2007年11月27日 (火)
第20話「死闘!ホワイト・ベース」
人と人をつなごうとするリュウ・ホセイの献身的な努力が、この回では非常に目立っている。軍隊に限らず、人の思惑は必ずすれ違いぶつかり合う。彼のような潤滑油の役割はどんな組織でも必要なのだが、リュウを待ち受ける運命を前に、その存在感が改めて強く印象づけられている。
【ブライトとアムロの微妙な関係】
前に「脱走者は死刑」とまで言っていたカイ、ハヤトたち4人が脱走を企てる。その直前、ブライトにアムロへの見解を確認した彼らの会話が、間接的に脱走の理由を説明している。アムロに厳しく接しても、結局はアテにしているブライトが、下の人間に見限られたのだ。しかし、ブライト側にもそうせざるを得ない理由がある。こうして艦内の人間関係は、時間が経つにつれて激しくもつれていく。
マ・クベはラル隊の存在が、上司キシリアの将来の障害になると考え、排除を画策する。副官ウラガンを通じて補給に関して虚偽の言葉を信じさせ、ドムの配備さえも妨害するが、これはすべて「死人に口なし」と考えての行動である。しかし、ラル側もそうした政治的策謀の間で右往左往するよりも、自分たちの方法論を貫くことを選ぶ。こうした組織内の立場の軋轢は、実にリアルで悲劇性を高めている。
【ジンバ・ラルとアルテイシア】
突入したランバ・ラルはセイラと遭遇し、彼女が「アルテイシア」と知って驚愕する。その高貴な生まれは、これまでもほのめかされてきたが、「姫」と呼ばれるなど具体情報が出たのは初であろう。だが、それが熟練の兵士ランバ・ラルの命取りになるというところが非常に切なく、虚しさをかきたてる。
第20話の予告編(第19話に収録)では、本編とは違う絵が登場する。オンエア前に安彦良和の作監修正が入ったのだ。TVシリーズではこのように安彦良和が作画監督としてクレジットされていない回でも、修正の入った箇所が多々ある。
氷川竜介(アニメ評論家)
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