▲左上から形部さん、安田さん。下が仲プロデューサー
絶賛公開中の劇場版『Gのレコンギスタ III』「宇宙からの遺産」の大ヒットを記念して、8月25日(水)に東京・新宿ピカデリーにて、スタッフトーク「メカ編」が開催された。
本トークには、本作の主人公機であるG-セルフのデザインを担当した安田 朗さんと、G-アルケインをはじめ数多くのモビルスーツのデザインを担当した形部一平さんがリモートにて参加。司会進行を仲 寿和プロデューサーが担当し、メカデザインの立場から見た本作の見所をじっくりと語るイベントとなった。
それでは早速、富野由悠季総監督とのエピソードも披露され大盛り上がりとなったイベントの様子をレポートしていこう。
本トークには、本作の主人公機であるG-セルフのデザインを担当した安田 朗さんと、G-アルケインをはじめ数多くのモビルスーツのデザインを担当した形部一平さんがリモートにて参加。司会進行を仲 寿和プロデューサーが担当し、メカデザインの立場から見た本作の見所をじっくりと語るイベントとなった。
それでは早速、富野由悠季総監督とのエピソードも披露され大盛り上がりとなったイベントの様子をレポートしていこう。
劇場版『G-レコ III』スタッフトークメカ編レポート
安田さんと形部さんはそれぞれの仕事場からリモート参加ということで、壇上には仲プロデューサーひとりが立ち、劇場のスクリーンに2人の顔が見えるような形でスタッフトークがスタート。
まずは、2人が『G-レコ III』の率直な感想を語る。安田さんは「僕は『G-レコ III』は劇場に2回観に行きました。アイーダさんとベルリの関係、じつは2人は姉弟だったということが判るシーンで、TVシリーズではベルリがそのあと自棄になって戦いに行ったのが、劇場版では股間を押さえながら叫びますよね。あの新作カットは良かったですね。そのシーンがあったおかげで、『G-レコ III』は完全に成功すると思ったので、僕にとっては最高の見せ場でした。その一方で、G-セルフがカッコイイシーンが多かったです。特に最後の方、クレッセント・シップに乗るまでのアクションが矢継ぎ早で、滅茶苦茶充実していてすごく良かったです」と振り返った。
形部さんは「今回はノレドが可愛いと思いましたね。『G-レコ』のキャラクターはみんなエキセントリックな感じで、それがリギルド・センチュリーの雰囲気を醸し出していると思うんですが、その中でもノレドはひとりだけ、自分たちに近い感覚の古風な女の子という感じがしていて。彼女が画面に出てくると安心感みたいなものを感じました。また、アイーダさんが心情を吐露する場面も増えてきて、独りよがり感が減ってきている感じも嬉しかったです。メカに関しては、やはりガイトラッシュの活躍が派手でしたね。ガイトラッシュは第4部に持ち越しになっているので、あのラストシーンの活躍を第4部の冒頭にも入れてもらえると嬉しいです。あと、山根(公利)さんがデザインされたポリジットが緑色に塗られてクレッセント・シップの護衛のように登場したのが、メカ的には地味に一番驚きました」と、2人ともにキャラクターとメカの印象深いシーンを披露した。
続いて、劇場版からG-セルフの目が多重構造であることが表現され、瞳のように見えるようになったことについて、安田さんは「瞳の構造に関しては設定画の段階では“ちょっとだけ見えるかも”という程度で描いていたんですが、劇場版ではそれを入れることになりました。そこで設定を改めて描いています。実際に瞳を入れてみると、それだけで見応えが2倍になったように感じて、“さすが、富野監督!”と思いましたね」と語る。
仲プロデューサーも「目が入っているのに見慣れてしまうと、TVシリーズの方に違和感を感じてしまいますね」と、見映えが良くなった印象を付け加える。
形部さんも「安田さんから、瞳が多層構造になっている指示があったじゃないですか。それが撮影で見事に再現されていて、アップになった時もかなり良いですよね」と映像表現を絶賛。
安田さんも「G-セルフは目が大きいことが特徴だと自分でも思っていながらも、監督に瞳を入れて欲しいとは言わなかったんです。それでもきちんと“瞳”に着目して、僕ができなかったことをきちんとやってくれた富野監督は、やはり凄いなと思いましたね」と、富野監督の細かいこだわりに感謝の気持ちを語っていた。
続いての質問は「劇場版があるんだったら、もうちょっとデザインを描き足したかったという思いはありましたか?」。
安田さんは「もう、たくさんありました。G-セルフの高速パックとマリンパックは入れたいと思っていたんですが、TVシリーズの時にこちらが数多く提案したことで、怒られたことがあったんです。それで、富野監督の演出の疾走感の邪魔をしたのではないかと……。そういう意味では、劇場版は今ある材料でどこまで富野監督の演出が走るのかを観たかったというのはあります。だから、あえて何も足さない方が良かったんじゃないかと思いましたね」と、TVシリーズでの反省をもとに判断したとのこと。
