モノや情報があふれた現代において、商品の機能やネーミング、形状(デザイン)が優れているだけでは、なかなか購入・消費につながらないもの。
そんななか、ビジネスや事業開発にサービスデザインを取り入れる企業も少なくありません。その基本は、消費者/顧客をユーザーとして捉え、このサービスは誰のどのような課題を解決するものか、をアウトプットすることです。
その中心となる概念「サービス・ドミナント・ロジック」をガンダムで考えるGundam Meets Businessの第15回。どうぞ肩の力を抜いてお楽しみください。
そんななか、ビジネスや事業開発にサービスデザインを取り入れる企業も少なくありません。その基本は、消費者/顧客をユーザーとして捉え、このサービスは誰のどのような課題を解決するものか、をアウトプットすることです。
その中心となる概念「サービス・ドミナント・ロジック」をガンダムで考えるGundam Meets Businessの第15回。どうぞ肩の力を抜いてお楽しみください。
近年、重要度を増している概念のひとつに、「サービス・ドミナント・ロジック」と呼ばれる考え方があります。「価値は消費者の体験を通して完成され、モノを含むサービスの体系全体で提供される」という考え方です。
新しいものが出てくることで、従来のものに名前がつくことがあります。モノそのものに価値があるのだという従来のパラダイム(考え方)は、翻って「グッズ・ドミナント・ロジック」と名付けられました。企業が価値のあるモノを作り、どのように売ればいいかを考えるのがマーケティングだった時代のパラダイムです。
ここでモビルスーツの評価を例に、それぞれのロジックを考えてみましょう。
グッズ・ドミナント・ロジックでは、モビルスーツを評価するときは機体そのものの性能や機能に集中します。強いモビルスーツとは、高火力、高機動力、高防御力などを誇るものとなるでしょう。この視点で見れば、ジオングは相当に高性能なモビルスーツであると理解できます。
新しいものが出てくることで、従来のものに名前がつくことがあります。モノそのものに価値があるのだという従来のパラダイム(考え方)は、翻って「グッズ・ドミナント・ロジック」と名付けられました。企業が価値のあるモノを作り、どのように売ればいいかを考えるのがマーケティングだった時代のパラダイムです。
ここでモビルスーツの評価を例に、それぞれのロジックを考えてみましょう。
グッズ・ドミナント・ロジックでは、モビルスーツを評価するときは機体そのものの性能や機能に集中します。強いモビルスーツとは、高火力、高機動力、高防御力などを誇るものとなるでしょう。この視点で見れば、ジオングは相当に高性能なモビルスーツであると理解できます。
対して、サービス・ドミナント・ロジックでは、機体単体の性能に加えて、宇宙/地上の戦域をまたぐ汎用性、日々の整備性、操縦の難易度、僚機や艦艇などとの連携しやすさ、将来的な拡張性など、総合的な運用のしやすさを考慮します。
アメリカの歴史番組が「世界最強の戦車トップ10」というテーマの放送をしていたときに、「生産性」を評価軸のひとつに入れていて驚いたことがあります。グッズ・ドミナントな視点ではなかなか思いつき難いことかもしれませんが、サービス・ドミナント・ロジックによれば、一機あたりのコストとともに、生産性は重要な概念だと言えそうです。
こうした思想はジオン軍の統合整備計画にも見ることができます。生産性や整備性の全体最適を企図する本計画にもとづいて、ザクII改(MS-06FZ)が開発されました。総合的な運用のしやすさという意味で、とても高性能なモビルスーツであると考えられます。
こうした広い視野でベネフィットをとらえる考え方自体は、実は必ずしも新しいものではありません。
60年代には、すでにセオドア・レビットが論文『マーケティング近視眼』の中で「顧客が欲しいのはドリルではなく、壁に開けられた穴だ」と、モノ中心のものの見方の限界を解きました。壁に穴を開けられれば、別にドリルを買わなくてもいいのです。
宇宙世紀になぞらえれば、「我が軍が欲しいのは優秀なモビルスーツではなく、無力化された敵だ」と理解できます。撃破するのもひとつの方法ですが、操縦の阻害や燃料の奪取でも無力化できます。
