本セミナーには、著者の音部大輔さん(株式会社クー・マーケティング・カンパニー 代表取締役)、田中準也さん(株式会社インフォバーン 代表取締役社長)、豊後祐紀さん(Lenovo Japan 合同会社 Gaming Project Manager)が登壇。
本書の執筆における裏話のほか、新年度に向けたビジネスパーソンの心構えなど、様々な話題について語られたので、その一部をレポートしていこう。
「新年度への態勢をガンダムでととのえる」レポート
メインで執筆を担当した音部さんは、原稿を書くうえで大切にしていたことについて「ガンダムの世界の出来事を現実に当てはめるのではなく、現実の事柄をガンダムを使って理解しやすくする」こととして、書籍の中で“ガンダムに学ぶ”という表現は使用しないように気をつけていたそう。また、本書で扱った数々のテーマは、普段の業務の中でよく質問されることだった、と明かした。
豊後さんは、記事内に使用する作中の場面の選定や内容チェックを担当。ほかの著者2名よりも20歳ほど年下のため、若者にも内容が理解できるのか?という視点でブラッシュアップを行った。
Lenovo Japan合同会社にてゲーミングPCのマーケティングを担当する豊後さんは、自身の業務におけるVUCAの事例として、「ゲーム人気が加熱する一方で、ゲームのプレイ時間を制限する条例が誕生するなど、ゲームを取り巻く環境は年々複雑になっています」と自身の経験を紹介。
音部さんは、リーダーとしてVUCAワールドに立ち向かう方法として「自分たちが“何を持っているのか”を意識することが大切です。自分たちが持っているものを見出すことができれば、競争に勝ちやすくなります」と説く。続けて「自分たちに不可欠な“ワンピース”を取りに行くことがVUCAワールドにおける戦略上の命題になる。アナベル・ガトーがGPシリーズを盗みに行ったのは、不可欠な資源だったから、という考え方もできる」と、ガンダムを交えて解説した。
また、新年度に向けた準備として「会社が掲げるパーパスと、SDGsのどの項目が一致するかを確認しておくだけでも、その後の活動が変わります」と、具体的な姿勢をアドバイスしていた。
音部さんは「ガンダムには、“プラモデルを作る”という楽しみ方もあれば、“ゲームをする”、“アニメを見る”、“漫画を読む”という多様な楽しみ方がありますが、どれもプラットフォームが別れていますよね。アニメを見ながらプラモデルを作る、くらいのことはできますが、アニメとマンガはどうか。異なるプラットフォームのコンテンツを行ったり来たりしたり、同時に楽しむことは現状では難しいですが、ガンダムを通して連携できれば、今まで経験したことのないようなガンダム体験がでてくるかもしれません」と未来への希望を語った。
田中さん「まだ、仮想空間の中では『GUNDAM FACTORY YOKOHAMA』のように、実物大の動くガンダムを見ながらハンバーガーを食べたりすることはできません。現実世界のことを仮想空間に置き換えるというよりも、現実ではできないようなことを仮想空間で実現するほうが夢があっていいのかな、と思います」と語った。
音部さんは「学者の友人が『未来予測は“そうそう当たるものではない”。しかし、想像を膨らませていれば、いざ何かが起きたとき、青天の霹靂ということはなくなるので、外れる予想でもしないよりはしておいたほうがいい』と話していました。私もそのとおりだと思うので、いろいろなことを想像しておくと良いのではないかと思います」と述べ、田中さんは「自分の思考や行動は自分のものでしかないですが、誰かの言葉を借りたり誰かの行動をトレースしてみると、違った判断ができるようになるな、と本書を作っていて感じました。『ランバ・ラルだったらどうするか?』『シャアならどうするか?』と考えることで、もし失敗しても気が楽になりますし、思考が広がるので、もしかしたら行動しやすくなるかもしれません」と、それぞれの立場から新年度を迎えるビジネスパーソンに向けたアドバイスを贈った。
最後に、3人がひとりずつユーモアも交えてコメントし、熱量と情報量に溢れたセミナーは終了した。
「本書は『機動戦士ガンダム』や『逆襲のシャア』の例が多かったかもしれませんが、私は『SEED』世代です。それでも通ずるところはあると思うので、私のような世代の方にも読んで頂けたらと思います」(豊後)
「実は本書は何度も校正をしたはずなのですが、先ほど本書の中で誤字を1箇所見つけてしまいました。間違い探し付きの構成となっておりますので、ぜひ探してみてください」(音部)
「この本が売れるとサンライズさんが喜ぶだけでなく、『ガンダムでわかる〇〇』シリーズとしてシリーズ化するので(笑)、ぜひ買ってください」(田中)
本書は、音部大輔さん・田中準也さん・豊後祐紀さんの3人で構成されるマーケターユニット「GMB」が、仕事をしていく上で発生するさまざまな課題をテーマに、マーケティング思考・マーケター視点を盛り込みながら、『ガンダム』をアナロジーあるいはメタファーとして解説してゆくビジネス書。
経営、戦略、リーダーシップ、ビジョン、プロフェッショナリズム、デザイン、人材育成、働き方など、ビジネスの現場に関わりの深いテーマを幅白く解説しており、難解と思われがちな現代のビジネス用語を理解するのに役立つ一冊となっているので、ぜひ手にとってみよう。
なお、本セミナーの様子はガンダム公式 YouTube チャンネル「ガンダムチャンネル」で近日配信予定となっているので、お楽しみに。
出版記念セミナー「新年度への態勢をガンダムでととのえる」開催概要
「Gundam Meets Business ガンダムでわかる現代ビジネス」出版記念セミナー「新年度への態勢をガンダムでととのえる」
【開催日時】
2022年3月26日(土)13:00~13:50
【会場】
GUNDAM FACTORY YOKOHAMA カンファレンスルーム
(神奈川県横浜市中区山下町279番25 山下ふ頭内)
【登壇】
・音部大輔(株式会社クー・マーケティング・カンパニー 代表取締役)
・田中準也(株式会社インフォバーン 代表取締役社長)
・豊後祐紀(Lenovo Japan 合同会社 Gaming Project Manager)
書籍概要
※冒頭26ページの試し読み、ご購入もこちらから!