形部さんは「僕は勝手にデザインを出し過ぎた立場なので、既にメカの数が過多になっている部分もあると思うんです。だだ、ひとつだけ思うのは、カバカーリーのバックパックは、ラストバトルの時にG-セルフのパーフェクトパックと張り合えるよう、変えても良かったかなと思っています」と、TVシリーズ後半のデザインについて「当時こうできていればと良かった」という希望を語ってくれた。
安田さんは、G-セルフのバックパックのデザインが増えた理由については、このように語っている。
「富野監督と話している時、“俺のシナリオは、どんなメカを出してもそのシーンにちゃんと入れられるようになっているんだ”とすごく自慢されたので、“だったら、いくらでも増やそう”と、たくさん提案をしたんです。そうしたら、怒られたんですよね(笑)。それは僕がデザインを上げるのが遅かったというのもあるんですが……」と、富野監督との当時のやり取りを振り返った。
そして話題は入場者プレゼントとして配布された、形部さんによるグリモアとカットシーが描かれたクリアファイルのイラストについて。このイラストはもともと、形部さんがTVシリーズの際に「アイキャッチ用に使ってみては?」と提案されたもの。
「TVシリーズの時のメカ打ち合わせの後に、宿題が出ることがよくありまして。例えば、“ハロビーに関して、何かアイデアは無いか?”とか、“タイトルロゴを描かないか?”とか、その都度乗っかって描きまして。アイキャッチ用のイラストもその時に出たものですね。タイトルロゴはみんなが見た瞬間“これ、『エヴァンゲリオン』にそっくりじゃない?”と言われて、すぐに却下されたのは覚えています」と、形部さんは振り返る。
なお、クリアファイルには、話題に出たロゴがそのまま使用されているので、入手した人はぜひ確認してみよう。
続いては、まだ発売日が決定していない『G-レコ III』のBlu-rayとDVDのパッケージについて。
パッケージイラストは形部さんの担当となることが決まっており、仲プロデューサーから形部さんに「久々にパッケージ用に『G-レコ』のメカを描いてみた」ことについての感想が求められた。
形部さんは「第3部では、宇宙用のジャハナムを描いています。『G-レコ III』で言えば、ガイトラッシュとかがパッケージになるのかなと思っていたんですが、“強めのパイロットくくり”みたいになっているのかなと思って描かせていただきました。また、店舗特典用に小さい色紙みたいなものも描かせていただいたんですが、そちらではモンテーロを描きまして、クリム縛りで描いたという感じです。宇宙用ジャハナムは、今見ると肩の関節は“こうしたかったな”というのは、やっぱり時間が経つと思ったりしますね」と答えた。
その後、安田さんから自身がデザインを担当したモビルスーツのレクテン、そしてG-セルフのコックピットについての思い出が語られた。
「レクテンは、身長の設定が17mに設定されているんですが、本当は15mにしたかったですね。富野監督からは“復座にして欲しい”と言われたので、2人乗りだからと大きくしたんですが、そういう場面は全然出て来ないです(笑)。G-セルフは1人乗りなのに4人も乗ったりしていますが(笑)」と、富野監督のメカデザインの発注時と映像演出時の使われ方の違いについて触れると、仲プロデューサーも「コックピットに複数人数を乗せる演出を富野監督はよくやるけれど、なぜか複数乗りの機体ではそれをやらないですね」と富野監督のちょっと気になる演出の好みを披露する。
さらに安田さんは、「G-セルフのコックピットは僕的にカッコ良く描いたんですが、富野監督から“こんなコックピットに乗るのは地獄だ”と言われて。最終的にいろんな部分を取り払ったんですが、映像を観たら“たくさん人を入れたかったんだな”って思いましたね(笑)。富野監督に聞くと“宇宙空間では下手をすると何日も漂流することになるかもしれないから、その中で人間が生きていくためにはある程度の広さが必要なんだ”とも言っていましたね」と監督とのやり取りの思い出を語った。
そうした話をしているところで、スタッフトークも終了の時間に。「これだけは言っておきたいということはありますか?」という問いに対して、安田さんは「富野アニメのメカアクションは本当にカッコイイですね。大きな流れの中に小さな流れがある構成が本当に素晴らしいです」とコメント。
そして、最後には3人からメッセージで、スタッフトークは締めくくられた。
「『G-レコ III』の上映もおよそ今週いっぱいというとこで、ここまでお付き合いいただきありがとうございました。この後、第4部、第5部と続いていきますので、その時はまた劇場に来ていただければと思います。今回はありがとうございました」(仲プロデューサー)
