4月上旬、バンダイホビー事業部開発担当の野口氏は、静岡バンダイホビーセンターからあるものを持って、サンライズがある杉並区上井草を訪れた。それが上の写真にある、MGインフィニットジャスティスの形状試作モデルである。これは以前に発売された「1/100インフィニットジャスティスガンダム」の設計データを元に、野口氏がこれまで重田氏と組んで創り上げてきたSEED系MSのイメージとノウハウを使い、頭部のサイズ、胸や腰回り、脚部の形状などのバランスを調整して制作したものとのこと。これは以前のストライクフリーダム、デスティニー、フォースインパルスの開発段階にはなかったもので、野口氏を始めとするバンダイ側の意欲を具現化したものと言える。この試作品を参考にしつつ、今回の開発コンセプトや、インフィニットジャスティスという機体の持つイメージの再確認、劇中のポーズを再現できるようなギミックの提案などが行われた。
■MGインフィニットジャスティスガンダムの開発コンセプト
まず議題に上がったのは、インフィニットジャスティスの機体イメージだった。インフィニットジャスティスは、それまで迷い悩んでいたアスランが、物語後半ついに自らの意志で戦う決意を固め、搭乗した機体である。その強固な意志を表現できるような、力強さを感じるイメージをコンセプトとすることが提案された。
また、インフィニットジャスティスの劇中での戦闘シーンで印象に残るのは、やはり「蹴り」であり、この「蹴り」の再現を可能とするためにはどうすれば良いか、重田氏はアニメーション作画時の蹴りの動作の特徴や注意点などを、野口氏に伝えた。
またそのほかにも、この機体の特徴である豊富な武装、バックパックの「ファトゥム-01」の形状、サイズ、展開ギミックなどの検討も提案された。
■重田氏による開発イメージ画稿
野口氏はこの打ち合わせのコンセプトを元に、形状やギミックを検討。また、その間に重田氏は設計図面や過去の1/100インフィニットジャスティスの開発用画稿を預り、打ち合わせで出し切れなかった細部にわたる情報を書き込む。このとき、同時に今回のイメージをわかりやすく形とした、重田氏のコンセプトイメージ画稿が制作される。数日後にそれは野口氏まで届けられた。
▲重田氏による開発コンセプトイメージ画稿。
▲CADデータや旧1/100設計データに重田氏が指示をいれた画稿。このほかにもこの3倍近い修正画稿が存在する。
今回ポイントとなるのが、顔、脚、バックパックのフォルムと見栄えとのこと。特に複雑な脚部のラインは、平行なラインが出ないようにとの指示がよく見て取れる。またフェイスのイメージは、機体の特徴だけではなく、搭乗キャラクターのイメージも取り込まれ、「アスラン・ザラの機体」に相応しいフォルムとなっている。
■ビークラフトによる最終開発画稿
この画稿一式が野口氏の手元に届けられ、バンダイ社内の開発チーム内で最終的な検討に入ることになる。
ここでアイディアの取捨選択がなされ、まとめられたものを元に、これまで同シリーズすべての開発画稿を担当しているビークラフトへと開発デザインを発注。プラモデルとしての構造を考慮に入れた、細部まで描かれた詳細な開発画稿が完成した。
こうしてすべてのイメージが固まり、いよいよMGインフィニットジャスティスとしての形状製作が始まる。
完成したテストショットは、次回更新にて公開しよう。
協力:バンダイ ホビー事業部
ガンダムインフォ編集部
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