定価:1,650円(税込)
判型・ページ数:46判・208ページ
著者:音部大輔、田中準也、豊後祐紀、ガンダムインフォ編集部
出版社:SBクリエイティブ
■目次
はじめに
第1章 ビジネスで大事な「戦略」のコツをガンダムで考える〈目的編〉
第2章 ビジネスで大事な「戦略」のコツをガンダムで考える〈資源編〉
第3章 大きな環境変化のときこそ重要視される「パーパス」をガンダムで語る
第4章 リーダーであってもなくても必要な「リーダーシップ」をガンダムで語る
第5章 リーダーシップを構成する5つの要素をガンダムで例える
第6章 ブランドの理解に不可欠な機能とベネフィット
第7章 正しく意思決定するために「OODA(ウーダ)ループ」をガンダムで理解する
第8章 競合の動きに踊らされることなく目的を遂行するには
第9章 イノベーションで勝利の栄光をつかむ前に必要なこと
第10章 個人のブランディングに必要なキャリア力を考える
第11章 VUCA(ブーカ)ワールドにリーダーはどう立ち向かえばよいか
第12章 VUCA時代にも有効なコ・クリエーションを考える
第13章 BtoBビジネスにおけるマーケティングをガンダムで説明する
第14章 BtoBビジネス:ピッチ(競争入札)における備えと構え
第15章 サービス・ドミナント・ロジック(SDL)をガンダムで考える
第16章 新規事業開発を任された。どうしたら生き延びることができるか?
第17章 ダイバーシティとインクルーシブネスをガンダムで理解する
第18章 組織人として、組織の中での振る舞い方をガンダムで考える
第19章 デジタルトランスフォーメーション(DX)を促進させる3つの大事なこと
第20章 ジョブ型雇用は組織人としての“革新”に迫ることができるか
第21章 SDGsを達成するために大切なことを『逆シャア』で考える (書き下ろし)
【番外編】
・映画『機動戦士ガンダム 閃光のハサウェイ』から学ぶ、変容する時代の見方
・AWA2021セッション『ブランド形成における参加と二次創作の重要性』からブランド論を学ぶ
・BACKSTAGE2018『ヒントは宇宙世紀にあり!二手、三手先を読みながら考える』
・GUNPLA EXPO TOKYO 2020 feat.GUNDAM conference ガンダムカンファレンスステージ『ガンダムビジネス&ガンダムブランド論《トークセッション》』
GMBとは
ガンダムをこよなく愛し、ガンダムでビジネスを語る、謎でもないマーケターユニット。
音部 大輔
株式会社クー・マーケティング・カンパニー 代表取締役。
17年間の日米P&Gを経て、欧州系消費財メーカーや資生堂などで、マーケティング組織強化やビジネスの回復・伸長を、マーケティング担当副社長やCMOとして主導。2018年より独立し、現職。消費財や化粧品をはじめ、輸送機器、家電、放送局、電力、D2C、医薬品、IP、BtoBなど、国内外の多様なクライアントのマーケティング組織強化やブランド戦略を支援。博士(経営学・神戸大学)。著書に『なぜ「戦略」で差がつくのか。』(宣伝会議)、『マーケティングプロフェッショナルの視点』(日経BP)、『The Art of Marketing マーケティングの技法』(宣伝会議)。
株式会社インフォバーン 代表取締役社長。
1990年クレディセゾン入社。その後ジェイアール東日本企画、電通、トランスコスモス、メトロアドエージェンシー、電通レイザーフィッシュを経て、2015年インフォバーン入社。2017年に取締役に就任。2021年より現職。マスからデジタルまで精通し、オンラインとオフラインを横断する総合的なマーケティング・コミュニケーションの設計から実行、及び新規事業開発・推進が得意。
豊後 祐紀
Lenovo Japan 合同会社 Gaming Project Manager。
30歳。デジタルマーケティング支援会社、読売広告社 シンガポール支店、DMM.com(現 DMM GAMES)でeスポーツ(PUBG JAPAN SERIES)のマーケティングマネジャーを経て、Lenovo Japan入社。ゲーミングPC(LEGION、IdeaPad Gaming)事業のマーケティングリードとして、自社ブランドの向上に日々研鑽している。
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