「このご時世の中、劇場まで足を運んでいただいたことは、すごくありがたいです。まだ、第4部と第5部が残っていて、しかも第4部はかなり変わっているともお聞きし、ジット団も登場して大きな流れになるようですので、僕も皆さんと一緒に『G-レコ』の劇場版を楽しみたいと思っています。これからもよろしくお願いいたします」(形部)
「本日は『G-レコ III』を観ていただき、ありがとうございました。第4部に関しては全然知らないんですが、新作パートがすごく多いという噂を聞いています。TVシリーズの分量ならば、第4部で最終回に行きそうな雰囲気ですが、それが実際にはどうなるのか?すごく興味があるので、みなさんと一緒に公開を楽しみにしています。本日はありがとうございました」(安田)
まずは、2人が『G-レコ III』の率直な感想を語る。安田さんは「僕は『G-レコ III』は劇場に2回観に行きました。アイーダさんとベルリの関係、じつは2人は姉弟だったということが判るシーンで、TVシリーズではベルリがそのあと自棄になって戦いに行ったのが、劇場版では股間を押さえながら叫びますよね。あの新作カットは良かったですね。そのシーンがあったおかげで、『G-レコ III』は完全に成功すると思ったので、僕にとっては最高の見せ場でした。その一方で、G-セルフがカッコイイシーンが多かったです。特に最後の方、クレッセント・シップに乗るまでのアクションが矢継ぎ早で、滅茶苦茶充実していてすごく良かったです」と振り返った。
形部さんは「今回はノレドが可愛いと思いましたね。『G-レコ』のキャラクターはみんなエキセントリックな感じで、それがリギルド・センチュリーの雰囲気を醸し出していると思うんですが、その中でもノレドはひとりだけ、自分たちに近い感覚の古風な女の子という感じがしていて。彼女が画面に出てくると安心感みたいなものを感じました。また、アイーダさんが心情を吐露する場面も増えてきて、独りよがり感が減ってきている感じも嬉しかったです。メカに関しては、やはりガイトラッシュの活躍が派手でしたね。ガイトラッシュは第4部に持ち越しになっているので、あのラストシーンの活躍を第4部の冒頭にも入れてもらえると嬉しいです。あと、山根(公利)さんがデザインされたポリジットが緑色に塗られてクレッセント・シップの護衛のように登場したのが、メカ的には地味に一番驚きました」と、2人ともにキャラクターとメカの印象深いシーンを披露した。
続いて、劇場版からG-セルフの目が多重構造であることが表現され、瞳のように見えるようになったことについて、安田さんは「瞳の構造に関しては設定画の段階では“ちょっとだけ見えるかも”という程度で描いていたんですが、劇場版ではそれを入れることになりました。そこで設定を改めて描いています。実際に瞳を入れてみると、それだけで見応えが2倍になったように感じて、“さすが、富野監督!”と思いましたね」と語る。
仲プロデューサーも「目が入っているのに見慣れてしまうと、TVシリーズの方に違和感を感じてしまいますね」と、見映えが良くなった印象を付け加える。
形部さんも「安田さんから、瞳が多層構造になっている指示があったじゃないですか。それが撮影で見事に再現されていて、アップになった時もかなり良いですよね」と映像表現を絶賛。
安田さんも「G-セルフは目が大きいことが特徴だと自分でも思っていながらも、監督に瞳を入れて欲しいとは言わなかったんです。それでもきちんと“瞳”に着目して、僕ができなかったことをきちんとやってくれた富野監督は、やはり凄いなと思いましたね」と、富野監督の細かいこだわりに感謝の気持ちを語っていた。
続いての質問は「劇場版があるんだったら、もうちょっとデザインを描き足したかったという思いはありましたか?」。
安田さんは「もう、たくさんありました。G-セルフの高速パックとマリンパックは入れたいと思っていたんですが、TVシリーズの時にこちらが数多く提案したことで、怒られたことがあったんです。それで、富野監督の演出の疾走感の邪魔をしたのではないかと……。そういう意味では、劇場版は今ある材料でどこまで富野監督の演出が走るのかを観たかったというのはあります。だから、あえて何も足さない方が良かったんじゃないかと思いましたね」と、TVシリーズでの反省をもとに判断したとのこと。
形部さんは「僕は勝手にデザインを出し過ぎた立場なので、既にメカの数が過多になっている部分もあると思うんです。だだ、ひとつだけ思うのは、カバカーリーのバックパックは、ラストバトルの時にG-セルフのパーフェクトパックと張り合えるよう、変えても良かったかなと思っています」と、TVシリーズ後半のデザインについて「当時こうできていればと良かった」という希望を語ってくれた。
安田さんは、G-セルフのバックパックのデザインが増えた理由については、このように語っている。
