12月3日(火)、東京2020組織委員会「ONE TEAM PROJECT」の「宇宙から東京2020エール!」企画第2弾「G-SATELLITE 宇宙へ」で使用される衛星の完成披露記者会見が行われた。
会見には、東京大学大学院・中須賀真一教授、『機動戦士ガンダム』富野由悠季監督に加え、スペシャルゲストとして宇宙飛行士・山崎直子さん、LUNA SEAギタリスト・SUGIZOさんが登壇。完成した衛星がお披露目されたほか、その詳細と東京2020大会に向けた応援企画、本プロジェクトをイメージした「キームービー」も紹介された。
それでは早速、会見の模様をお届していこう。
▲左からSUGIZOさん、富野由悠季監督、中須賀真一教授、山崎直子さん
最初に登壇した中須賀教授は、2018年の夏ごろからスタートした本プロジェクトも、衛星がいよいよ完成してひと段落、と安堵の笑顔を見せる。超小型衛星開発の先駆者である中須賀教授だが、衛星の開発は毎回異なる仕様で、今回も新しい要素がたくさんあり何とか完成にこぎつけたと苦労を明かした。今回の衛星は2020年に打ち上げられ、運用段階に入るが、「最後まで気を抜かずに頑張っていきたいと思います」と意気込みを見せた。
次に富野監督は、ガンプラファンに「実際にガンプラが宇宙に放出されることの意味」を感じて欲しいと語る。重ねて、塗装や材料など様々な問題を実証実験できる今回の機会の重要性を説くとともに、それを与えてくれた関係各所への感謝を述べていた。
宇宙飛行士の山崎直子さんは、プロジェクトへの期待と興奮を「いよいよ、宇宙世紀の幕開けですね」と表現。また、SUGIZOさんは「子どもの頃から宇宙に憧れてきた身としては、このプロジェクトをサポートできることに、とても重要な使命を感じております」と目を輝かせていた。
ここで、ついに完成となった衛星のレプリカ(エンジニアリングモデル)が登場。宇宙へと打ち上げられる衛星の「フライトモデル」はJAXAへの引き渡しを控えているが、お披露目された「エンジニアリングモデル」も、実際に試験が繰り返されたもの。
衛星を目の当たりにした山崎さんは、「たくさんの方が準備をしてくれた、頑張った跡が見えます」と、開発者への思いをはせる。SUGIZOさんは、「生粋のガンダムファンとしては、宇宙空間に耐えうる超高性能ガンプラが、燦燦と輝いて見えます」と、搭載されるガンプラに注目していた。
衛星は、10x10x34cmの寸法に7台のカメラと電光掲示板を搭載。ガンプラとカメラパネルはテグスにより保持されており、ニクロム線の発熱で断線・展開。電光掲示板は、日本語をはじめとする多言語に対応するほか、画像を表示することもできる。また、衛星のパネルは金メダルを意識したゴールドカラーとなっている。
東京2020大会が終了した後、衛星は1~2年ほどで地球大気圏に突入するので「宇宙デブリ」となることはない。アニメのガンダムは大気圏突入能力を有していたが、今回の衛星およびガンプラにその機能はなく、大気圏突入時に燃え尽きる予定となっている。
衛星に搭載されるガンプラは、過酷な宇宙環境に対応した特殊な部材、塗料、接着剤などを使用し、特別な製造方法により作成されている。また、目にあたる部分は、LEDにより発光。明滅させたり色を変更するなど、複数のパターンで光らせることもできる。
そして、未発表機能として、動力による頭部の可動機能が公開された。ガンダムとシャアザクの頭部にモーターが搭載されており、向き合うなどの様々なポーズによる演出が可能となっている。
この機能が発表されると、SUGIZOさんは「『機動戦士ガンダム』では死闘を繰り広げていた2機が、肩を並べて向き合っている。和平の象徴と言うか、“人類はこうあるべきだ”と素晴らしいメッセージを感じました」と語っていた。
続いて、東京2020大会に向けた応援企画として、「ファーストメッセージ」「東京2020大会応援メッセージ」「3D地球儀」「アムロ、シャアの会話傍受企画」が紹介された。
まず、「ファーストメッセージ」は、富野監督書き下ろしのメッセージを、アムロとシャアの声で宇宙から地球へ届ける企画。音データは衛星の内蔵メモリに格納され、G-SATELLITEが宇宙から初めて発するメッセージとなる。
