックアーティスト
・嶋岡薫子氏(SAFEHOUSE):モデリング&シネマティックアーティスト
・増田健吾氏(SAFEHOUSE):リードシネマティックアーティスト
『復讐のレクイエム』のカット制作はシネマティックアーティストが主導し、UEを用いて行われた。「本作に参加したシネマティックアーティストは6人で、絵コンテ発注用のブロックモデル制作から、ラフプリビズ、プリビズ、レイアウト、ライティング、カメラ、アニメーション、レンダリングまでの工程を一貫して担当しています」と中原氏は語った。
なお、本作の背景やエフェクト制作ではUE用の市販アセットも活用しており、比較的難度の低いカットでは、シネマティックアーティストが背景やエフェクトのアセットをUE上のシーンに配置していった。難度の高い背景は5人のエンバイロンメントアーティストが担当しているが、イチから背景をモデリングする機会は少なく、市販アセットを加工して、各カットの演出意図に沿った画をつくっている。宇宙世紀の設定を色濃く反映した非常食、携帯ストーブ、ペンライトなどの大量の専用プロップは、MSを含むメカも担当した8人のハードサーフェスモデラーが手分けして制作した。
アニメーションに関しては、MSは手付け、キャラクターはモーションキャプチャで表現しており、表情もFACEGOODで同時収録した。「収録は当社が運営するDEFCON ZEROというモーションキャプチャスタジオで行なっており、収録時にはBrosdau監督も来日して立ち合いました。収録したデータは社外の協力会社の方々にクリーンナップしていただき、シネマティックアーティストがUE上のキャラクターにながし込み、最終調整を行いました」と増田氏は語った。
本作ではブロックモデル段階からUE上でシーンを構築し、そのデータを段階的にポリッシュしていったため、少人数で数多くのカットを制作できた。「更新結果をリアルタイムにプレビューできることが、UEを使う最大のメリットでした。一方で、髪の影が綺麗に描画できない、遠景情報が自動的に減らされる、一部のアセットが遅れて描画されるなど、UEならではのエラーに悩まされたという側面もありました。本作を通してエラーを回避するノウハウが溜まったので、今後のプロジェクトに活かしたいです。加えて、UEの進化にも期待しています」(中原氏)
なお、本作の背景やエフェクト制作ではUE用の市販アセットも活用しており、比較的難度の低いカットでは、シネマティックアーティストが背景やエフェクトのアセットをUE上のシーンに配置していった。難度の高い背景は5人のエンバイロンメントアーティストが担当しているが、イチから背景をモデリングする機会は少なく、市販アセットを加工して、各カットの演出意図に沿った画をつくっている。宇宙世紀の設定を色濃く反映した非常食、携帯ストーブ、ペンライトなどの大量の専用プロップは、MSを含むメカも担当した8人のハードサーフェスモデラーが手分けして制作した。
アニメーションに関しては、MSは手付け、キャラクターはモーションキャプチャで表現しており、表情もFACEGOODで同時収録した。「収録は当社が運営するDEFCON ZEROというモーションキャプチャスタジオで行なっており、収録時にはBrosdau監督も来日して立ち合いました。収録したデータは社外の協力会社の方々にクリーンナップしていただき、シネマティックアーティストがUE上のキャラクターにながし込み、最終調整を行いました」と増田氏は語った。
本作ではブロックモデル段階からUE上でシーンを構築し、そのデータを段階的にポリッシュしていったため、少人数で数多くのカットを制作できた。「更新結果をリアルタイムにプレビューできることが、UEを使う最大のメリットでした。一方で、髪の影が綺麗に描画できない、遠景情報が自動的に減らされる、一部のアセットが遅れて描画されるなど、UEならではのエラーに悩まされたという側面もありました。本作を通してエラーを回避するノウハウが溜まったので、今後のプロジェクトに活かしたいです。加えて、UEの進化にも期待しています」(中原氏)