「富野監督と話している時、“俺のシナリオは、どんなメカを出してもそのシーンにちゃんと入れられるようになっているんだ”とすごく自慢されたので、“だったら、いくらでも増やそう”と、たくさん提案をしたんです。そうしたら、怒られたんですよね(笑)。それは僕がデザインを上げるのが遅かったというのもあるんですが……」と、富野監督との当時のやり取りを振り返った。
そして話題は入場者プレゼントとして配布された、形部さんによるグリモアとカットシーが描かれたクリアファイルのイラストについて。このイラストはもともと、形部さんがTVシリーズの際に「アイキャッチ用に使ってみては?」と提案されたもの。
「TVシリーズの時のメカ打ち合わせの後に、宿題が出ることがよくありまして。例えば、“ハロビーに関して、何かアイデアは無いか?”とか、“タイトルロゴを描かないか?”とか、その都度乗っかって描きまして。アイキャッチ用のイラストもその時に出たものですね。タイトルロゴはみんなが見た瞬間“これ、『エヴァンゲリオン』にそっくりじゃない?”と言われて、すぐに却下されたのは覚えています」と、形部さんは振り返る。
なお、クリアファイルには、話題に出たロゴがそのまま使用されているので、入手した人はぜひ確認してみよう。
続いては、まだ発売日が決定していない『G-レコ III』のBlu-rayとDVDのパッケージについて。
パッケージイラストは形部さんの担当となることが決まっており、仲プロデューサーから形部さんに「久々にパッケージ用に『G-レコ』のメカを描いてみた」ことについての感想が求められた。
形部さんは「第3部では、宇宙用のジャハナムを描いています。『G-レコ III』で言えば、ガイトラッシュとかがパッケージになるのかなと思っていたんですが、“強めのパイロットくくり”みたいになっているのかなと思って描かせていただきました。また、店舗特典用に小さい色紙みたいなものも描かせていただいたんですが、そちらではモンテーロを描きまして、クリム縛りで描いたという感じです。宇宙用ジャハナムは、今見ると肩の関節は“こうしたかったな”というのは、やっぱり時間が経つと思ったりしますね」と答えた。
その後、安田さんから自身がデザインを担当したモビルスーツのレクテン、そしてG-セルフのコックピットについての思い出が語られた。
「レクテンは、身長の設定が17mに設定されているんですが、本当は15mにしたかったですね。富野監督からは“復座にして欲しい”と言われたので、2人乗りだからと大きくしたんですが、そういう場面は全然出て来ないです(笑)。G-セルフは1人乗りなのに4人も乗ったりしていますが(笑)」と、富野監督のメカデザインの発注時と映像演出時の使われ方の違いについて触れると、仲プロデューサーも「コックピットに複数人数を乗せる演出を富野監督はよくやるけれど、なぜか複数乗りの機体ではそれをやらないですね」と富野監督のちょっと気になる演出の好みを披露する。
さらに安田さんは、「G-セルフのコックピットは僕的にカッコ良く描いたんですが、富野監督から“こんなコックピットに乗るのは地獄だ”と言われて。最終的にいろんな部分を取り払ったんですが、映像を観たら“たくさん人を入れたかったんだな”って思いましたね(笑)。富野監督に聞くと“宇宙空間では下手をすると何日も漂流することになるかもしれないから、その中で人間が生きていくためにはある程度の広さが必要なんだ”とも言っていましたね」と監督とのやり取りの思い出を語った。
そうした話をしているところで、スタッフトークも終了の時間に。「これだけは言っておきたいということはありますか?」という問いに対して、安田さんは「富野アニメのメカアクションは本当にカッコイイですね。大きな流れの中に小さな流れがある構成が本当に素晴らしいです」とコメント。
そして、最後には3人からメッセージで、スタッフトークは締めくくられた。
「『G-レコ III』の上映もおよそ今週いっぱいというとこで、ここまでお付き合いいただきありがとうございました。この後、第4部、第5部と続いていきますので、その時はまた劇場に来ていただければと思います。今回はありがとうございました」(仲プロデューサー)
「このご時世の中、劇場まで足を運んでいただいたことは、すごくありがたいです。まだ、第4部と第5部が残っていて、しかも第4部はかなり変わっているともお聞きし、ジット団も登場して大きな流れになるようですので、僕も皆さんと一緒に『G-レコ』の劇場版を楽しみたいと思っています。これからもよろしくお願いいたします」(形部)
「本日は『G-レコ III』を観ていただき、ありがとうございました。第4部に関しては全然知らないんですが、新作パートがすごく多いという噂を聞いています。TVシリーズの分量ならば、第4部で最終回に行きそうな雰囲気ですが、それが実際にはどうなるのか?すごく興味があるので、みなさんと一緒に公開を楽しみにしています。本日はありがとうございました」(安田)
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