組織や企業が拡大すればするほど、多様な人材を受け入れ、お互いにその違いを尊重しつつも高い帰属意識を維持することで目的は達成しやすくなります。
そんな「ダイバーシティ」と「インクルーシブネス」の具体例を、ガンダムの世界に学んでいきましょう。
そんな「ダイバーシティ」と「インクルーシブネス」の具体例を、ガンダムの世界に学んでいきましょう。
「インクルーシブネス」という考え方があります。“社会的包摂”などと訳されますが、なにやら硬い感じがして少しわかりにくいかもしれません。ここ数年で随分と浸透してきた「ダイバーシティ」と、ちょっと似た領域の概念です。
ダイバーシティは、われわれがかつてRX-78の実物大立像に驚嘆し、続いてRX-0に感動した「ダイバーシティ東京」の語源にもなっているので、なじみ深い言葉です。英語ではdiversityと書きます。お台場はDivercityとなっていて、diversityとcityと混ぜた造語です。
ではdiversityとはなんでしょう?
こちらは多様性と訳されます。男性だけでなく女性やその他の性も、固有の人種だけでなくいろいろな色の肌の人々も、特定の思想の持ち主だけでなく広く様々な考え方の人々と公平に接しましょうといった考え方です。差別をなくし、組織や社会の公平さを唱える思想です。
宇宙世紀には、物語の主題のひとつでもあるように、宇宙に生まれ育ったスペースノイドと地球圏で生まれ育った支配階級との諍(いさか)いが残っていますが、われわれが知るような国名はすでになく、肌の色や信教、民族や人種による差別はなさそうです。こうした分野については、明らかなダイバーシティが確立されているように思われます。
多様性を受容することに加えて、誰も孤立させず積極的な参加を促してみんなの力を合わせていきましょう、という考え方がインクルーシブネスです。ダイバーシティもインクルーシブネスも立脚する理想はとてもよく似ていますが、組織図などの上で静的に公平性を実現するのがダイバーシティで、動的に活動の中で全員の参加を促すのがインクルーシブネスと解釈できるかもしれません。
ある程度の多様性があるのにインクルーシブではない組織もありそうです。例えば、キシリア麾下のエリート混成部隊であるキマイラ隊です。「機動戦士ガンダムMSV」で設定され、月刊ガンダムエースで連載中のコミック「機動戦士ガンダムMSV-R ジョニー・ライデンの帰還」にも登場する本隊には、各戦線から選りすぐりのパイロットやメカニックなど、替えの効かないレベルのメンバーばかりが集められていました。機体も個性も多様性に富んでいましたが、部隊内のコミュニケーションや協力体制は円滑でした。選抜を通すことで、相応のダイバーシティとチームワークが両立されていたようです。
とはいえ、必ずしもインクルーシブということではないかもしれません。この部隊には誰でも参加できるといった印象はありません。エリート部隊らしい、少数精鋭で構成された組織の精強さを誇っていたことでしょう。こうした組織構成は直感的に理解しやすいので、ダイバーシティやインクルーシブネスを重視しない組織を正当化する際に使われることがあります。
ダイバーシティは、われわれがかつてRX-78の実物大立像に驚嘆し、続いてRX-0に感動した「ダイバーシティ東京」の語源にもなっているので、なじみ深い言葉です。英語ではdiversityと書きます。お台場はDivercityとなっていて、diversityとcityと混ぜた造語です。
ではdiversityとはなんでしょう?
こちらは多様性と訳されます。男性だけでなく女性やその他の性も、固有の人種だけでなくいろいろな色の肌の人々も、特定の思想の持ち主だけでなく広く様々な考え方の人々と公平に接しましょうといった考え方です。差別をなくし、組織や社会の公平さを唱える思想です。
宇宙世紀には、物語の主題のひとつでもあるように、宇宙に生まれ育ったスペースノイドと地球圏で生まれ育った支配階級との諍(いさか)いが残っていますが、われわれが知るような国名はすでになく、肌の色や信教、民族や人種による差別はなさそうです。こうした分野については、明らかなダイバーシティが確立されているように思われます。
多様性を受容することに加えて、誰も孤立させず積極的な参加を促してみんなの力を合わせていきましょう、という考え方がインクルーシブネスです。ダイバーシティもインクルーシブネスも立脚する理想はとてもよく似ていますが、組織図などの上で静的に公平性を実現するのがダイバーシティで、動的に活動の中で全員の参加を促すのがインクルーシブネスと解釈できるかもしれません。
ある程度の多様性があるのにインクルーシブではない組織もありそうです。例えば、キシリア麾下のエリート混成部隊であるキマイラ隊です。「機動戦士ガンダムMSV」で設定され、月刊ガンダムエースで連載中のコミック「機動戦士ガンダムMSV-R ジョニー・ライデンの帰還」にも登場する本隊には、各戦線から選りすぐりのパイロットやメカニックなど、替えの効かないレベルのメンバーばかりが集められていました。機体も個性も多様性に富んでいましたが、部隊内のコミュニケーションや協力体制は円滑でした。選抜を通すことで、相応のダイバーシティとチームワークが両立されていたようです。