少し時代が下って、クレイトン・クリステンセンは『ジョブ理論』の中で「製品カテゴリーにこだわらず顧客の問題を解決せよ」と唱えています。「ミルクシェークは必ずしも朝食として開発されたわけではないが、通勤の運転中の車内でも摂食しやすい朝食として選好されている」と解きました。考え方は「ドリルと壁の穴の関係」によく似ています。ここではミルクシェークという朝食用ではないものが朝食に選好されていることから発想されました。
Gundam Meets Business第12回のコ・クリエーションでも取り上げたマゼラトップ砲は、もともと主力戦車の主砲として開発されたと思われます。同時に、そのモノ性にこだわることなく、MS-06Jなどの支援火器としても運用されました。ジョブ理論におけるミルクシェークと似ているかもしれません。
このように、モノにこだわることで視界が狭まることを警戒する考え方は、いくつも提唱されてきました。サービス・ドミナント・ロジックは、提供物を「モノを含むサービス全体」だと捉え直すことで、そうした視野狭窄を避ける手立てになると理解できるでしょう。
Gundam Meets Businessでは、皆様からのご意見・ご感想をお待ちしております。「ぜひこんなテーマを扱って欲しい」「ビジネスでこんな課題を抱えている」「こんな用語をガンダムで解説すると?」など、お寄せください。連載の参考にさせていただきます。お便りは、ガンダムインフォのお問い合わせフォームよりお願い致します。
GMBとは
ガンダムをこよなく愛し、ガンダムでビジネスを語る、謎でもないマーケターユニット。
音部 大輔
日米P&G、ダノンジャパン、ユニリーバ・ジャパン、資生堂などで、マーケティング担当副社長やCMOとしてマーケティング組織を構築・指揮し、持続的成長を実現。2018年より株式会社クー・マーケティング・カンパニー代表取締役。国内外のさまざまなクライアント企業にマーケティング組織強化など提供。博士(経営学 神戸大学)。日本マーケティング学会 理事。日経BPマーケター・オブ・ザ・イヤー審査員、日経BtoBデジタル・マーケティングアワード審査員。著書に『なぜ「戦略」で差がつくのか。』(宣伝会議)、『マーケティングプロフェッショナルの視点』(日経BP)
田中 準也
新卒でクレディセゾン入社。その後ジェイアール東日本企画、電通、トランスコスモス、メトロアドエージェンシー、電通レイザーフィッシュ(現電通アイソバー)を経て、2015年インフォバーン入社。2017年に取締役に就任。2019年より取締役COO。マスからデジタルまで精通し、オンラインとオフラインを横断する総合的なコミュニケーションデザイン及び新規事業開発・推進が得意。
一般社団法人マーケターキャリア協会 理事。
豊後 祐紀
29歳。新卒でデジタルマーケティング支援会社、読売広告社 シンガポール支店を経て、2017年12月より子供の頃の夢だったゲームのマーケターとしてDMM.com(現 DMM GAMES)に所属。eスポーツ(PUBG JAPAN SERIES)におけるマーケティングやスポンサードを担当。自社のeスポーツのファン層拡大だけでなく、eスポーツ全体を視聴層を広げるために尽力している。
新卒でクレディセゾン入社。その後ジェイアール東日本企画、電通、トランスコスモス、メトロアドエージェンシー、電通レイザーフィッシュ(現電通アイソバー)を経て、2015年インフォバーン入社。2017年に取締役に就任。2019年より取締役COO。マスからデジタルまで精通し、オンラインとオフラインを横断する総合的なコミュニケーションデザイン及び新規事業開発・推進が得意。
一般社団法人マーケターキャリア協会 理事。
豊後 祐紀
29歳。新卒でデジタルマーケティング支援会社、読売広告社 シンガポール支店を経て、2017年12月より子供の頃の夢だったゲームのマーケターとしてDMM.com(現 DMM GAMES)に所属。eスポーツ(PUBG JAPAN SERIES)におけるマーケティングやスポンサードを担当。自社のeスポーツのファン層拡大だけでなく、eスポーツ全体を視聴層を広げるために尽力している。
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