富野由悠季監督が母校の小学生へ講演！「小田原市立足柄小学校 開校150周年記念式典」イベントレポート

11月10日（金）に小田原市立足柄小学校で「開校150周年記念式典」が開催され、同校出身のアニメーション映画監督・富野由悠季さんが講演を行なった。

「足柄小学校の諸君へ」と題された講演には、小学3年生から6年生までの児童約200人が参加。
富野監督は、約70年前に入学した当時の足柄小学校の様子や、日本で初めて放送されたテレビ漫画『鉄腕アトム』の思い出をはじめ、アニメーションの作り方、虫プロダクション時代の制作進行という仕事の内容、『海のトリトン』最終回で視聴者からさまざまな反響があったことなどのエピソードを披露。
また、『アルプスの少女ハイジ』をはじめとする「世界名作劇場」を手伝った際、高畑 勲監督から教えられた「子供向けの作品を創る仕事をするのなら、大人は全力を尽くさなければならない」という制作姿勢が本当に勉強になった、と振り返った。

『機動戦士ガンダム』については、それまでの巨大ロボット物では80mや100mだったロボットのサイズを20m程度と小さくしたこと、敵を宇宙人にせず人間対人間の物語にしたこと、の2点を意識したとし、それが後年「戦争がなくなった日本で、若い人に、戦争を知るきっかけになったアニメ作品である」と褒めてもらえるようになったと語った。

小学生の頃は宇宙旅行に興味があり、同時に漫画や絵物語に感銘を受けたことから、“物語を創る”ことや“物語の中の絵を描く”面白さにも目覚め、中学・高校時代も勉強そっちのけでのめり込んだという富野監督。大人になってから、若い頃に文学の勉強や小説・論文を読んでこなかったことを本当に後悔した、と反省し、「ですから、中学生になっても、世界名作全集の半分くらいは読んでくださいね、と言っておきます」と笑顔でアドバイスを送った。

そして、運動でも学習でも好きなものがあれば全力を尽くして欲しい、特にやりたいことがない人も、まわりをよく見て「なぜ毎日学校に来なければならないのか」「先生がいるのはなぜか」「科目がこれだけあるのはなぜか」といったことを考え続ければ、その結論は中学校や高校に行ってから判ったりする、と話す。

最後に、今回の講演を引き受けた理由として「足柄小学校からだって文化功労者に選ばれる人が出てきたのだ、ということを皆さんに報告しておいていいのかな、と思いました」と語り、質疑応答では元気よく挙手する児童からの質問に丁寧に答えたのち、花束贈呈をもって講演は締めくくられた。

（ガンダムインフォ編集部）