機動戦士ガンダム0083 STARDUST MEMORY
【OVA】全13話
1991年5月23日~1992年9月24日発売
ストーリー
未だに一年戦争の傷跡が残る宇宙世紀0083年、核弾頭装備のガンダム試作2号機がジオン公国軍残党に強奪される事件が起こる。地球連邦軍テストパイロットのコウ・ウラキは、ガンダム試作1号機に乗り込み、試作2号機を奪ったアナベル・ガトーと事件を画策したデラーズ・フリートを追う戦いに身を投じることになる。その中でコウは、アナハイム・エレクトロニクス社のシステムエンジニア、ニナ・パープルトンと惹かれ合い、さらに挫折や葛藤を乗り越えることで、パイロットの才能を開花させると同時に人間としても成長していく。だが、コウたちの奮戦も空しく、デラーズ・フリートは試作2号機で地球連邦軍の観艦式を襲撃し、それを陽動とした地球へのコロニー落とし――「星の屑作戦」を敢行する。信念と欺瞞、そして策謀が入り乱れる状況の中、ガンダム試作3号機という武器を手にしたコウたちは、コロニー落としを阻止する戦いに挑むのだった。
スタッフ
[企画]サンライズ
[原作]矢立 肇、富野由悠季
[キャラクターデザイン・総作画監督]川元利浩
[モビルスーツ原案]大河原邦男
[メカニカルスタイリング]河森正治
[メカニカルデザイン]カトキハジメ、明貴美加、石津泰志
[美術監督]東 潤一
[総メカニカル作画監督]佐野浩敏
[音楽]萩田光男
[監督]加瀬充子(第1~7話)、今西隆志(第2~13話)
キャスト
[コウ・ウラキ]堀川 亮
[ニナ・パープルトン]佐久間レイ
[アナベル・ガトー]大塚明夫
[エイパー・シナプス]大塚周夫
[サウス・バニング]菅原正志
[チャック・キース]山田義暒
[モーラ・バシット]伊倉一恵
[シーマ・ガラハウ]真柴摩利
[エギーユ・デラーズ]小林清志
キャラクター
コウ・ウラキ
地球連邦軍トリントン基地に所属するテストパイロットで、幼さの残る19歳の新米少尉。ガンダム試作2号機強奪事件でガンダム試作1号機に乗り込んだことから、デラーズ・フリートを巡る騒乱に引き込まれる。戦いの中でニナと心を通わせていく一方、ガトーとは因縁を深めていく。また、メカニックの理解力に優れ、やがてはガトーに比肩するパイロットへと成長していった。
ニナ・パープルトン
「ガンダム開発計画」に携わるアナハイム・エレクトロニクス社のシステムエンジニアで、年齢は21歳。試作ガンダムの専任スタッフとしてアルビオンに同乗して事件に遭遇し、その後は自らの意思でアルビオンに留まった。いち早くコウの才能を見抜いて彼のサポートに務め、徐々に彼に惹かれていくも、かつての恋人であったガトーとの狭間で思い悩むことになる。
アナベル・ガトー
かつて「ソロモンの悪夢」と称された旧ジオン公国軍のエースパイロット。階級は少佐で年齢は25歳。スペースノイドの独立というジオン公国の大義に命を懸ける実直な人物で、デラーズに心酔してデラーズ・フリートに参加、ガンダム試作2号機の強奪を実行した。当初はコウを歯牙にもかけなかったが、やがては成長した彼を好敵手と認めるようになる。
エイパー・シナプス
強襲揚陸艦アルビオンの艦長を務める地球連邦軍大佐で、年齢は45歳。判断力に優れるベテランの軍人で、経験の浅いコウに試作1号機を任せるなど柔軟な思考も持ち合わせている。試作2号機の追撃任務を受け、孤立無援の状況の中でアルビオン隊の指揮を執った。
サウス・バニング
トリントン基地でMS試験中隊を束ねる歴戦のパイロットで、年齢は39歳。コウたちの上官にあたる地球連邦軍大尉で、優れたMS操縦技術と戦術眼、さらに人間としての器の大きさによって厚い信頼を集めていた。自らの衰えを感じながらも、アルビオン隊の中核として戦いに臨んだ。
チャック・キース
士官学校時代からコウと友人関係にある地球連邦軍のテストパイロット。階級は少尉で年齢は20歳。コウとともにアルビオン隊の一員となり、デラーズ紛争の渦中に身を投じる。軟派で気弱な面もあるが明るく人懐こい性格で、戦いの中で思い悩むコウを支えた。
モーラ・バシット
