12月2日(金)までイベント上映中の『機動戦士ガンダム THE ORIGIN IV 運命の前夜』では、11月29日(火)に東京・新宿ピカデリーにてスタッフトークショーが開催された。
舞台には、キャラクターデザイン・ことぶきつかささんと、設定制作を担当する関口敦彦さん、制作デスクの塚本樹佳さんが登壇。キャラクターデザインをテーマに『THE ORIGIN』の世界をより深く楽しめる内容のトークが展開された。
まずはじめに、登壇者それぞれが担当する職務の説明が行われた。
「設定制作」とは、作画に必要な設定を発注・管理する役割。「制作デスク」は、スケジュールを中心に各セクションを管理する、言わば中間管理職。「キャラクターデザイン」は、作画に必要な設定を描く作業を担当するのだが、「ことぶきさんは特に、安彦良和総監督のお気に入り“以外の”キャラクターを任されています」と説明されると、客席からは大きな笑いが起こる。
そして話題は各話のキャラクターへ。第1話『青い瞳のキャスバル』に登場するジンバ・ラル、ドノヴァン、ローゼルシアは、『THE ORIGIN』の最初期に描かれたキャラクターで、この3人は、ことぶきさんにとっても思い入れがひとしお。なかでもドノヴァンは、漫画原作におけるシャア・セイラ編には出てこないので、アニメ化にあたって出してみたかったとのことだ。
また、どのキャラクターに対しても、安彦総監督からは髪の毛の質感や毛量へのこだわりが見られたそうで、「禿げてるか、禿げてないか、禿げそうか」、「前髪のぺたっと感」などから、そのキャラクターがどれだけ苦労しているかや、民族的な背景までが表現されている。
▲第1話『青い瞳のキャスバル』に登場するドノヴァン[左]、ローゼルシア[右]
▲キャラクターのおでこの広さによって、様々なことが表現されている。
第2話『哀しみのアルテイシア』でランバ・ラルや黒い三連星が着ているノーマルスーツも、ことぶきさんがデザイン。チューブを這わせたり生命維持装置を付けることで、ちょっと古く見えるようなデザインを目指し、さらに、「オルテガとマッシュは動きが激しいので、外れたチューブをガムテープのようなもので応急処置している」など、細部に至る設定がなされている。
また、クラブエデン内で演奏しているミュージシャンのキャラクターは、安彦総監督からのオーダーにより、実際に楽曲を演奏したミュージシャンをもとに作られている。
第3話『暁の蜂起』のリノ・フェルナンデスは、アニメ独自のキャラクター。原作漫画では、シャアにマスクを渡す役割を「ムラタ」が担っているが、重要なポジションなのでキャラクター性を強めることになった。ことぶきさんが用意した3案のうち、ご本人もイチオシの案が採用され、名前も「リノ・フェルナンデス」へと変更された。
軍装、階級章、肩章については、草彅琢仁さんがデザインしたものを西村博之総作画監督が作画しやすいように線を減らし、ことぶきさんがクリンナップするという手順で設定化。非常に細かく設定されているので、「作画泣かせですね~」と登壇者も苦笑いを浮かべる。
▲ノーマルスーツもキャラクターによって設定が異なる。
▲実在のミュージシャンをベースに起こされたキャラクター。
▲リノ・フェルナンデスは3案用意された。
▲軍装、階級章、肩章も非常に細かく設定されている。
そして話題はいよいよ第4話『運命の前夜』へ。地球で私服姿となったシャアの設定は安彦総監督によるものだが、サングラスや時計、靴といった小道具を“今風”に仕上げる作業は、ことぶきさんが担当した。キャラクターのみならず、身の回りの物まで一緒にデザインを起こしており、ローゼルシアの椅子などもことぶきさんがデザインしたとのことだ。
さらに、第4話に登場するエルドゥシュ中尉が紹介された。実は、エルドゥシュ中尉のモデルは、本作で制作進行を担当するエルドーシュ・バーリントさん。登壇者が「安彦さんの無茶ぶりの真骨頂」と表するほどの大抜擢だが、ヘルメットをかぶせると特徴的な結んだあごひげが見えなくなることが判明し、専用のヘルメットを用意することまで検討された(結果、却下された)。
▲シャアの小道具は今風に仕上げられている。
▲エルドゥシュ中尉のモデルは、本作で制作進行を担当するエルドーシュ・バーリントさん。
イベントの最後には、サイン入りポスターと、ことぶきさんの描き下ろし色紙が贈られるプレゼント抽選会も実施され、大盛況で笑いの絶えないスタッフトークショーは幕を閉じた。
設定制作・関口敦彦
ファンの皆さんの前でぼくが語ることは普段ないんですけれども、このような機会をいただいてありがとうございました。キャラクターを説明させていただきましたが、第4話『運命の前夜』を見るにあたっての“深み”になればいいな、と思いました。ぜひ、お楽しみください。
制作デスク・塚本樹佳
今日はどうもありがとうございました。ぼくらは今、ものすごく頑張って『ルウム編』を作っています。ぜひ期待していただければと思いますので、よろしくお願いします。
キャラクターデザイン・ことぶきつかさ
来年公開の『ルウム編』に向けて、頑張って作業に入りたいと思います。来年もよろしくお願いします。
▲設定制作・関口敦彦さん[左]、キャラクターデザイン・ことぶきつかささん[中]、制作デスク・塚本樹佳さん[右]
『機動戦士ガンダム THE ORIGIN IV 運命の前夜』全国15館でのイベント上映は、いよいよ12月2日(金)まで。12月2日(金)には同じく新宿ピカデリーにて、スタッフ・キャスト陣による最終上映舞台挨拶も開催される。チケットは好評発売中なので、観覧希望の人は早めに購入して、ぜひイベントに参加しよう。
※本文中、一部敬称略
(ガンダムインフォ編集部)
注目ワード
あなたへのオススメ
編集部イチオシ
PREMIUM BANDAI
プレミアムバンダイ