「サンライズフェスティバル2015白南風」の『ガンダム Gのレコンギスタ』オールナイト上映は、9月12日(土)にTOHOシネマズ新宿で開催された。
「サンライズフェスティバル」は、サンライズが誇る珠玉の名作や話題の新作を上映する毎夏恒例のアニメ上映イベント。
最終日となる『G-レコ』オールナイト上映では、第14話「宇宙、モビルスーツ戦」から第26話「大地に立つ(最終話)」までが上映されたことに加え、豪華ゲストを迎えてのトークショーが実施された。トークショーには、富野由悠季総監督、ベルリ・ゼナム役の石井マーク氏、キャラクターデザイン・作画チーフの吉田健一氏、メカニカルデザインの形部一平氏、サンライズの小形尚弘プロデューサーに加え、1時間程前に急遽出演が決まったという音楽の菅野祐悟氏が登場。菅野氏の出演には、富野総監督も「何でいきなり来たの!?」と驚いた様子だった。
それでは、満席&大盛況となったトークショーの様子をお届けしていこう。
はじめに各人から挨拶があり、富野総監督は「これだけの人に来ていただいて自信を持ちました」と語るとともに、連日の豪雨で被害に遭った地域のことに触れ「皆さんの若々しい力を、かの地に与えたい」と15秒間の黙祷を捧げた。
さらに、「ここにいらしているということは皆さんは余力があるということで、こういうものが日本中に広まればいいと思っています。そのような気分を作品の中に投げ与えたいと思って『G-レコ』を作りました」とコメントした。
▲この日はまず富野総監督から黙祷のお願いがあった。
トークショーが始まり、改めて『G-レコ』という作品を振り返っての感想を尋ねられると、石井氏は「生活感あふれる日常の描写に癒されることもあって見やすかった」とコメント。
また「大画面で見られるのは厳しい……」と苦笑いしていた吉田氏だが、振り返ると「単純に作業量が多かったので、自分の能力が追い付かなかった。もっと目が届けばと悔しい気持ちもある」そうだ。『G-レコ』は登場人物がとても多く、総計で何人描いたのかもわからない程だという。目立つキャラクターが多いこともあり、「他人任せにできず意地になっていた」とも語った。
そしてキャラクターに負けずメカの数も非常に多かったが、形部氏は企画段階では中盤まで「僕のロボットは出るのかな?」という気持ちでやっていたとのこと。そのため、とにかく数を出していったのだが、富野総監督は逆に「たくさん出てくるので困った」と苦笑。「キャリアがある人がその判断でやると古いものになってしまうだろうから、青少年が描いてきたものを使ってみせなきゃいけない」と思い、実際は全部使うことになったが「(数が多すぎて)本当にひどい目にあった。全部使うと言うんじゃなかった」と反省したそうだ。
一方、形部氏は「1話を家族と見たけど、富野さんの作品に自分のメカが出てくるのは本当に感動した」と語った。また、アニメ制作に参加するのは『G-レコ』で2度目だが、吉田氏とデザインワークスのコヤマシゲト氏、メカニカルデザインの安田 朗氏にアニメ的なデザインの仕方を教えてもらい「4年間学校に通っていた気持ち」だったとのこと。今では“イラストレイター”より“メカデザイナー”と言われることが多くなったそうだが、そのことに関しては「まだ座りが悪い」と感じているそうだ。
▲左から司会の谷口廣次朗氏、富野由悠季総監督、石井マーク氏、吉田健一氏、形部一平氏、菅野祐悟氏、小形尚弘プロデューサー。
続いて、ここまでの話を聞いた菅野氏は「これは『G-レコ』反省会ですかね……?」と言いつつも、「僕は嬉しいです、後悔はありません!」とコメント。
本作では100曲以上の劇伴を作ったそうで、サウンドトラックは「辞書のような」厚さに。ちなみにジャケットイラストは元々吉田氏が描く予定だったのだが、「『描けないごめん!形部さんに頼んで!』と言われて、形部さんに1週間で描いてもらった」と小形プロデューサーの口から裏話が明かされた。
