Gundam Meets Businessの第13回は、BtoBビジネスにおけるマーケティングです。ガンダムの世界にも戦争の裏側でビジネスをしている会社や組織がいくつか出現します。
そこで今回は、アナハイム・エレクトロニクス社(AE社)のビジネスに例えながら、どうすればBtoBマーケティングを上手に扱えるかを考察します。
そこで今回は、アナハイム・エレクトロニクス社(AE社)のビジネスに例えながら、どうすればBtoBマーケティングを上手に扱えるかを考察します。
アナハイム・エレクトロニクス社の扱う商品は、その名の通り消費者向けの家電はもちろんのこと、“スプーンから宇宙戦艦まで”と表現されるほど広大な範囲に及びます。彼らの提供する商品群のなかでも、スプーンや電化製品など、市井の消費者に向けたビジネスをBtoC(ビジネス・トゥ・コンシューマー)と言います。
対して、モビルスーツや強襲揚陸艦などを担当する部門はBtoB(ビジネス・トゥ・ビジネス)、あるいはBtoG(ビジネス・トゥ・ガバメント:政府)と呼ばれます。BtoBとBtoGでは相応の違いがありつつも、消費者ではなく組織を相手にしているという共通点から一括りにされることが多いようです。
対して、モビルスーツや強襲揚陸艦などを担当する部門はBtoB(ビジネス・トゥ・ビジネス)、あるいはBtoG(ビジネス・トゥ・ガバメント:政府)と呼ばれます。BtoBとBtoGでは相応の違いがありつつも、消費者ではなく組織を相手にしているという共通点から一括りにされることが多いようです。
BtoCとBtoB、つまり消費者向けか組織向けかによって、ビジネスの仕方やマーケティングの方法が大きく異なると思われがちです。BtoCとBtoBの間を転職などで行き来する人材も少なく、知識や経験が共有されることも稀なので、類似点よりも相違点に目がいくのでしょう。ひとりの消費者として商品を買うBtoCの購入と、組織の購買担当者として稟議(りんぎ)を通して商品の売買契約を進めるのとでは、確かに大きく異なるように見えます。
とはいえ、この違いは、生身のジオン兵をガンダムのビームライフルで狙うのに大いに動揺したアムロが、直後にホワイトベースを護衛してザクを迎え撃つのに「相手がザクなら人間じゃないんだ、僕だって」と言明するのに似ているかもしれません。確かにザクは人間ではありませんが、操縦しているのは人間です。撃てばパイロットは無事では済まされません。ザクを撃つというのは、そのザクを操縦するパイロットを撃つのと同義のはずですが、表面だけ眺めれば、生身の兵隊とモビルスーツという大きな違いがあります。
同様に、BtoB商品の購入は企業が意思決定をしているように見えますが、実際に決定を下しているのは、生身の購買担当者です。感情もあれば、個人的な思い入れもあるでしょう。組織のダイナミズムの中でなされる意思決定は、冷静なロジック以外の影響も多分に受けます。企業の経営方針や今期の戦略だけでなく、部門間のセクショナリズム、上司と部下の軋轢、過去の経緯といった諸要素が複雑に影響し合います。
BtoBにおいても、意思決定をするのは組織ではなく人間です。製品のスペックに基づいて意思に関係なく機械的に判断できる場面もありますが、購買の基準を担当者の裁量に任されることもあります。BtoCの場合と同様に、客観的で明確な意思決定の指針などがないかもしれません。
「いいモビルスーツが必要だ」という点においては関係者全員が賛同できます。同時に、立場や状況次第で「いいモビルスーツ」の定義は様々に解釈される可能性があります。連邦軍の購買担当者と経理担当者、パイロットと整備担当者ではそれぞれに異なるモビルスーツ像を描くことでしょう。さらにアナハイム・エレクトロニクス社の設計者と製造ラインの担当者では、異なる意見を持っていたかもしれません。普遍的な「いいモビルスーツ」は想像しにくく、面倒な議論が渦巻いていただろうと想像されます。
BtoCと同様、BtoBにおいてもっとも重要なマーケティング活動のひとつは「いいモビルスーツ」を明確に定義づけることです。アナハイム・エレクトロニクス社が戦争終結につながるモビルスーツを納入できたのは、購買の関係者が納得できる「いいモビルスーツ」の要件を提案できたマーケターと、それぞれの考え方の違いを根気よく埋めることができた営業がいたからかもしれません。
BtoBのマーケティングは、一見したところBtoCと大きく異なる力学と法則が働いているように見えます。しかしよく見てみれば、人間が意思決定をしていて、「いい商品」を定義し直して市場創造をするのだ、という点は共通するようです。
GMBとは
ガンダムをこよなく愛し、ガンダムでビジネスを語る、謎でもないマーケターユニット。
音部 大輔
日米P&G、ダノンジャパン、ユニリーバ・ジャパン、資生堂などで、マーケティング担当副社長やCMOとしてマーケティング組織を構築・指揮し、持続的成長を実現。2018年より株式会社クー・マーケティング・カンパニー代表取締役。国内外のさまざまなクライアント企業にマーケティング組織強化など提供。博士(経営学 神戸大学)。日本マーケティング学会 理事。日経BPマーケター・オブ・ザ・イヤー審査員、日経BtoBデジタル・マーケティングアワード審査員。著書に『なぜ「戦略」で差がつくのか。』(宣伝会議)、『マーケティングプロフェッショナルの視点』(日経BP)
田中 準也
新卒でクレディセゾン入社。その後ジェイアール東日本企画、電通、トランスコスモス、メトロアドエージェンシー、電通レイザーフィッシュ(現電通アイソバー)を経て、2015年インフォバーン入社。2017年に取締役に就任。2019年より取締役COO。マスからデジタルまで精通し、オンラインとオフラインを横断する総合的なコミュニケーションデザイン及び新規事業開発・推進が得意。
一般社団法人マーケターキャリア協会 理事。
豊後 祐紀
2017年4月30日までトライバルメディアハウス コンサルティング営業部 熱狂ブランドマーケティングチームに所属。大手製菓会社や、大手化粧品メーカーなどのブランディングを提案し、実行。その後、2017年4月より読売広告社のシンガポール支店であるFLP YOMIKOに所属し、主に日清食品シンガポールのブランディングを担当。2017年12月より子供の頃の夢だったゲームのマーケターとなるべく、DMM.comに所属。ブランディングやプロモーションを担当する。
新卒でクレディセゾン入社。その後ジェイアール東日本企画、電通、トランスコスモス、メトロアドエージェンシー、電通レイザーフィッシュ(現電通アイソバー)を経て、2015年インフォバーン入社。2017年に取締役に就任。2019年より取締役COO。マスからデジタルまで精通し、オンラインとオフラインを横断する総合的なコミュニケーションデザイン及び新規事業開発・推進が得意。
一般社団法人マーケターキャリア協会 理事。
豊後 祐紀
2017年4月30日までトライバルメディアハウス コンサルティング営業部 熱狂ブランドマーケティングチームに所属。大手製菓会社や、大手化粧品メーカーなどのブランディングを提案し、実行。その後、2017年4月より読売広告社のシンガポール支店であるFLP YOMIKOに所属し、主に日清食品シンガポールのブランディングを担当。2017年12月より子供の頃の夢だったゲームのマーケターとなるべく、DMM.comに所属。ブランディングやプロモーションを担当する。
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