第5話の上面図と、山岳地帯のブロックモデル
A:第5話の全シーンと、ソラリたちの動線が描かれた上面図。この話数では、装甲車に乗ったソラリたちが、オルト川に面した連邦軍基地を目指してルーマニアの夜の山岳地帯を走行している最中に、2機のグフカスタムに襲撃される。このような上面図を描く際には、事前に笠岡(淳平)氏がGoogle Mapで現地をロケハンし、イメージを膨らませた。
B、C:上面図を基にUE上で制作された、山岳地帯のブロックモデル。第5話の物語が始まるスタート地点から、グフカスタムの襲撃地点、連邦軍基地の手前にあるテンサイ畑までの広大な領域が、ひとつのシーン内につくられた。「UEの場合は原点からどれだけ離れても問題がないので、本格的な背景制作を始めるまでは、第5話Aパートの全領域をひとつながりのデータにしていました」(増田氏)。絵コンテ発注時には、脚本に加え、上面図やブロックモデルを参考資料として提供している。
B、C:上面図を基にUE上で制作された、山岳地帯のブロックモデル。第5話の物語が始まるスタート地点から、グフカスタムの襲撃地点、連邦軍基地の手前にあるテンサイ畑までの広大な領域が、ひとつのシーン内につくられた。「UEの場合は原点からどれだけ離れても問題がないので、本格的な背景制作を始めるまでは、第5話Aパートの全領域をひとつながりのデータにしていました」(増田氏)。絵コンテ発注時には、脚本に加え、上面図やブロックモデルを参考資料として提供している。
D、E:新井(陽次郎)氏による絵コンテ。
第5話 グフカスタム襲撃シーンのシネマティック
A、B:ラフコンテの納品後、改めてUE上で動線と地形をチェックし、破綻がある場合は再調整を行う。
C~E:ラフプリビズを制作し、おおまかなレイアウト、カメラワーク、ライティングなどを設定する。この段階ではキャラクターの代わりにUEのマネキンを配置しており、そのままでは表情がわからなかったため、絵コンテの顔の部分をトリミングして貼り付けることにした。
F~H:プリビズ段階でエンバイロンメントアーティストが背景を制作し、演出意図をふまえてレイアウトやライティングを整える。
I~K:完成映像。
F~H:プリビズ段階でエンバイロンメントアーティストが背景を制作し、演出意図をふまえてレイアウトやライティングを整える。
I~K:完成映像。
第3話 整備工場シーンの背景制作
A:メカニックのアルフィー・ザイドスが管理する、リサイクル・センター内の整備工場でソラリたちが休息するカットのプリビズ。
B:AのザクII頭部の拡大。「当初は物々しい空間だったのですが、アルフィーのプライベートなスペースであることを表現したいから、ザクIIの頭に付箋を貼ってみてはどうかと笠岡さんが提案してくださいました。やってみたらザクが良い感じに可愛くなって(笑)、アルフィーがどんな性格なのかも上手く表現できたと思います」(中原氏)
B:AのザクII頭部の拡大。「当初は物々しい空間だったのですが、アルフィーのプライベートなスペースであることを表現したいから、ザクIIの頭に付箋を貼ってみてはどうかと笠岡さんが提案してくださいました。やってみたらザクが良い感じに可愛くなって(笑)、アルフィーがどんな性格なのかも上手く表現できたと思います」(中原氏)
C:完成映像。悪目立ちするようなら付箋を剥がそうと思っていたが、本作のフォトリアルな世界観と上手くマッチして、目立ちすぎず、沈みすぎもしなかったので、残すことにした。本作には、このような遊び心や工夫も数多く盛り込まれている。
インタビューの全容は、「CGWORLD 2024年12月号 vol.316」をチェックしよう。
「CGWORLD 2024年12月号 vol.316」好評発売中!
