「サンライズフェスティバル2015白南風」の『機動戦士Vガンダム』レイトショー上映は、9月1日(火)に新宿ピカデリーで開催された。
「サンライズフェスティバル」は、サンライズが誇る珠玉の名作や話題の新作を上映する毎夏恒例のアニメ上映イベントで、8月15日(土)から9月12日(土)にかけて、テアトル新宿、新宿ピカデリー、TOHOシネマズ新宿にて開催される。
『Vガンダム』レイトショーでは、作品公式サイトで実施された人気話数投票の上位4話が、9月25日(金)発売予定の「機動戦士Vガンダム Blu-ray Box II」に収録されるHDリマスター映像で上映されたことに加え、ウッソ・エヴィン役の阪口大助氏による挨拶も実施。
Blu-ray BOXの発売を記念して配信中の特別番組「週刊5分で分かる機動戦士Vガンダム」に出演中のアニメ評論家・藤津亮太氏による司会で、元々ガンダムファンだったという阪口氏ならではの濃厚なトークが繰り広げられた。
阪口氏が登場すると、まずは主役に決まった時の心境を振り返る話からスタート。
当時はオーディションを受けた後に合格通知もないまま台本を渡され、「ウッソ役だと聞いたのは本番直前だったので、嬉しいと思う時間のないまま緊張に突入してしまった」そうだ。また、「(『Vガンダム』の前に劇場公開していた)『F91』が『to be continued』だったので、完全にその続編でシーブックと絡むキャラかと思っていたら、全く違った」とも語った。
続いて話題は、阪口氏が「『Vガンダム』といえばこれを思い浮かべる人がいるくらい、アイコンになっているところもある」と語る“バイク戦艦”へ。
藤津氏が「ガンダムファンとして、“バイク戦艦”はどう思いましたか」と尋ねると、阪口氏は「僕は爆笑しました」と回答。「ドゥカー・イク本気だったんだ、この人本当にバイク好きだったんだ、と思って本当に面白かったけど、笑ってたら富野監督が怒ってスタジオに入ってきた」というエピソードも披露した。だが、放送から20年以上経って「アドラステア」を見た際は、「まだ面白いと思うけど、ちょっとかっこよかった」と感じたそうだ。また、藤津氏の「かっこいいものを2つ足してみたという、ある意味小学生のような発想」という言葉には、阪口氏も納得の様子。
一方富野由悠季総監督自身は、Blu-ray BOX IIのブックレットに収録されているインタビューで「バイク戦艦の評価が変わった。当時はあのかっこよさがわかっていなかった」と語っているそうだ。
さらに当時のアフレコの様子を尋ねられると、「笑えるくらい和やかな雰囲気だった」とのこと。新人も多かったため先輩が良い雰囲気を作ってくれていたが、時には和やかになりすぎて「戦争ものなんだよ」と怒られることもあったそうだ。
当時阪口氏はデビューしたばかりの19歳だったが、今改めて演技を見返してみると「全く見てられない。後半は真似しようとすればできる気もするけど、前半は今では絶対にできない」ということだった。
また、ウッソには印象的な台詞も多いが、「『母さんです』と『おかしいですよ、カテジナさん』はやたらと人に言われる」というほか、「『猫の目か狐目なんか!』と、ビームサーベルを出す瞬間に『こちらも!』と言った時に、『あ、ガンダムやってるんだな』と思った」など、富野総監督の独特の台詞回しについての話も。
他にも「クロノクルが寝ぼけたスージィに言った『ここはトイレじゃないぞ』がすごく好き」だそうで、「クロノクルの人の良さが全面に出ている。あの人が主人公でもいいくらい」とコメント。だが「当時は第三者的な視点で見る余裕は全くなくて、皆で『クロノクルってパンツマンだよな!』というバカバカしい話しかしていなかった。でも後からファンブックとかを見て、かわいそうだなと思った」そうだ。
作品内容についても後々気が付くことが多かったそうで、「当時は大局が見えていなくて、爺さんたちが何をやっているか正確にはわかっていなかった。でも今改めて見ると(13歳の子どもに戦わせていて)おかしな大人たちだと思う。ウッソに近い“巻き込まれ型”だった」と語った。
さらにウッソというキャラクターについては、歴代の主人公の中でも「大人にほぼ反抗しない、間違いなく一番良い子」とのこと。「ジュドーとは別の意味で良い子」との言葉には、藤津氏も「ジュドーは少年漫画の世界の住人みたいだけど、ウッソはもう少しリアルな世界に住んでますよね」と言う。また、ウッソにとってカテジナがどのような存在だったのかは、阪口氏もまだはっきりしていないとのことだったが「ウッソのような辺境の子どもからしたら、お嬢様のカテジナはすごく高嶺の花に見えたんだと思う」と語った。
そのカテジナはよくファンの間で「悪女」と言われるが、阪口氏はそう思ったことはないそうで「ガンダムシリーズの中には他にも裏切っている人はいるし、カテジナだけが特別悪いわけでない」とのことだった。またカテジナに関しては「カミーユのにおいがする」というコメントもあったが、好評発売中のBlu-ray BOX Iに映像特典として収録されている特別番組「週刊5分で分かる機動戦士Vガンダム 延長戦その1」でこのような話をしているそうだ。
最後に改めて、阪口氏が思う『Vガンダム』の魅力を聞かれると、「理不尽」と回答。「ここまであまりにも理不尽な作品は、他にはなかなかない。救いがあるようでなかったりするというところを見ていただければ」と語った。
そして「当時デビューして1年も経ってないド素人の僕が初めてキャラを頂いて、全身全霊込めて、音響監督の浦上さんと二人三脚でお芝居を付けた思い入れの強い作品です。楽しんでいただけたらと思います」とのコメントで、トークは終了した。
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「機動戦士Vガンダム Blu-ray BOX I」はバンダイビジュアルより好評発売中、「BOX II」は9月25日(金)発売予定。
なお、アニメ公式サイトでは無料配信特別番組「週刊5分で分かる機動戦士Vガンダム」が、引き続き配信中。
▼ 『機動戦士Vガンダム』公式サイト
http://www.v-gundam.net/
(ガンダムインフォ編集部)
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