アルビオンの整備班をまとめ上げるメカニック。階級は中尉で年齢は25歳。大柄な女性で腕っぷしも強いが、周囲の人間に気を配る細やかさを持ち合わせている。ニナとは仲が良く、コウとガトーの間で苦悩する彼女の様子の変化にいち早く気付いた。
シーマ・ガラハウ
一年戦争後の海賊行為でその名を知られた海兵部隊「シーマ艦隊」を率いる旧ジオン公国軍中佐。実利のみを求める人物でガトーには忌み嫌われたが、部下からは慕われている。デラーズ・フリートに参加するも、裏で地球連邦軍高官と接触して策謀を巡らせる。
エギーユ・デラーズ
デラーズ・フリートを結成した旧ジオン公国軍将官で、階級は中将。ギレン・ザビの信奉者で、ジオン公国の再興とスペースノイドの独立を実現するため、「星の屑作戦」を画策する。シーマの目論見に気付きながらもあえて同志に引き入れるなど、清濁併せ呑む度量の持ち主だった。
メカニック
RX-78GP01 ガンダム試作1号機
「ガンダム開発計画」によって試作されたアナハイム・エレクトロニクス社製ガンダム・タイプMS。コードネーム“ゼフィランサス”。RX-78 ガンダムの設計思想を継承した白兵戦用MSで、コア・ブロック・システムなどの既存技術を受け継ぎつつ、初歩的なムーバブル・フレームやEパック式ビーム・ライフルといった新技術を導入した画期的な機体となっている。
RX-78GP01-Fb
ガンダム試作1号機フルバーニアン
コア・ファイターIIの換装によって宇宙戦に対応したガンダム試作1号機の仕様変更機。空間戦闘に特化したユニバーサル・ブースト・ポッドの装備などによって、機動性の向上を図っている。さらに、実戦での試作1号機の大破を受けて、当初の予定を超える大幅な改装が加えられたことで、想定以上の性能を獲得するに至った。
RX-78GP02A ガンダム試作2号機
「ガンダム開発計画」によって試作されたアナハイム・エレクトロニクス社製ガンダム・タイプMS。MSによる核兵器の運用をコンセプトとする機体で、核爆発に耐えうる防御性能と核弾頭を確実かつ速やかに運搬する機動性が付与されている。その反面、アトミック・バズーカ以外の兵装は、ビーム・サーベルとバルカン砲しか装備されていない。コードネーム“サイサリス”。
RX-78GP03 ガンダム試作3号機
「ガンダム開発計画」によって試作されたアナハイム・エレクトロニクス社製ガンダム・タイプMS。コードネーム“デンドロビウム”。各種兵装を搭載したアームドベース“オーキス”に、中枢となるガンダム・タイプMS“ステイメン”を組み込んだ巨大機動兵器で、拠点防衛を想定した機体である。
RX-78GP03S
ガンダム試作3号機ステイメン
ガンダム試作3号機“デンドロビウム”のコアモジュールとなるガンダム・タイプMS。全天周囲モニターとリニア・シートや、クロー・アームが内蔵された腕部構造などが採用されており、試作3号機の火器管制システム兼脱出ブロックとして機能する。
RGM-79C ジム(改)
一年戦争終戦間際に開発されたジムの改修機。ジムの後期生産型に全面的な改修を加えることで性能向上が図られており、デラーズ紛争当時には地球連邦軍の主力MSとして運用された。地上用と宇宙用の2種類が存在する。
RGM-79 パワード・ジム
新型MS開発のためのデータ収集を目的として、ジム改をベースに製作された実験機。「ガンダム開発計画」の副産物である大型バックパックと脚部ショック・アブソーバーを装備し、ジム改に比較して30%の出力向上を達成していた。
RGM-79N ジム・カスタム
エースパイロット向けの高性能主力MSとして開発されたジム系列機。ジム改などの優れた後発機種をベースとして、アレックスの技術を転用することで、バランスの取れたジム系列機の特性とガンダム・タイプMSの高性能を兼ね備えた機体となっている。
MS-06F-2 ザクIIF2型
ジオン公国軍が一年戦争後期に開発したザクIIF型の改修機。機体の軽量化とスラスター推力の増強による機動性向上が主な改修点で、ベース機の優れた生産性も維持されている。戦後も旧ジオン公国軍残党が多数を保有し、一部の機体にはアップリケ・アーマーの装備などといった現地改修が施された。
MS-09F/TROP ドム・トローペン