メッセージについて富野監督は、劇中でのアムロとシャアの会話は主に戦闘中なので、このようなシチュエーションに落とし込むの大変だったとこぼしつつも、「衛星にガンプラを持って行けるということは、“こんなに嬉しいことはない”です。真実を高らかに謳いあげるメッセージを作りましたが、(聞いたら)笑っちゃいますよ」と自信を見せる。
また、メッセージのBGMには、LUNA SEAの「THE BEYOND」が採用されている。
なお、メッセージは、「G-SATELLITE 宇宙へ」プロジェクトサイトでも公開予定。
「東京2020大会応援メッセージ」は、『機動戦士ガンダム』の名台詞と電光掲示板を使い、大会へのカウントダウンや記録更新などにあわせたメッセージを発信するというもの。カウントダウンは2020年7月14日(火)スタート予定。
Webコンテンツ「3D地球儀」は、「G-SATELLITE 宇宙へ」プロジェクトサイト上で楽しめるコンテンツで、衛星の現在推測位置がわかる仕組みとなっている。衛星は高速で移動するため、地上から目視はできないが本コンテンツにより位置を確認することができる。2020年春以降に公開予定。
「アムロ、シャアの会話傍受企画」では、衛星が日本上空を通過するタイミングでアムロとシャアの会話を傍受することができる。2020年5月から7月に、東京2020公式 YouTube チャンネルにて公開予定となっている。
いずれの企画も、展開スタートを楽しみに待とう。
そして、本プロジェクトをイメージした「キームービー」が公開された。キームービーの制作には、『機動戦士ガンダム THE ORIGIN』のスタッフが参加しており、2019年5月のプロジェクト発表から超小型衛星の完成、国際宇宙ステーションからの放出と、地球周回軌道上で各機能が展開されるまでをイメージした映像となっている。
▲動画はYoutubeでご覧ください。
最後に、スペシャルゲストよりコメントがあり、記者会見は幕を閉じた。
山崎直子
これから、宇宙世紀の幕開けの中で、私たち人間は真の多様性と調和を目指していくと思います。宇宙、そして東京オリンピック・パラリンピックの場は、まさに平和の祭典。人類がどのように高みを目指していけるのか、アスリートの皆さんと一緒に追い求めていける場だと思っています。私も“ONE TEAM”の一員として、一緒に応援できることをとても光栄に思っております。
SUGIZO
一歩一歩、ぼくらの夢が実現していく。科学、未来、宇宙……ぼくらが子どもの頃にはまだまだ遠い話でしたけれども、こうやってぼくらが進化していけるということは、同時にぼくらの心も進化していけているはずだと信じています。宇宙へ出ることが、そして、武力ではなくスポーツで競い合うことが、実はぼくらの未来、人類の未来にとても重要だと、常々感じています。今回この素晴らしい「ONE TEAM PROJECT」に参加できて、心から光栄に思います。
いよいよ詳細が明らかになった「G-SATELLITE 宇宙へ」。今後の展開もお見逃しなく。
(ガンダムインフォ編集部)
「G-SATELLITE 宇宙へ」今後のスケジュール
- 2019年12月5日(木) JAXAに完成した超小型衛星「G-SATELLITE」を引き渡し
- 2020年3月中旬 超小型衛星「G-SATELLITE」を補給船に積みISS(国際宇宙ステーション)へ打ち上げ
- 2020年4月 超小型衛星「G-SATELLITE」をISSから放出 ※打ち上げ・放出スケジュールは、ISSプログラムの計画によって前後することがあります。
- 2020年春 宇宙からファーストメッセージ(富野監督書き下ろし)発信
- 2020年春 ガンダムと一緒に東京2020エール企画当選者への動画送付 ※東京2020への応援ツイートをした人の中から、抽選でアムロとシャアからメッセージ動画が贈られる、動画プレゼントキャンペーン(既に締め切っております)。
- 2020年春以降 周回中の「G-SATELLITE」の位置がわかるWebコンテンツ「3D地球儀」公開
- 2020年5~7月 「G-SATELLITE」が日本上空通過の際にアムロ、シャアの会話傍受企画
- 2020年7月~ 東京2020大会応援メッセージ発信(オリンピック開会10日前、大会中等)
- 2020年9月6日(日) プロジェクト終了
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