菅野氏は、第3話「モンテーロの圧力」の最後で流れるトイレの曲「ハイフン・スタッカート」の作曲も担当しているが、富野総監督はこの曲が「本当に好き」だという。今回のイベント前にも3回ほど聞いてきたということで、「歌詞をもう一度よく読んで下さい。井荻 麟として名曲だと思っている」と語った。
歌詞を受け取った時はびっくりしたと言う菅野氏も「『Gの閃光』もそうだが、メロディが詞で決まっている。よく、彫刻は最初から木の中にあって削り取っているだけ、という話もあるけど、監督の詞にも、パタパタはたいたらメロディが出てくるというくらい力がある」と語った。
またEDテーマ「Gの閃光」は石井氏もラジオなどで歌っているが、ハセガワダイスケ氏と声が似ていると言われることがあるそうで「僕が歌っていると思った人いますか?」と客席に問いかけると、多くの手が挙がった。これを受けて小形プロデューサーが「いざと言う時はハセガワさんがベルリをやればいいんじゃない?」と言うと、石井氏は「歌声と演じている時の声は違いますから!」と必至に反論。さらに、BGMとして流れていた「Gの閃光」がいつの間にか石井マーク歌唱バージョンに変わるというまさかの展開も。これには石井氏も大慌てだったが、吉田氏は「ベルリっぽい」と笑っていた。
富野総監督はハセガワ氏の歌声について「あのような歌い方をする人は、最近では珍しいと思っていた」ということで、「新しい方を探したいと思っていたらいきなり見つけてしまったという感じで、改めてお礼を申し上げます」とコメントした。
▲出演者による和気藹々としたトークが続く。
また、富野総監督は最近 ガンプラコンテストの審査をする機会もあったが、作品を見ていて「時代が変わった」と感じたそうで、「女性が参加するようになったことはびっくりしている。エンタメの楽しみ方が広くなったことを実感したので、勉強させてもらった」と語った。
優秀賞の作品については、「アレンジの仕方が自分の世代とかけ離れすぎていて、どうせならここまで行って欲しいというものを選んだ」とのこと。小形プロデューサーは「ちょっと行き過ぎている感じもある」と言っていたが、富野総監督はそのことを自覚しつつも「こういうのを見習って欲しいと思う。きっと次の形部、吉田が出てくるんじゃないのかなと思った」と続けた。
最後に、改めて「ここを見て欲しい」というポイントを聞かれると、石井氏は「ベルリがアイーダさんとの関係性を葛藤している部分を見ていただけると、より最終回が『ベルリくん頑張ったな』と思えるのでは」とコメント。
さらに、富野総監督は「吉田君はアニメーターの立場ですから、大画面での作り方は別にあるというプライドもあるでしょう」と前置きしつつ、「個々に力を持っているスタッフが手伝ってくれたことは、間違いなく画面から見えるはずです」と続ける。また、今回上映されたBlu-ray/DVD版はOA後に修正されたものだそうだが、「その部分を見ると、もう少し『G-レコ』の力というものが見えてくると思います」と挨拶をし、終始笑いの絶えないトークショーは幕を閉じた。
▲ロビーには『G-レコ』のパネル展示も!
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『ガンダム Gのレコンギスタ』Blu-ray・DVDの第1巻から最終第9巻は、バンダイビジュアルより好評発売中。価格はBlu-ray第1巻が6,000円(税抜)、DVD第1巻が3,800円(税抜)、2巻以降はBlu-rayが7,800円(税抜)、DVDが5,000円(税抜)。
また、GUNDAM Café秋葉原店で開催された「夜のG-レコ研究会」のアーカイブ配信が、iOS/Android向け無料アプリ「ガンダムチャンネル」にて実施中だ。
8月27日(木)に開催された「夜のG-レコ研究会 ~富野由悠季編~」では、小形プロデューに加え、富野由悠季総監督と石井マーク氏が登場しているので、ぜひともチェックしてみよう。
(ガンダムインフォ編集部)
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