砂漠地帯での運用を想定し、ドム・トロピカル・テストタイプのデータを基にして一年戦争後期に開発されたドム系列機。ホバー走行による高い地上走破性と優れた防塵性能、幅広い兵装運用能力を有し、戦後の旧ジオン公国軍残党にも運用された。
YMS-16M ザメル
長距離砲撃戦を目的とするジオン公国軍の試作重MS。680mmカノン砲による火力支援を運用の主眼に置いた機体で、巨大化によって歩行移動が困難となったためホバー・システムを採用している。その設計はMSというよりも移動砲台に近い。
MS-14F ゲルググM
ジオン公国軍が一年戦争末期に開発した、海兵上陸部隊(海兵隊)仕様のゲルググ改修機。ビーム・ライフルに換えて実体弾系兵装を採用することで運用性と生産性を高め、プロペラント・タンクやナックル・シールドの装備によって幅広い作戦行動への対応を可能としている。
MS-14Fs ゲルググM(指揮官用)
ゲルググMをベースに指揮官用のカスタム化を施した機体。各部に姿勢制御用バーニアを増設し、脚部にはスラスターを追加。プロペラント・タンクも最大4基に増設することで、空間機動性と作戦遂行時間の向上を図っている。また、主兵装はビーム・マシンガンに変更されている。
MS-09R-2 リック・ドムII
一年戦争末期に開発されたリック・ドムの改修機。「統合整備計画」に基づき、宇宙戦仕様機として未成熟だったリック・ドムの設計を全面的に見直した機体で、優れた性能を有していた。一年戦争での運用実績は少ないが、デラーズ紛争において多数が投入された。
MA-06 ヴァル・ヴァロ
一年戦争末期にジオン公国軍が開発したMA。ビグロの発展機として設計され、様々なジオン公国軍製MAから要素を取り入れることで多機能化を図っている。プラズマ・リーダーと呼ばれる広域制圧兵装を備える点も特徴。
MS-21C ドラッツェ
デラーズ・フリートが独自に開発した宇宙用MS。欠損機となったザクIIF2型と宇宙戦闘機ガトルのパーツを流用した再設計機で、脚部をスラスター・ユニットに換装した設計はMAに近い。推力は高いが武装は貧弱で、主に哨戒任務や撹乱に運用された。
AMA-X2 ノイエ・ジール
アクシズに逃れた旧ジオン公国軍残党が開発し、先遣艦隊を通じてデラーズ・フリートに譲渡された宇宙用大型MA。ビーム系兵装を主体とした絶大な火力と大推力に支えられた機動性、Iフィールドによる防御性能を誇る。さらに、有線クロー・アームによるオールレンジ攻撃も可能で、単機での拠点防衛・制圧を可能としている。
AGX-04 ガーベラ・テトラ
「ガンダム開発計画」の一環で開発された機体を改修して誕生した強襲用MS。オプション装備のシュツルム・ブースターによって機動力を高め、それによって強襲戦闘を成立させるというコンセプトに基づいて設計されている。裏取引によってシーマ艦隊に密かに譲渡された。
作品解説
『機動戦士ガンダム0080 ポケットの中の戦争』に続くガンダムのOVA作品第2弾。『機動戦士ガンダム』から『機動戦士Ζガンダム』までの歴史の空白を埋める物語となっている。ドラマティックなストーリー展開と濃密なキャラクター表現が特徴であり、ニュータイプの概念は登場しないが、宇宙世紀の世界観を補完する設定や描写が作中に多く見られる。また、ガンダムが敵味方に分かれて戦うという構図が初めて取り入れられ、3機のガンダムをはじめとする緻密な設定に基づいたメカニックデザインが人気を博した。
世界観
一年戦争終結後、地球連邦軍は疲弊した組織を立て直すために「連邦軍再建計画」を推進。その中で「ガンダム開発計画」が実行に移され、アナハイム・エレクトロニクス社がその任を担った。一方、終戦を認めない旧ジオン公国軍残党は、アクシズに向かう勢力と地球圏に残る勢力に分かれた。後者の代表格であるデラーズ率いる艦隊は、暗礁宙域に拠点となる「茨の園」を建設し、各地に潜伏する者たちと連携しながら地球連邦軍への抵抗を続ける。そうした状況の中、ガンダム試作2号機の情報がデラーズにもらたらされたことで、「星の屑作戦」が立案されることになる。
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