▲左から小形尚弘プロデューサー、谷口 理プロデューサー、河口佳高プロデューサー、藤津亮太さん
Blu-ray・DVDが好評発売中の『機動戦士ガンダム THE ORIGIN』と、『機動戦士ガンダム サンダーボルト DECEMBER SKY』がコラボしたプロデューサートークショー「オリジン VS サンダーボルト プロデューサートーク round.3」が、7月5日(火)に新宿ピカデリーにて開催された。
イベントでは、『THE ORIGIN』の谷口 理プロデューサーと『サンダーボルト』の小形尚弘プロデューサーに加え、サンライズの河口佳高プロデューサー、アニメ評論家の藤津亮太さんが登壇。今回の『サンダーボルト』もその系譜に位置する「ガンダムOVAシリーズ」についてと、「サンライズの主なスタジオ」について、トークショーが行われた。
それでは早速、制作の裏側に迫る貴重なイベントの模様をお伝えしていこう。
まず会場のスクリーンに歴代ガンダムOVAシリーズのタイトルと、各担当プロデューサーがまとめられた表が映し出され、この表を見ながら制作の裏側についてトークが展開されていく。
前置きとして、小形プロデューサーが「今日、『サンダーボルト』のことはほとんど喋らないんで」と観客に釘を刺すと、客席からは笑い声が。そして、歴代プロデューサーたちの周囲で実際に起こった出来事の数々が披露されると、会場は驚きと笑いの渦に包まれた。
次に、テーマは「サンライズの主なスタジオ」へと移る。スクリーンには、「ガンダム制作スタジオの変遷」というタイトルで、第1、第2、第3、第5スタジオのそれぞれが1988年から1997年にかけて制作してきた作品をまとめた表が映し出された。あまりにもマニアックな資料だが、谷口プロデューサーが「皆さん楽しいんですか?」とたずねると、会場からは拍手が巻き起こる。
そして話題は、1988年の『機動戦士SDガンダム』に。小形プロデューサーが制作の裏事情をたずねると、河口プロデューサーは「『逆襲のシャア』を作ったメンバーがスタジオを異動して作った」と話し、さらに「この頃サンライズは大分苦しくて『SDガンダム』に救われた」と意外な事実を明かした。
ここから、『機動戦士ガンダム0080 ポケットの中の戦争』へと話題は移っていく。小形プロデューサーは、本作が富野監督の関わらなかった初のガンダムであることに触れると、河口プロデューサーが「内田プロデューサーもしばらく違う監督とやりたいと思ったんじゃないですか?」と推測。続けて「ガンダムを作るのは本当に大変で、やったあとはスタジオが壊滅する」という逸話を持ち出し、これがガンダムを制作したスタジオがその後に毛色の違う作品を制作する理由のひとつであることも明かした。
ここで藤津さんからの「実は、サンライズのスタジオの番号と、スタッフやプロデューサーの遺伝子みたいなものが入り乱れてるので、複雑ですよね」との指摘に、河口プロデューサーは「細かく番号をつけていったら、今50スタジオとかになってますよ(笑)」と軽快なジョークを飛ばした。
さらに話題は『0080』から続くOVAシリーズへ。1991年に公開された『0083 STARDUST MEMORY』では、同時期に『F91』も制作されており、2つのスタジオで同時にガンダムが制作されるという事態に、河口プロデューサーが「当時でさえ『なぜこんなバカなことをするのか』という声が挙がっていた」と明かす。また、『0083』について、藤津さんは「クオリティ上げてくぞー!みたいなテンションがあったと思うんですけど、現場はどうだったんですか?」と聞くと、当時を知る河口プロデューサーは、「いわゆるファーストガンダムを見て業界に入った作画さんたちが力を付けて主力になってきたので、彼らが『ガンダムはこうだろ』と全力でやってくるんです」と制作秘話を語った。小形プロデューサーも「『0083』は今見てもすごい。あれをセルでやってたっていうのが信じられない」と語り、これに続けて藤津さんも『0080』と『0083』がガンダムシリーズに与えた影響について、その後のガンダムの、特に一年戦争もののOVAにとっては、一つの超えるべきハードルのようなものだと分析した。
改めてガンダムシリーズ全体の印象について話が移り、「今、ガンダム作るのだいぶ楽になったでしょ?」と河口プロデューサーが他のプロデューサー陣に問いかけると、大きな苦笑いが。しかし、制作現場の苦しい状況は昔と大きく変わらないまでも、『機動武闘伝Gガンダム』や『∀ガンダム』を転機に、「ガンダムはこうでなければいけない」という考え方から、「(制作する側にとっては)ガンダムかどうかは覚悟の問題」へと変化しているという結論には、登壇者全員が納得の様子だった。
最後に、『THE ORIGIN』、『サンダーボルト』の最新情報を紹介。締めくくりとして登壇者それぞれからの挨拶があり、約45分間にわたる本イベントは閉幕した。
オリジン VS サンダーボルト プロデューサートーク round.3
[日程] 2016年7月5日(火)
[場所] 新宿ピカデリー
[日程] 2016年7月5日(火)
[場所] 新宿ピカデリー
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