とはいえ、必ずしもインクルーシブということではないかもしれません。この部隊には誰でも参加できるといった印象はありません。エリート部隊らしい、少数精鋭で構成された組織の精強さを誇っていたことでしょう。こうした組織構成は直感的に理解しやすいので、ダイバーシティやインクルーシブネスを重視しない組織を正当化する際に使われることがあります。
反対に、ダイバーシティとインクルーシブネスをうまく実現することで高い実績を上げられたのが、第13独立戦隊、つまりホワイトベースです。第4回でもお話ししたブライト艦長の秀逸なリーダーシップに加えて、乗組員たちがダイバーシティとインクルーシブネスを尊重する文化を醸成することで、組織が力強く機能していました。
例えば、ベルファストでホワイトベースを降りようとするカイをアムロが引き留めます。
「僕はあなたの全部が好きというわけじゃありません。でも、今日まで一緒にやってきた仲間じゃないですか」
好き嫌いを超えて、全員がお互いを大事な資源として頼り、助け合ってきた姿勢が表れています。
ホワイトベースはサイド7からの避難民を乗艦させていたこともあり、多様な出自の民間人がたくさん参加していました。同時に、医学生のセイラさんが医療支援をしたり、宇宙の船舶免許とも言えそうなクルーザー級のスペースグライダーの免許を持つミライさんが操舵輪を握ったり、それぞれの得意分野や専門領域を生かして組織に貢献しています。まさに、ダイバーシティとインクルーシブネスを実現することで、困難な任務を全うした組織の好例でしょう。
興味深いのは、ホワイトベースではダイバーシティやインクルーシブネスが声高に唱導されているようには見えない点です。それは組織が実現すべき目的というよりは、むしろ組織が目的を達成するために効果的で、不可欠な手段として認識されていたからだと思われます。協力しなくては、生き延びられませんでした。
ダイバーシティにせよ、インクルーシブネスにせよ、有限の資源を効果的に運用する効率的な方策のひとつです。結果的に運用可能な資源が増えるので、目的を達成しやすくなり、競争有利につながることは自明です。キマイラ隊的なエリート部隊を構成するのも古典的なアプローチのひとつですが、ホワイトベース的な組織運営も極めて強力です。進んで使っていきましょう。
Gundam Meets Businessでは、皆様からのご意見・ご感想をお待ちしております。「ぜひこんなテーマを扱って欲しい」「ビジネスでこんな課題を抱えている」「こんな用語をガンダムで解説すると?」など、お寄せください。連載の参考にさせていただきます。お便りは、ガンダムインフォのお問い合わせフォームよりお願い致します。
GMBとは
ガンダムをこよなく愛し、ガンダムでビジネスを語る、謎でもないマーケターユニット。
音部 大輔
日米P&G、ダノンジャパン、ユニリーバ・ジャパン、資生堂などで、マーケティング担当副社長やCMOとしてマーケティング組織を構築・指揮し、持続的成長を実現。2018年より株式会社クー・マーケティング・カンパニー代表取締役。国内外のさまざまなクライアント企業にマーケティング組織強化など提供。博士(経営学 神戸大学)。日本マーケティング学会 理事。日経BPマーケター・オブ・ザ・イヤー審査員、日経BtoBデジタル・マーケティングアワード審査員。著書に『なぜ「戦略」で差がつくのか。』(宣伝会議)、『マーケティングプロフェッショナルの視点』(日経BP)
田中 準也
新卒でクレディセゾン入社。その後ジェイアール東日本企画、電通、トランスコスモス、メトロアドエージェンシー、電通レイザーフィッシュ(現電通アイソバー)を経て、2015年インフォバーン入社。2017年に取締役に就任。2019年より取締役COO。マスからデジタルまで精通し、オンラインとオフラインを横断する総合的なコミュニケーションデザイン及び新規事業開発・推進が得意。
一般社団法人マーケターキャリア協会 代表理事。
豊後 祐紀
29歳。新卒でデジタルマーケティング支援会社、読売広告社 シンガポール支店を経て、2017年12月より子供の頃の夢だったゲームのマーケターとしてDMM.com(現 DMM GAMES)に所属。eスポーツ(PUBG JAPAN SERIES)におけるマーケティングやスポンサードを担当。自社のeスポーツのファン層拡大だけでなく、eスポーツ全体を視聴層を広げるために尽力している。
新卒でクレディセゾン入社。その後ジェイアール東日本企画、電通、トランスコスモス、メトロアドエージェンシー、電通レイザーフィッシュ(現電通アイソバー)を経て、2015年インフォバーン入社。2017年に取締役に就任。2019年より取締役COO。マスからデジタルまで精通し、オンラインとオフラインを横断する総合的なコミュニケーションデザイン及び新規事業開発・推進が得意。
一般社団法人マーケターキャリア協会 代表理事。
豊後 祐紀
29歳。新卒でデジタルマーケティング支援会社、読売広告社 シンガポール支店を経て、2017年12月より子供の頃の夢だったゲームのマーケターとしてDMM.com(現 DMM GAMES)に所属。eスポーツ(PUBG JAPAN SERIES)におけるマーケティングやスポンサードを担当。自社のeスポーツのファン層拡大だけでなく、eスポーツ全体を視聴層を広げるために尽力している。
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