「アニメフィルムフェスティバル東京2018(AFFT2018)」では、10月20日(土)に新宿ピカデリーにて『機動戦士ガンダム 逆襲のシャア』のトークショー付き上映会が開催された。
トークショーでは、ゲストにアムロ・レイ役の古谷 徹さん、シャア・アズナブル役の池田秀一さん、さらに、原作・脚本も務める富野由悠季監督が登場。本作への想いや、30年という月日の流れを改めて振り返るなど様々な話題が飛び出した。
▲左から富野由悠季監督、古谷 徹さん、池田秀一さん
久しぶりに3人が揃った心境を問われると、それぞれ「いつ振りだろう?」という審議が勃発。なかなか思い出せない様子に富野監督が「これが老化現象です」とコメントすると、会場からは笑いの声が上がった。
本作として3人が揃うのは30年ぶりということで、公開当時と現在での心境の変化について富野監督は「カラーコレクションなどで4~5年に1度は見ているので、僕にとって30年ぶりじゃないんです。皆さんのお小遣いを使わせているな…と思いつつ、ご容赦頂いて御浄財を頂ければありがたいと思っております」とコメント。会場から笑いがこぼれる中、古谷さんからも「面白すぎますね監督(笑)」と突込みが入る。
また、古谷さんは「ファーストガンダムで“カッコイイアムロ”を演じたつもりでいて、Ζガンダムでは“情けないアムロ”を演じなければならなかった。僕自身もTVシリーズのΖガンダムは不完全燃焼な部分がありました。そんな時『逆襲のシャア』お話を頂いて、かっこいいアムロを演じられる事になって、とても嬉しかったです」とコメント。10代から20代になったアムロの役作りについては「自分の実年齢にも近く、自然な感じで入り込めました」と語った。
池田さんは「『逆襲のシャア』というタイトルを聞いた時、“お、とうとう俺の出番か。これは絶対やってやるぞ”と意気込んでいたが、シャアが主役ではなかったですね」とコメントし、会場から笑いを誘う。「当時はなんとなくしかわからなかった事が、今の歳になるとわかってくる。久しぶりに本作を観るとやり直したいですね」と心の内を明かした。
富野監督は、脚本や演出について「関係者みんなに嫌われたくなく、みんなを立たせたいという欲があります。“それを全部出来なかったな”と言う思いが残っていて、バージョンをアップする度に欠点しか見えないというのが僕の立場です」と自身の思いを口にする。また「悪役にも好かれたい、ファンがみんな嫌いに想っているキャラクターを好きにさせたい、などの欲が有るんですよね」とも語った。
本作には数々の女性キャラクターが出演する事に対し、富野監督は「皆に良い思いをさせたい。アムロにもシャアにも取りこぼしが無いよう、物語を考える前に女性キャラを作るんです。その中で足りない部分を増やしていく作り方になっている部分があります。それでも、25年くらい経つと失敗したなと思う事もあります。ニュータイプのキャラクターはどっちか1人にすべきだったかなと思う後悔もあります。月日が経てば経つ程、反省する部分が見えて落ち込みます」と作品作りに対する複雑な胸中を明かす。
また、古谷さんより「監督はチェーンとナナイ、どっちが好きなんですか?」と質問が飛び出すと「自分が作った女性キャラクターはみんな好きです(笑)」と富野監督は笑顔で答える場面も。続けて「思い入れがないと劇中で肉付きのあるキャラクターにならないんです。2次元のキャラクターではなく、肉感が感じられる様にしたいとずっと思っています」とキャラクター作りへのこだわりを語った。
それを受けて池田さんから「本作でアムロにも恋人らしい人が出来て、よかったなと思いました」とコメントがあり、会場からは笑いの声が上がった。
最後にMCから「アムロとシャアの2人は、ラストシーンの後どうなったと思いますか?」と質問が飛び出す。富野監督は「僕は物語を作って演出が終わった段階で全部忘れます。後は彼らの人生、他人が介入してはいけないと思っているので投げ出しています」と回答。池田さんからは「収録が終わった時“これでシャアは死にました、ありがとうございました。死んだんですよね?”と聞いたら、監督がニヤッと笑ったことを覚えています」とコメント。続けて「もしかしたらアムロの逆襲があるのかな?と思ってました」との言葉に、古谷さんから「そういえば言ってましたよね?次は『逆襲のアムロです』って当時言ってましたよ!」と突っ込みが入り、それを受けて富野監督は「全く覚えてない」と答え会場からも笑い声が上がった。
最後に、登壇者3人からの挨拶で、トークショーは幕を下ろした。
富野由悠季監督
今回の上映は、音響をちょっとだけ手直ししました。効果音が劣化している部分を改善させてもらい、初期の映画版の雰囲気に戻したつもりです。かなり雰囲気が良くなったと思いますので、ぜひ楽しんでください。
古谷 徹(アムロ・レイ役)
本日はお集まりいただき、ありがとうございました。一言でいうと「『逆襲のシャア』は伊達じゃない!!」
池田秀一(シャア・アズナブル役)
シャアのセリフで「ララァは私の母になってくれるかもしれなかった人だ」という台詞がありますが、30年経つとそのセリフが、なんだかわかるんですよね。30年という年月は伊達じゃないと思います。本日はありがとうございました。
なお、上映会では「機動戦士ガンダム 逆襲のシャア 公式記録全集(仮)」が現在企画中であることが明かされた。
公式記録全集では、キャラクターやメカニカルの設定、描き起こしイラスト集、さらに決定稿に加えてデザイン原案など、これまで発表されてきたものだけでなくすべての資料を掲載。本作に関連する商品、派生映像作品、コミックスや小説などについても掲載し、まさに完全版といえる公式設定資料集となる予定とのこと。
詳しい情報は随時、『逆襲のシャア』公式サイトにて告知されるとのことなので、ぜひチェックしておこう。
(ガンダムインフォ編集部)
アニメフィルムフェスティバル東京2018 機動戦士ガンダム 逆襲のシャア
[日程]2018年10月20日(土)
[会場]新宿ピカデリー
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