2007年11月20日 (火)
第19話「ランバ・ラル特攻!」
第17話から第20話まで、サブタイトル前にはガンダムの空中換装シーンが紹介される。アムロが脱走したあたりのものは、よく聞くとナレーション内容がだいぶ苦しい。おそらく「毎回一度の合体シーン」が「義務」だった時期であろう。
【ガンダムとアムロの関係】
ガンダムを無断で持ち出してしまったアムロ。その結果、アムロが大事かガンダムが大事か、本質をめぐる混乱が生じてしまった。それは、アムロがサバイバルの結果として乗り合わせた「仲間」と考えれば答えは自明なのだが、ここでも「戦争」をしている厳しさが重くのしかかる。
ハモンは「人」を見抜いた上ですっと懐に入るような如才ない女性として描かれている。そんな風に部下にも信頼されているから、ラルも仕事に集中できるわけだ。そんな人間性が、鋭い視線だけでアムロの人格を一瞬にして見抜くところに描かれている。
【ガンタンクの強制排除】
キャタピラを破損したガンタンクはハヤトの提案で上半身を強制排除し、リュウがコア・ファイターでギャロップと交戦中のアムロを迎えに行く展開となる。この強制排除は、第21話でリュウが取る行動の伏線にもなっている。
これまで正規軍人でないアムロは、敵のことを人間と認識すると攻撃できなくなるということがたびたび描かれてきた。さらにこの第19話では、アムロは敵MSの操縦席には人格をもつ相手がいることを認知する。さらにアムロの戦闘スキル向上はラルも認めるレベルになった。こうした成長物語の手応えが、今回の最重要ポイントである。
【セリフの差異】
この回で注目して欲しいのは、アムロの回想に2度出てくるラルのセリフである。レストランで出逢った時、そして捨てゼリフを残して去る時、実際にラルが話した言葉とアムロの記憶で回想される言葉の内容は、かなり異なっている。こうしたところにも、主観的な現実感を重視する演出方針がよく反映されている。
氷川竜介(アニメ評論家)
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