最新作から話題のキットまで、人気のガンプラが集結する「ガンプラEXPO ワールドツアージャパン2013」が11月21日から24日に東京・秋葉原で開催された。会場では特別展示ブースに数々のガンプラがディスプレイされ、巨大スクリーンではガンプラを使った特別映像も上映。ガンプラワールドを体感できるイベントになっていた。
またトークイベントも行なわれ、最終日の24日には人気漫画「機動戦士ガンダム サンダーボルト」の作者・太田垣康男先生を迎えてのスペシャルトークイベントが実施された。
「サンダーボルト」は「ビックコミック スペリオール」(小学館)誌上で連載中の人気漫画。一年戦争のさなか、サンダーボルト宙域を舞台に知られざる戦いが描かれていく……というストーリー。本作は人気を博し、バンダイから1/144スケールHGシリーズでの商品化が決定。
ステージでは司会を声優の池澤春菜さん、バンダイ ホビー事業部の柿谷さんが務め、太田垣先生からお話を聞きつつ「サンダーボルト」の魅力に迫っていった。
「サンダーボルト」は一年戦争を背景にしつつ、MSのデザイン、ストーリーに太田垣先生による独自のアレンジが加えられている。そのため当初は商品化は予定されていなかった。
連載が展開されていく中で、ホビー事業部の開発陣が「サンダーボルト」のMSに注目し、「太田垣先生が描く漫画でのタッチを立体物にしたらどんなものができるだろう?」というところから始まって、今回の商品化につながっていったそうだ。
太田垣: | 商品化のお話をいただいて、正直驚きました。『サンダーボルト』は自由にやらせていただける作品だったんですよ。僕自身がガンプラ世代でもあって、人生が変わったひとりなんですが、今の時代を生きている自分の目で30数年前の作品を見てみると、どうしても稚拙に思えてしまう部分がある。デザインにも足りない部分があると感じてしまうんです。初恋の人が頭の中でどんどん美化されていくように、『ガンダム』も同じようにひとり歩きしてしまっていたんですね。 今回『ガンダム』を題材に漫画を描くにあたり、自分の記憶の中にあった『ガンダム』を形にしたいなと思ったんです。ファーストガンダムにあったテーマみたいなものも描きたいと。戦場に出ていく少年兵であったり、連邦とジオン双方を描くことで、戦争はどちらかに正義があるわけではないといったことを、改めて今の自分の感性で描いたらどうなるか? そういったことが漫画を描く出発点になりました。 |
太田垣先生は、漫画のアクションを考える際に、まず舞台を設定してからでないとアクションが成り立たないとも。
太田垣: | ステージの中でどうやって戦えばよりドラマチックになるのか、どういう装備をもてばよりリアルになるのか。ステージが決まることで物事を考えていくことができるので、“サンダーボルト宙域”という舞台を考えるのが実はいちばん大変だったんです。 |
この漫画独自の舞台として設定された“サンダーボルト宙域”。そこで戦うMSのデザインにも太田垣先生のこだわりが反映されている。
太田垣: | この漫画を描く以前に『MOONLIGHT MILE』という宇宙開発を題材にした作品を描いていたんです。そこで培った宇宙開発の知識をMSデザインにも反映して、リアルなギミックを取り入れていこうという思いはありました。 それに人型兵器であるガンダムやザクをMS(モビルスーツ)と呼ぶのも、ロボットではなく宇宙服の延長なんだという意味が含められていたからだと思います。それが作品を重ねるに従ってMSがロボット寄りのデザインになってしまっていると感じてもいたので、最初のコンセプトに立ち返ったという意味もあります。 |
たとえば「サンダーボルト」に登場するMSの関節は、細かいデブリの進入を防ぐ防塵カバーで覆われている。また宇宙空間は無重力であるため、バックパックが巨大になってもMSには支障なく移動できる。GMのバックパックも宇宙服のMMU(船外活動装置)のようでもある。
逆に「サンダーボルト」に登場するガンダムは悪役として描かれるため、人から外れた魔王のようでいて人に近い“あの顔”が必要というとらえ方をされているそうだ。
今回の商品開発では、防塵カバーが施された関節や、バックパックの表現が通常のガンプラとは異なっているため、それをどうキットで再現するかがポイントになっている。
「HGフルアーマーガンダム(サンダーボルト版)」、「HGジム(サンダーボルト版)」、「HG量産型ザク+ビッグガン(サンダーボルト版)」が12月28日(土)に同時発売予定。しかもパッケージアートを太田垣先生がすべて描き下ろしで手がけている。さらに単行本の第3集が2014年2月末ごろに発売予定で、今回は「限定版プラス・アン コミックス」も同時刊行。特典には「1/144ボール(サンダーボルト版)」が付属する。
太田垣: | サンプルを拝見して、どれもカッコよかったので自分でも組み上げたいですね。 自分はモデラーではなくて、イメージを皆さんに提示する側だと思うんですね。早くモデラーの方たちにこのキットを素材として使って、自分の中にあるカッコいいザクなりガンダムに塗装して改造して仕上げてもらいたいですね。 |
興味津々に完成品サンプルを見つめる池澤さんから「サンダーボルトのキットでプラモコンペを!」というアイデアも飛び出しつつ、太田垣先生からは「『サンダーボルト』の商品ラインナップはまだまだ続きます。私個人の野望としては映像化にまでもっていければと思っておりますので、ぜひ皆さんの支援をよろしくお願いします」という展望も語られ、トークイベントは終了した。
▲写真左から池澤さん、柿谷さん、太田垣先生、当日会場に来られていた「プラモ男子とプリチー女子-ミズオとイエナの一年戦争-」原作者のゆきもり先生、ホビー事業部開発の内田さん。
▲会場では太田垣先生がカラーイラストを描かれる様子をムービーで紹介。デジタル上で進める先生のやり方は通常の彩色とは異なり、一度モノクロイラストとして影の濃淡をすべて仕上げてから、色を付けていくというもの。真っ黒な画面からだんだんザクが浮かび上がっていくさまは、まるで黒い固まりから仏像を削りだしていくようだった
▼ 会場で上映されたムービーはこちら!
(ガンダムインフォ編集部)
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