CGWORLD 2024年12月号 vol.316
価格:1,540円(税込)
判型:A4ワイド
総ページ数:112
■特集:ガンダムCGの変遷と最前線
・表紙
・[特集扉](2ページ)
・[PART 01:ガンダムCGの変遷](8ページ)
紹介作品:
『機動戦士ガンダム 逆襲のシャア』(1988)
『GUNDAM Mission to the Rise』(1998)
『GUNDAM THE RIDE ‐宇宙要塞A BAOA QU‐』(2000)
『GUNDAM EVOLVE』(2001~2007)
『SDガンダムフォース』(2004)
『機動戦士ガンダム MS IGLOO 1年戦争秘録』(2004)
『機動戦士ガンダム MS IGLOO 黙示録0079』(2006)
『機動戦士ガンダム MS IGLOO2 重力戦線』(2008〜2009)
『機動戦士ガンダム THE ORIGIN』(2015〜2018)
VR映像『機動戦士ガンダム THE ORIGIN シャア出撃』(2017)
VR映像『機動戦士ガンダム THE ORIGIN -RISING-』(2018)
『SDガンダムワールド 三国創傑伝』(2019〜2021)
『SDガンダムワールド ヒーローズ』(2021)
『機動戦士ガンダム 閃光のハサウェイ』(2021)
『RX-93ff νGUNDAM from SIDE-F』(2022)
『機動戦士ガンダム ククルス・ドアンの島』(2002)
『機動戦士ガンダム 水星の魔女』(2022〜2023)
『機動戦士ガンダムSEED FREEDOM』(2024)
・[PART 02:VR映画『機動戦士ガンダム:銀灰の幻影』](22ページ)
TOPIC 1:ワークフロー
TOPIC 2:モデリング
TOPIC 3:作画
TOPIC 4:アニメーション
TOPIC 5:インタラクション・エフェクト
TOPIC 6:MRコンテンツ
・[PART 03:3Dアニメーション『機動戦士ガンダム 復讐のレクイエム』](20ページ)
TOPIC 1:モデリング[モビルスーツ]
TOPIC 2:モデリング[キャラクター]
TOPIC 3:シネマティック
TOPIC 4:アニメーション
TOPIC 5:エフェクト
価格:1,540円(税込)
判型:A4ワイド
総ページ数:112
■特集:ガンダムCGの変遷と最前線
・表紙
・[特集扉](2ページ)
・[PART 01:ガンダムCGの変遷](8ページ)
紹介作品:
『機動戦士ガンダム 逆襲のシャア』(1988)
『GUNDAM Mission to the Rise』(1998)
『GUNDAM THE RIDE ‐宇宙要塞A BAOA QU‐』(2000)
『GUNDAM EVOLVE』(2001~2007)
『SDガンダムフォース』(2004)
『機動戦士ガンダム MS IGLOO 1年戦争秘録』(2004)
『機動戦士ガンダム MS IGLOO 黙示録0079』(2006)
『機動戦士ガンダム MS IGLOO2 重力戦線』(2008〜2009)
『機動戦士ガンダム THE ORIGIN』(2015〜2018)
VR映像『機動戦士ガンダム THE ORIGIN シャア出撃』(2017)
VR映像『機動戦士ガンダム THE ORIGIN -RISING-』(2018)
『SDガンダムワールド 三国創傑伝』(2019〜2021)
『SDガンダムワールド ヒーローズ』(2021)
『機動戦士ガンダム 閃光のハサウェイ』(2021)
『RX-93ff νGUNDAM from SIDE-F』(2022)
『機動戦士ガンダム ククルス・ドアンの島』(2002)
『機動戦士ガンダム 水星の魔女』(2022〜2023)
『機動戦士ガンダムSEED FREEDOM』(2024)
・[PART 02:VR映画『機動戦士ガンダム:銀灰の幻影』](22ページ)
TOPIC 1:ワークフロー
TOPIC 2:モデリング
TOPIC 3:作画
TOPIC 4:アニメーション
TOPIC 5:インタラクション・エフェクト
TOPIC 6:MRコンテンツ
・[PART 03:3Dアニメーション『機動戦士ガンダム 復讐のレクイエム』](20ページ)
TOPIC 1:モデリング[モビルスーツ]
TOPIC 2:モデリング[キャラクター]
TOPIC 3:シネマティック
TOPIC 4:アニメーション
TOPIC 5:エフェクト
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