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ネイティブガンダム [リマスター版]
ネイティブガンダム [リマスター版] 第4回
第4話「ルナツー脱出作戦」

【鉱物資源衛星ルナツー】
実 は第1話サブタイトル直後からルナツーは登場している。その名の通り、月と同じく衛星として周回している小惑星であり、地球をはさんで月とは正反対側に位 置している。それゆえ、物語上でもサイド7などとの位置関係や地球への帰還ルートを表現する道標として画面に頻出しているのである。

【硬直化する大組織】
第 4話は、劇場版では大きく短縮・改変されていたエピソード。だが、実は後のガンダムシリーズ全体を考えると実に重要な位置づけにあるとわかる。単純な敵味 方構造でない社会の複雑さが『ガンダム』では多々描かれている。ここでは肥大化した地球連邦軍が組織として内部の官僚化を招いていることが、非常に入念に 描写されている。組織が大きくなると役割分担が細分化し、組織内部の問題を重視しがちなのは、古今東西変わらぬこと。しかも、ジオン公国からは「お目こぼ し」されているがゆえに、事なかれ主義に陥っている。本来所属すべき地球連邦軍でさえも味方ではないというホワイトベースの孤立感と漂泊感は、TVシリー ズの大河ドラマ感覚を底ざさえしているものであり、後の『逆襲のシャア』まで連綿と続くものでもある。


【設定紹介エピソード】
第 4話は、妙に設定を紹介するセリフが多い。冒頭ではシャアがミノフスキー粒子の具体的な効能を説明し、牢の中のアムロは宇宙食を使ってガンダムの教育型コ ンピュータがザクより優れていることを語る。また、遠心重力が停止して無重量状態になることで、現実の宇宙開発と近い世界観をもつことも明らかにされてい る。

【セリフと内心の乖離】
突入作戦の指示をしながら、シャアは内心では妹アルテイシア(セイラ)のことを考えている。このように、表層で行われている会話と内心には大きな食い違いがあるという描写が散見されるが、それもリアリティのもとになっていることである。

【アムロとブライトのダブルキック】
第 4話の密かな「お楽しみ映像」は、アムロとブライトのヒーロー的な活躍だ。ガンダムで事態を打破しようと決意した2人は、無重量状態を応用して宙を舞い、 ダブルキックを放って連邦軍兵士を倒してしまう。作画担当はスタジオZ。『無敵超人ザンボット3』『無敵鋼人ダイターン3』ではアニメーター金田伊功氏を 中心に派手なアクションで楽しませてくれた作画スタジオである(金田氏はガンダムにはほとんど参加していない)。

【ザクのヒートホーク登場】
第2話ではマシンガン、第3話では肉弾戦を挑んだザクは、近接戦用の武器ヒートホークを使用し、ガンダムのビーム・サーベルと斬り結ぶ。モビルスーツの戦闘は中世の騎士風でもあるが、そうした戦いぶりが今回のみどころ。

【さらにザクを2機失うシャア】
ム サイに搭載していた4機中3機が一般兵士用のザクであった。第1話で2機を失い、第2話で1機をロスト。第3話で補給された2機は、この第4話でさらに破 壊されてしまう。シャアのこれまでの戦歴からするとあり得ない事態の発生である。彼が木馬追撃に執心する理由は、TVシリーズではこうした数値で具体的に 表現されているのである。


【父を想うアムロ】
パ オロ艦長の宇宙葬に際して、アムロは行方不明になった父親テム・レイのことを思い出す。アムロ自身は父が宇宙に吸い出される瞬間を見てはいないが、宇宙の 深淵に遠ざかる棺桶の映像とアムロのつぶやきが、実に「イヤな予感」を醸し出す。その予感が的中するのはなんと第33話のこととなるが、こうした長いスパ ンでの整合が、シリーズ全体に「大河ドラマの感覚」を与えているのである。

氷川竜介(アニメ評論家)

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